プレスリリース バックナンバー(2000年)

ハロン分解処理システムの開発に成功 ~日本初!小型ハロン分解処理システム~

平成12年12月13日
中部電力株式会社

 当社は、このたび岐阜県保健環境研究所(所長:飯沼宗和氏、住所:各務原市那加不動丘1丁目1番地)ならびに上田石灰製造株式会社(社長:上田強氏、住所:大垣市赤坂町3751番地)と共同で、日本で初めてハロン※を分解処理する小型システムの開発に成功いたしました。

 ハロンは、オゾン層破壊や地球温暖化を引き起こす物質であるため、世界的に1994年から製造を禁止されていますが、その処理方法については未だ確立されておりません。
 本システムは、電気ヒータを用いて吸収材(軽焼ドロマイト※※を使用)とハロンを高温に加熱し、ハロンをフッ素や臭素などのガスに分解させます。そして、これらの分解ガスを発生と同時に吸収材に捕集させるものです。
 今回の開発により、オゾン層破壊や地球温暖化を引き起こすことなくハロンを処理することが可能となりました。システムについては特許出願済みです。  さらに本システムには、次のように優れた特長があります。


(1)ハロンを連続処理するシステム
  処理することが困難だったハロンを連続的に分解処理することができるシステムです。
(2)取り扱いが容易でコンパクト
  分解ガスを吸収材に捕集させる処理方法であるため、従来フロン処理用に使用さ
 れる排ガスの中和処理装置(取り扱いが複雑)が不要となり、取り扱いが容易で、
 設備がコンパクトです。
(3)フロン類処理への展開
  ハロン以外にもフロン類全ての処理が可能なため、従来処理できなかったハロゲ
 ンを含んだオゾン層破壊物質や地球温暖化物質を処理することができます。

 今後は、可搬型装置の開発を目指し、装置のさらなる小型化や操作性の向上などに取り組み、実用化を図っていきます。また、ハロンだけでなくフロン類全般にわたる処理装置を目指していきます。
※ハロン・・・・・・・・・・・・フロン類の一種で、F(フッ素)、Br(臭素)を含む有機化合物
※※軽焼ドロマイト・・・炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムの混合物であるドロマイト鉱を焼成したもの。

以  上

〈別 紙〉

1 研究の背景

 ハロンは、消火能力が高いことから消火設備などに利用されて来ましたが、オゾン層破壊効果および地球温暖化効果を引き起こす原因となるため、世界的に1994年から製造を禁止されております。しかし、それ以前に製造されたものは現在でも使用されています。他の消火剤に順次取り替えられていますが、取り替えられたハロンを処理する方法は未だ研究段階です。このためハロン処理法の確立が望まれています。

 当社は、発電所の消火設備などでハロンを100トン規模で保有しておりますが、代替物へ積極的に切り替えているため、不要になったハロンの処理方法を確立することが課題となっています。
 また、岐阜県(岐阜県保健環境研究所※)においても、ハロンなど地球温暖化物質の処理システムの確立は早急に解決すべき問題との認識があり、フロン研究で知見のある上田石灰製造?を含めた三者により、平成11年度から本研究を開始しました。
※岐阜県保健環境研究所・・・岐阜県の試験研究機関。厚生省・環境庁および地方公共団体などの委託・要請依頼に応じ、保健と環境の両分野にまたがる調査研究および各種試験検査などを行っている。

2 研究の概要

 本開発における問題点と解決法

     

3 研究の成果

(1) 処理方法

 吸収材を装置上部から連続的に電気炉に投入し、ヒータで約900℃に加熱します。また装置下部からハロン1301(CBrF3)を導入します。ハロンと吸収材は、 CBrF3 + 2MO → 3/2 MF2 + 1/2MBr2 + CO2
(MはCaまたはMgを表す。)
 のように反応します。二酸化炭素(CO2)もほとんど吸収材に捕集されます。

                  軽焼ドロマイト(約900℃)
                       フッ素
   ハ ロ ン        熱分解    臭 素    反応・捕集
  温暖化係数5,600                   
                       二酸化炭素    吸 収

(2) ハロン等導入時における排ガス成分結果

 本システムに処理対象ガスとしてハロン1301(CBrF3)およびフロン134a(C2H2F4)を約50 % 濃度で入れ、分解処理試験を実施したときの、排ガス中の成分結果を表2に示しました。
 この結果から、ハロンの分解率は99.9999 %以上であり、排ガス中にフッ素、および臭素は検出されませんでした。これによりUNEP※推奨基準値を大幅に下回ることが確認できました。また二酸化炭素も吸収材に捕集されることも確認できました。

排ガス中の成分濃度

4 その他

 なお、本共同研究の一部は、(財)岐阜県研究開発財団(理事長:館正知氏、住所:各務原市須衛町4-179-1)の「産学官共同研究促進事業」の助成を受けております。

以  上

(参 考)

システムの写真・概要図

 本システムの写真および概要図を示しました。

ハロン処理システムの写真・概要図