プレスリリース バックナンバー(2002年)

新低弛度増容量電線(しんていちどぞうようりょうでんせん)の開発について ~低コストでの製造・施工が可能、コストダウンへ寄与~

平成14年2月4日
中部電力株式会社

 このたび当社は、日立電線株式会社(社長:原 精二氏、本社:東京都千代田区大手町1丁目6番1号大手町ビル)と共同で、従来よりも低弛度*で、かつ、低コストで増容量化できる架空送電用の電線を開発しましたのでお知らせいたします。

 送電線に使われる一般的な電線(ACSR)は、張力を主に支える鋼心の周りに電気が通るアルミ線が覆う構造をしており、両者で張力を分担するため、温度上昇に伴い伸びやすいアルミと伸びにくい鋼の特性を合成した弛み特性を示します。
 アルミの耐熱性を向上させることで増容量化は可能ですが、電線に電気がたくさん流れると、鋼心よりもアルミ線が伸び、弛みが助長されるため、線下の建造物などとの必要な距離が確保できません。このため、既設の送電線路を流用して増容量化するには、特殊な構造で鋼心とアルミ線との間に隙間を設けることで、アルミ線よりも伸びにくい鋼心のみに張力をかけ、弛みを軽減したギャップ電線や、伸びが小さい特殊な鋼心を採用したインバー電線などの低弛度増容量電線を採用しております。しかし、ギャップ電線では張替作業に手間がかかるうえトータルコストが割高、インバー電線では電線コストが非常に高いという問題がありました。
 今回開発した新低弛度増容量電線は、アルミ層の長さを鋼心よりも長くしてダブツキを持たせる新しい製造方法を採用することにより、従来の電線構成のまま鋼心のみに張力をかけることができるので、ACSRと弛みを同等にし、かつ1.6倍の電気を送ることができます。これにより、送電鉄塔の高上げや建て替え工事は必要なく、本電線に張り替えるだけで低コストに増容量化が可能となります。
 また、電線構成がACSRと同じで、特殊な鋼心も使用しないため、従来の低弛度増容量電線よりも、低コストでの電線製造・張り替え施工が可能となり、今後の増容量化工事にあたり、大幅なコストダウンが可能です。

< 新低弛度増容量電線の主な特徴 >

容量が1.6倍にアップ
ACSRに比べ、弛度は同等であるにもかかわらず、容量は約1.6倍です。
既設設備をそのまま流用可能
ACSRと同等の弛度となるため、ACSRから本電線に張り替えるだけで増容量化が可能です。
従来の低弛度増容量電線よりもトータルコストが安価
従来の低弛度増容量電線よりも安く、施工が容易であり、さらに付属品も既存のものが使用できるため、トータルコストが安価です。
  • *弛度:送電鉄塔の間に電線を張ったときの弛み。通常、電気をたくさん流すほど弛度は大きくなる。

 今後は、本電線を当社の低弛度増容量電線の標準として採用し、増容量化工事のコストダウンを図っていきます。なお、本電線は、今年2月より当社静岡支店の貝島清水線に一部採用いたします。

以  上

(別  紙)

1.開発の背景

 架空送電線路においては、電力需要の増大にあわせて、増容量電線を採用し、鉄塔を建て替えることによって増容量化を図っております。しかし、市街地の進展に伴い、送電線路の新規ルートの確保や鉄塔建替が現在では困難となってきております。このような地域で送電線路の増容量化を図る場合、当社では、標準的に採用されている鋼心アルミより線(ACSR)を架線した既設線路を流用し、ギャップ電線(GTACSR)やインバー電線(XTACIR)などの低弛度増容量電線を採用することで、低コストに増容量化対策を図ってまいりました。しかし、ギャップ電線では、張替作業に手間が掛かり、インバー電線では電線コストが高いため、さらに低コストで増容量化が可能な電線の開発が望まれておりました。

2.電線の構造

 下表に各種の各種電線の構造および仕様例を示します。ギャップ電線は、アルミ線に圧縮成形した素線を用いることで、アルミ層と鋼心の間隙(ギャップ)を設け、鋼心のみに電線張力をかけて、弛度を小さくするものです。しかし、電線構造が鋼心アルミより線と異なるため、電線を引き留めるための器具や張り替える工法は特殊なものになり、トータルコストが高くなります。また、インバー電線は、温度伸び(線膨張係数)が小さいインバー線を鋼心に採用することにより、低弛度化を図っておりますが、電線コストが非常に高くなります。
 一方、今回開発した新低弛度増容量電線は、新しい製造方法を採用することで従来の電線構成のままアルミ層をルーズ化(より合わせるアルミ層の長さを鋼心よりも長くして、アルミ層にダブツキを持たせる)して、電線張力を鋼心のみにかけることで、低弛度化を実現しております。
 新低弛度増容量電線は、鋼心アルミより線と比較すると、強度の高い鋼心を採用していること、および増容量を図るため、アルミ線に耐熱アルミ合金線を採用していることを除いて、電線構造は鋼心アルミより線とほぼ同等です。そのため、電線を引き留めるための器具や張り替える工法は鋼心アルミより線と同様のものが適用できます。

3.電線の特徴

 新低弛度増容量電線について実用性能を検証した結果、下記のことが言えます。

  1. (1) 新低弛度増容量電線は、 鋼心アルミより線に比べ、送電容量が約1.6倍となるうえ、弛度
     が同等です。
  2. (2) 増容量電線やギャップ電線と比較して、送電容量が同等、弛度特性が優れています。さら
     にギャップ電線よりも施工も容易であるため、増容量電線やギャップ電線にて増容量化を
     計画している鋼心アルミより線の送電線路では、本電線の採用により、低コストに増容量
     化ができます。
  3. (3) 弛度の制約から、ギャップ電線が適用できない箇所では、ギャップ電線よりも弛度の小さ
     い高価なインバー電線を採用しております。本電線は、インバー電線と弛度が同等で低コ
     ストであるため、弛度制約上インバー電線の適用により増容量化を計画している鋼心アル
     ミより線の送電線路では、本電線の採用により大幅なコストダウンが可能です。

4.今後の展開

 本電線は、今年2月に静岡支店の貝島清水線に一部採用され、今後はギャップ電線・インバー電線に代わって、本電線を既設送電線路の増容量化対策用電線の標準として現地適用していき、増容量化工事のコストダウンを図ってまいります。

5.開発期間

 平成11年4月~平成13年3月

以  上