プレスリリース バックナンバー(2002年)

固体酸化物形燃料電池(SOFC)の開発について ~平板形SOFC として世界初の50kW商用機の開発に着手~

平成14年9月30日
中部電力株式会社

 当社は、三菱重工業株式会社(社長:西岡 喬氏、住所:東京都千代田区丸の内2-5-1)と共同で、平板形の固体酸化物形燃料電池(SOFC※1)としては世界初の50kW機の開発に着手しました。平成15年には商用化を目指した50kWのSOFCコージェネレーションシステムとしての評価試験を開始します。

 固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、構成材料が全てセラミックスで燃料電池の中で最も高い温度(1000℃)で動作します。このため、高い発電効率が得られるとともに、高温の排熱を利用して蒸気を供給できるので、冷熱需要にも対応可能で、数10~数100kWの業務用コージェネレーションシステムとして期待されています。
 また、内部改質※2が可能(改質器が不要)であるので、コンパクト化が図れるとともに、電池材料に液体状のものを含まないので耐久性にも優れています。

 SOFCの形状は、平板形と円筒形に大別されます。当社と三菱重工業株式会社は、平成2年より平板形の一種である独自構造の一体積層(MOLB※3)型SOFCの開発を進め、平成12年には平板形SOFCとしては世界最高の15kWの発電と7,500時間の運転に成功しております。
 今回、これまでの成果を活用して、平板形SOFCとして世界初の電気と熱(蒸気)を供給できるSOFCコージェネレーションシステムを開発することとしました。


<目標性能>

  1. (1)出 力     50kW
  2. (2)発電効率    45%
  3. (3)排熱回収効率  40%
  4. (4)燃 料     天然ガス

 平成15年に初号機を完成し、当社の電力技術研究所で評価運転を実施して、SOFCコージェネーションシステムの実用化を目指します。
 また、開発した50kW機をベースに50kW~200kW程度までのシリーズ化を図り、これをエネルギーソリューションの重要なツールとして位置づけ、今後事業化について三菱重工業株式会社と共同で検討を進めていきます。

※1SOFC   :[Solid Oxide Fuel Cell(固体酸化物形)]
※2内部改質 :電池内部で燃料(メタン等)から水素への改質反応が起こること
※3MOLB   :[MOno-block Layer Built(一体積層型)]

以上

(別 紙)

1.研究の背景

 SOFCは全て固体で構成されるため形状に自由度があり、大別して平板形と円筒形の2種類があります。当社と三菱重工業株式会社は、平成2年より平板形の一種である独自構造の一体積層(MOLB)型SOFCの開発を進めてきました。平成10年には世界最高の出力密度0.35W/cm2を達成し、さらに平成12年には平板形のSOFCとしては世界最高の15kWの発電と7,500時間の運転に成功しております。
 今回、これまでの成果を活用し、平板形SOFCとしては世界初の電気と熱(蒸気)を供給できるコージェネレーションシステムを開発します。
 当社と三菱重工業株式会社が開発を進めるMOLB型SOFCは、以下に示す特長があります。

(1)低コスト化が可能

  1. ① 電池の製造工程において、切断加工や切削加工が不要であること、連続生産が可能な湿式法による製造方法を確立していることから量産化による低コスト化が期待できる。
  2. ② 電池材料は全てセラミックスで特に高価な材料を使用していない。

(2)コンパクト化に有利

  1. ① 動作温度が高いため、燃料となる天然ガス(メタン)の水素への改質反応が電池内部で起こる「内部改質」が可能であるので、改質器が不要でコンパクト化が可能。
  2. ② 電池の中の発電に寄与する電解質に三次元化したディンプル構造を採用することにより、出力密度を向上させることに成功しており、コンパクト化に有利。

(3)長寿命

  1. ① 電池材料が全てセラミックスで、時間の経過とともに減少したり変化したりしやすい液体状のものを含まないので、耐久性に優れている。

<MOLB型SOFCの構造>

2.研究の概要

(1)50kW級パッケージ型システムの開発

 電池モジュールの設計、電池モジュールへの燃料、空気の供給方法の検討、電池モジュールおよび排ガスからの排熱回収方法の検討等を実施し、電気と蒸気を供給できる50kW級パッケージ型システムの開発を行います。

<目標性能>
 
  1. (1)出 力    50kW
  2. (2)発電効率   45%
  3. (3)排熱回収効率 40%
  4. (4)燃 料    天然ガス

(2)試験評価

開発した50kW級パッケージ型システムを当社の電力技術研究所に設置して運転し、性能評価を実施します。(15年度下期から16年度の予定)

3.今後の進め方

 今回開発する50kW 機をベースに、50kW~200kW程度までの小容量SOFCコージェネレーションシステムのシリーズ化を図り、これをエネルギーソリューションの重要なツールとして位置づけて、今後事業化について三菱重工業株式会社と共同で検討を進めていきます。

<開発機のイメージ図>

<MOLB型SOFCの単位ブロック>

MOLB型SOFCの単位ブロック
(1kW級ブロック 4個)