
導入事例#024

社会福祉法人 れんげ福祉会
特別養護老人ホーム 銀松苑(ぎんしょうえん)さま(長野県大町市)
高齢化が進むこれからの時代、高齢者施設は質の高い介護サービスを提供するとともに、人と人との心がふれあう施設づくりが求められています。
2007年5月に開所した特別養護老人ホーム銀松苑さまは、入居者一人ひとりの尊厳を大切に、人とのつながりを保ちつつ生活ができる施設サービスに取り組んでいます。建物は地下1階・地上3階建で、2階と3階が特別養護老人ホーム、1階はショートステイの施設、地下1階がデイサービスセンターという構成です。1階の玄関脇には地域の人々が利用できるコミュニティホールを併設し、入居者と地域社会とのつながりを大切にしています。

「コミュニティホールは、地元の方に気軽に活用していただきたい。そして、何よりも、入居者さまへのサービスや居住性を向上させたいと考えていました。そこで、運営コストを抑えれば、利用料を抑えることも、手厚い介護サービスと快適な居住性も実現できると思ったのです」と常務理事の藤巻さまが語るように、施設の計画段階から快適性とコストメリットの両立にこだわってきました。
運営費を削減しながら、サービスと快適性を向上するシステムや設備を求めていた銀松苑さま。そのニーズに応えた施設づくりを、中部電力がサポートすることになりました。

施設の運営コストを抑える施策のひとつが、使用エネルギーの選択です。特別養護老人ホームと同じ敷地内で、7年前からケアハウスを運営しており、そこでは化石燃料を使用しています。ケアハウスの開所当時とはエネルギー事情が異なっており、原油価格が高騰している現状から、新しく開所する特別養護老人ホームはより効率的なエネルギーを使用したいという要望を持っていました。
中部電力では効率的にエネルギーが活用できる、オール電化をご提案。エネルギーコストの試算を提示してランニングコストメリットを伝えました。
「コストはもちろんですが、将来のことも考慮しました。
オール電化の設備なら、将来、燃料電池発電や太陽光発電を導入することがあっても、移行が容易だと思ったのです。
また、自然災害時も、電気は復旧が早いといわれます。こうした点を考慮し、オール電化を導入することに決めました」(藤巻さま)。
銀松苑さまは、北アルプス連峰のふもとに位置し、冬期は降雪量も多い地域。寒い冬も入居者が快適に過ごすことができるように、ヒートポンプ空調に加え、蓄熱式の床暖房を導入しました。また、給湯システムは、夜間電力を利用して効率的にお湯をつくることができるヒートポンプ給湯機を採用。厨房は電化厨房とし、スチームコンベクションオーブン3台、IH調理器、ブラストチラーなどを導入しています。
「電化厨房については、自然災害時に備え、万一の場合は、当施設だけでなく近隣の高齢者施設にも食事を提供できるようにとの想いもあり、いざというときに役に立てるよう機器を充実させました」(藤巻さま)。

また、銀松苑さまでは、生ゴミ処理機を導入し、生ゴミをこまめに処理することで、病気の感染源となり得るハエなどの害虫の発生を防止しています。また、処理したゴミは花壇や畑のたい肥として利用して廃棄物を削減。高齢者の健康を守りながら、地域の環境保全に役立ち、加えて処理費用の削減にもつながっています。

デリケートな健康状態である入居者のヒートショック(急激な温度の変化が身体に及ぼす深刻な影響。脳梗塞や脳出血を引き起こす場合もある)を防止する目的で、蓄熱式の床暖房を施設全体に導入。建物全体を暖めることで各空間の温度差をなくしています。
床暖房の温度は、立っている人の胸の高さまでを暖めるように設定しており、室内空間での上下の温度差をなくすことで、高齢者の身体への負担を減らし快適に過ごせるよう配慮しています。
介護を行うスタッフからは、「やはりヒートショックの心配がないから安心ですね。床暖房なら空気を動かさずに室内を暖房できるので、ホコリやハウスダスト、インフルエンザのウイルスを巻き上げることがなく衛生的です。高齢者は手足が冷えがちですし、車いすを使う方のことも考えると、高齢者にやさしい暖房だと感じています。また、私たちスタッフは入浴介助の時など、冬でも素足でいることが多いのですが、脱衣場にも床暖房が入っているので、快適にお世話ができます」という声が聞かれました。
床暖房の温度制御はエリアごとに実施。日当たりなどの条件や、入居者の体調や好みに合わせて個別に温度を設定することで、エネルギーロスを省いています。

銀松苑さまでは、午前中に入居者の入浴を行うと同時に地下1階のデイサービスでも入浴を実施するため、入居者用は約4トン、デイサービス用は約2トン、合計6トンほどのお湯が一時的に必要となります。そこで、割安な夜間電力でお湯を作り貯めておき、必要なときにいつでも使うことがができるヒートポンプ給湯機を採用しました。
「夜間電力を使うヒートポンプなら、快適な入浴サービスが提供できる上、省エネで環境にも配慮できるところが魅力ですね」(藤巻さま)。

入居者にとって日々の楽しみである食事は、生活習慣に合わせた個別メニューを提供しており、3台のスチームコンベクションオーブンがその調理をサポートしています。3台のうち、1台を炊飯専用として使い、ごはんやお粥の炊きあがりの状態を入居者の体調や好みにあわせて提供できるようにしています。

「ごはんは5段階のやわらかさで、お粥は3段階のやわらかさで炊き分けています。炊飯器ですと炊き分けは大変ですが、スチコン(スチームコンベクションオーブン)なら、仕上がりの段階ごとに米と水の量を加減してトレイに入れ、加熱時間を変えておくだけで効率的に炊き分けができるのでとても便利ですね。
また、おかずなどの副菜の調理についても、これまで、多くの種類をご提供するためには、その種類の数だけ調理鍋が必要でしたが、スチコンなら、おかずの種類ごとに仕込みをしたトレイを同時に加熱調理できるのでとても合理的です。また、朝食に提供する煮物は新調理システムで前日に調理しているので、慌ただしくなりがちな朝食の準備もスムーズに行え助かっています」(厨房スタッフ)。
この他にも、直火がなく火災の心配がないこと、室温が上がらず厨房環境が快適なこと、調理機器やダクトの清掃が容易、安全・安心な食事を提供できるなど、多くのメリットを実感をしているそうです。
また、ほとんどの福祉施設では完全中央配膳により提供していますが、銀松苑さまでは、入居者に美味しく食事を味わっていただくために、各階に4ケ所ある共同生活室のキッチンを活用してごはんや味噌汁の配膳を行っています。

オール電化の導入で、入居者へのきめ細やかなサービスを実現しながら、効率アップや、省コスト、省エネに成功した銀松苑さま。今後は、空調や床暖房について、居住スペースの室温管理をきめ細かく行った上で、1年を通した温度データを蓄積し、それをエネルギー運営に役立たいと考えています。このような厳密なエネルギー管理ができることもオール電化のメリットといえます。
銀松苑さまでは、こうしたデータを活用しながら、電化システムが持つ省エネ性能や環境性能を最大限に活用し、入居者へのサービス向上と地域に貢献する施設づくりを今後も推進していく考えです。

