プレスリリース バックナンバー(2002年)

溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)商用型1号機導入 ~廃棄物ガス化装置との組合せ研究を実施~

平成14年9月18日
中部電力株式会社

 当社は、300kW級溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)の商用型1号機を新名古屋火力発電所構内に導入し、廃棄物ガス化装置との組合せ研究に着手しました。
 MCFCと廃棄物ガス化装置との組合せ研究において、商用レベルのMCFCを用いて実証試験を行うのは、全国で初めてのこととなります。

 今回導入する300kW級MCFCは、国のプロジェクトとして溶融炭酸塩型燃料電池発電システム技術研究組合(MCFC研究組合)が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から委託を受けて当社の川越火力発電所構内で現在試運転を実施している300kW級MCFCの技術を適用したものです。
 このたび、300kW級MCFCの新名古屋火力発電所構内への設置がほぼ完了し、今後は付帯工事および試運転を実施して年内には発電を開始する予定です。

 高温で作動するMCFCは、白金触媒を使用していないので一酸化炭素(CO)による触媒被毒の問題がなく、CO濃度が高い廃棄物ガスも燃料として利用することができます。  当社は、平成11年度から廃棄物ガスのMCFC燃料としての利用に関する基礎研究を実施してきましたが、いよいよMCFCが実用化段階になってきましたので、平成14年度から平成16年度までの3年間の計画で廃棄物ガス化装置と組合せた実証研究に着手しました。
 当面は、廃棄物ガスを模擬したガスでの発電試験を石川島播磨重工業株式会社(社長:伊藤 源嗣 本社:東京都千代田区大手町二丁目2番1号)と共同で実施し、15年度以降に実際の廃棄物ガスと組合せた運転研究を行う予定です。
 また、廃棄物ガス化とMCFCを組合せたシステムの実証試験を、平成17年の愛知万博会場において実施する方向で考えています。

 近年、資源循環型社会の構築が重要な課題となっていますが、廃棄物発電を行ってエネルギーを回収している廃棄物処理施設は全体の一割程度に過ぎません。
 これは、従来の蒸気タービンによる発電方式では、大規模な処理施設でないと十分な発電効率が得られないためです。その点、当社が提案する廃棄物ガス化とMCFCの組合せによる廃棄物発電では、小規模でも高い発電効率(40%以上)が得られるので、廃棄物の持つエネルギーを電気エネルギーと熱エネルギーに効率良く変換することができ、CO2削減にも有効な技術であると考えます。

以上

<別 紙>

1.研究の背景

(1)燃料電池の種類と溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)の特徴

 燃料電池には構成材料や動作温度の違いにより、溶融炭酸塩形、固体酸化物形、リン酸形、固体高分子形などの種類があります。
 昨今話題になっている燃料電池自動車や家庭用燃料電池は、固体高分子形を利用したもので、燃料電池の中で最も低い温度(80℃)で動作するので扱いやすい反面発電効率はあまり高く得られません。また、使用している白金触媒が一酸化炭素(CO)で被毒されるので、CO濃度が高い廃棄物ガスの利用は困難です。
 これに対して650℃で動作する溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)は高温の排熱を利用した複合発電が可能であるので、50~65%の高い発電効率が得られます。また、MCFCは主要構成材料が金属であるため、燃料電池の中で最も大容量化に適しています。さらに高温で作動するMCFCは、白金触媒を必要としないので一酸化炭素(CO)による触媒被毒の問題がなく、CO濃度が高い廃棄物ガスも燃料として利用することができます。

燃料電池の種類と特徴


項目 溶融炭酸塩形
(MCFC)
固体酸化物形
(SOFC)
リン酸形
(PAFC)
固体高分子形
(PEFC)
電解質 炭酸塩 セラミックス リン酸 高分子膜
作動温度 約650℃ 約1000℃ 約200℃ 約80℃
発電効率 50~65% 55~70% 35~42% 35~40%
特徴 ・発電効率が高い
・大容量化に向く
・発電効率が高い
・耐久性の面で有利
最も早くから開発され既に実用化段階
・起動停止が容易
・出力密度が高い
燃料 ・天然ガス、LPG
・メタノール
・廃棄物ガス
・石炭ガス
・天然ガス、LPG
・メタノール
・廃棄物ガス
・石炭ガス
・天然ガス
・LPG
・メタノール
・天然ガス
・LPG
・メタノール
用途 ・分散電源用
・火力代替電源用
 (大規模)
・分散電源用
・火力代替電源用
 (中規模)
・小型分散電源 ・自動車用
・家庭用

(2)溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)の開発

 MCFCの開発は、溶融炭酸塩型燃料電池発電システム技術研究組合(MCFC研究組合)が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から委託を受けて国のプロジェクトとして進めてきました。当社は川越火力発電所構内に試験サイトを提供してMCFC研究組合の中で中心的な役割を果たしてMCFC開発をリードしてきました。
 平成12年度~16年度までの予定で実施中の第三期プロジェクトでは、将来の大容量化に向けた基本単位となる高性能モジュールと早期実用化を目指した300kW級小型発電システムの開発を進めており、300kW級小型発電システムは現在システムの試運転を実施中で、今年10月には川越火力発電所構内で発電を開始する予定です。
 今回、当社の新名古屋火力発電所構内に導入する300kW級MCFCはこの技術を適用した1号機です。

MCFCの開発計画

  •                                      (年度)

2.開発の概要

(1)廃棄物ガス化とMCFCの組合せ研究

 廃棄物をガス化する方法としては、木材やプラスチックなどの可燃性廃棄物を部分燃焼させて水素と一酸化炭素を取り出す方法と、生ごみなどの有機性廃棄物をメタン発酵させてメタンガスを取り出す方法の2つがあります。
 当社はこの2つのガス化方式について、平成11年度からMCFC燃料としての利用に関する研究を実施してきましたが、いよいよMCFCが実用化段階になってきましたので、300kW級MCFCの商用1号機を新名古屋火力発電所構内に導入して平成14年度から3年間の計画で廃棄物ガス化装置と組合せた実証研究に着手しました。
 新名古屋火力発電所で実施する300kW級MCFCとの組合せ研究は、可燃性廃棄物から水素と一酸化炭素を取り出すガス化方式で実施する計画です。生ごみなどのメタン発酵に関しては、現在名古屋市他との共同研究を名古屋市の鳴海工場で進めております。
 さらに、平成17年の愛知万博において、これら2つのガス化方式とMCFCの組合せシステムの実証試験を実施する方向で考えております。

(参 考)

<可燃性廃棄物の部分燃焼によるガス化>

<有機性廃棄物のメタン発酵によるガス化>

(2)研究の進捗状況と今後の予定

 今年7月から300kW級MCFCの新名古屋火力発電所構内への設置工事を開始し、現在は、主要機器の設置がほぼ完了しました。今後は付帯工事および試運転を実施して、年内には発電を開始する予定です。
 第一段階として天然ガスで運転してMCFCの基本性能を確認した後、廃棄物ガスを模擬したガスでの発電試験を石川島播磨重工業株式会社と共同で実施し、15年度下期以降に実際の廃棄物ガスと組合わせた発電試験を行う予定です。

新名古屋火力MCFC設置状況の写真

以上