プレスリリース バックナンバー(2002年)

浜岡原子力発電所1号機 制御棒駆動機構 ハウジング部からの漏えいに関する原因と対策について

平成14年4月24日
中部電力株式会社

 平成13年11月9日に発生した浜岡原子力発電所1号機の制御棒駆動機構ハウジング部(スタブチューブ下部溶接部)からの漏えいについて、これまで原因の調査および対策の検討を実施して参りましたが、これらの結果を取りまとめましたのでお知らせいたします。(別紙 参照)

1.原因について

 漏えい部位のき裂は、以下のとおり、応力腐食割れの3因子(材料、環境および応力)が重畳して粒界型応力腐食割れが発生したものと推定いたしました。


  1. (1)外観調査及び破面観察等の結果から応力腐食割れの特徴が認められた。
  2. (2)溶接金属(インコネル182)は耐食性に優れた金属ですが、ある大きさの引張応力が
      存在すると応力腐食割れの発生する可能性があることを確認した。
  3. (3)原子炉水の溶存酸素濃度は運転履歴調査の結果、応力腐食割れの発生する可能性がある
      環境にあった。
  4. (4)スタブチューブ下部溶接部の実機を模擬した応力確認試験及び応力解析等から、き裂が
      発生したスタブチューブ下部の溶接施工手順にあっては、溶接部に応力腐食割れが発生
      する可能性がある引張応力が局部的に有ることを確認した。

2.対策について

 スタブチューブ下部溶接部にき裂が確認された制御棒駆動機構ハウジング及びスタブチューブは取替えを行うこととし、取替にあたっては、耐食性に優れた材料を使用します。
 なお、残り88体については、水中テレビカメラによる点検を行い、異常のないことを確認しました。
 また、格納容器内の漏えい監視データの適切な傾向監視や詳細な分析を行うなどの監視の改善や、格納容器内の漏えい監視データに有意な変化が認められた場合には、直ちに異常徴候を確認するための検討会を開催し、詳細な調査を行うこととしました。
 今後、信頼性向上の観点から原子炉内の環境改善を継続するとともに、溶接部の残留応力改善などの予防保全技術について検討してまいります。

以  上

別 紙

浜岡原子力発電所1号機 制御棒駆動機構ハウジング部からの漏えいに関する原因と対策について


1.漏えいの概要

 1号機配管破断事故(平成13年11月7日発生)の調査のため原子炉を停止した後、原子炉格納容器内の点検を行った際、制御棒駆動機構ハウジング1本の下部から、数秒間に1滴程度の水滴が落ちているのを発見しました。なお、今回の事象による外部への放射能の影響はありませんでした。

(平成13年11月 9日発表)

 その後の調査で、スタブチューブ下部溶接部に発生したき裂が進展し貫通したことによる水漏れであることが分かりました。

(平成13年11月26日発表)

 漏えい部位の水中テレビカメラによる点検の結果、き裂は細かい折れ曲がりが多数有り全体に湾曲していました。
 また、今サイクルの格納容器内の漏えい監視データを改めて整理・評価したところ、明らかに7月上旬以降は当該部からの原子炉水の漏えいがあったと判断しました。従って運転中の監視データを詳細に分析することなく季節変動と判断したことは適切ではありませんでした。

(平成13年12月25日発表)

 なお、原子力安全・保安院による国際原子力評価尺度(INES)暫定評価では、0+とされております。


2.試験片(ボートサンプル)の金属調査結果

き裂部から採取したボートサンプルの断面写真

金属調査の結果、き裂は多数の枝分かれを伴い、粒界に沿って進展しており、応力腐食割れの特徴を有していました。

(平成14年2月20日発表)


3.応力腐食割れの発生要因の調査結果

応力腐食割れは材料,環境,応力の3要因が特定の条件で重なったときに発生する可能性があります


4.原 因

  • ○応力腐食割れの3因子(応力、環境及び材料)が重畳し、粒界型応力腐食割れによりき裂が進展して貫通に至ったものと推定しました。
    しかしながら、1号機残り88本、2号機全数137本に異常はなく、さらに国内外の発生事例を調査したが、当該を含めて2本のみであることを確認しました。

5.対 策

  • ○当該制御棒駆動機構ハウジング及びスタブチューブを取替えます。
    (溶接材料には耐食性に優れたインコネル82を使用)
  • ○早期に漏えいが検知できるよう、漏えい監視データの詳細分析等の運転管理を適切に実施します。

(平成13年12月25日発表)


  • ○同様な事象が発生した場合、漏えいは適切に検知でき、原子炉を安全に停止することは可能ですが、原子炉内の環境改善(水素注入)を引き続き実施するとともに、応力改善の予防保全技術について検討いたします。
    (水素注入により原子炉内の溶存酸素濃度が低下し、応力腐食割れの発生・進展が抑制される)