新型磁気冷凍システムの開発について~実用化間近!永久磁石を回転させコンパクト化に成功~
平成15年3月3日
中部電力株式会社
当社は、株式会社東芝(社長:岡村 正氏、住所:東京都港区芝浦1-1-1)と共同で、新型磁気冷凍システムの開発に成功しました。
平成12年に、世界で初めて磁界変化を利用した冷凍システムの開発に成功して以来実用化に向け取り組んでおり、今回の開発はその実現に大きく前進しました。
今回の開発に対し、アメリカ物理学会から講演の招待を受け、春の学会(会期:平成15年3月3日~7日、場所:アメリカ合衆国テキサス州オースチン)においてその成果を発表します。
磁気冷凍とは、フロンや代替フロンなどの気体を圧縮・膨張させる従来の方法とは異なり、磁性体※に磁界変化を与えると発熱し、磁界を取り去るとその温度が下がる現象を利用したものです。
※ 磁場をかける(磁石を近づける)と磁気を示す(磁石のようになる)物質
平成12年には、超電導マグネットによる強力な磁界を用い室温(20度付近から0度程度まで)冷凍できる磁気冷凍システムを世界で初めて開発し、続いて昨年10月には、永久磁石の弱い磁場でも、これを水平方向に往復駆動させることで0度以下まで冷やすことができるシステムの開発に成功しています。
今回開発した永久磁石回転型磁気冷凍システムは、次のような特徴があります。
1. 永久磁石の駆動動力の低減と磁気回路の最適化により、高効率化を実現
(往復駆動型システムに比べ、冷凍能力1.5倍向上と1/3の駆動動力低減)
2. 空間の有効利用により、装置のコンパクト化を実現
(往復駆動型システムに比べ70%、平成12年度に開発した超電導マグネット
を用いたシステムに比べれば1/20程度)
この冷凍システムは、産業用冷凍庫、家庭用冷蔵庫にも活用できる実用機の原型であり、早期実用化に向けた取り組みを進めてまいります。
研究期間 平成13年4月~平成15年3月
研究費用 約8千万円
以上
<別紙1>
新型磁気冷凍システムの開発概要
1.開発の背景
地球温暖化を防止するため、従来のフロンや代替フロンガスを利用した気体冷凍機に変わる冷凍機の開発が期待されています。また、エアコンや冷蔵庫といった冷凍機を用いた電気機器は、使用時間が長いため省エネルギー型の機器開発が進められています。
ここで、ある種の磁性体に磁界の変化を与えると、その温度が変化する現象(磁気熱量効果)が知られています。この現象を利用した磁気冷凍技術は、環境にやさしく高効率で省エネが期待できる技術であり、当社はその実用化に向けた開発を進めています。今回、装置の高効率化とコンパクト化の実現を目指し、永久磁石を回転させて磁気冷凍を行うシステムの開発に成功しました。
ここで、ある種の磁性体に磁界の変化を与えると、その温度が変化する現象(磁気熱量効果)が知られています。この現象を利用した磁気冷凍技術は、環境にやさしく高効率で省エネが期待できる技術であり、当社はその実用化に向けた開発を進めています。今回、装置の高効率化とコンパクト化の実現を目指し、永久磁石を回転させて磁気冷凍を行うシステムの開発に成功しました。
2.磁気冷凍について
磁気冷凍は、ある種の磁性体(以下磁気作業物質という。)に磁界をかけていくとその磁気作業物質が発熱し、磁界を取り去るとその温度が下がる現象(磁気熱量効果)を利用するものです。気体冷凍と比べ
- ・ 環境にやさしい
- ・エネルギー変換効率が高く省エネが可能
3.開発した装置の概要
今回開発した装置は、永久磁石を回転させて磁界の変化を磁気作業物質に与えることができるため、駆動動力を大幅に低減することができました。また、磁気回路の最適化により、性能を1.5倍に向上する事ができました。さらに、回転対称な装置構成により、装置本体の大きさが往復駆動タイプに比べ約70%に、平成12年度に開発した超電導マグネットを用いた磁気冷凍システムに比べれば1/20程度にコンパクト化することができました。
永久磁石を用いることで、利用できる磁界はせいぜい0.6T~0.8T(テスラ)程度となります。磁気熱量効果は磁界の大きさに依存するため、磁界の変化幅が小さくなると温度変化幅も小さくなります。このため、より効率的に熱交換する必要があります。
今回開発した装置は、回転する永久磁石の周りに4組の磁気作業物質を充填した容器を配置し、磁気作業物質に磁界変化を繰り返し与えています。一度の磁界変化による温度変化が小さい分、熱交換する流路を4組並列に接続し、それぞれの容器には磁気熱量効果が生じる最適温度の異なる3種類のガドリニウム系合金を直列に充填することで、永久磁石による磁場変化でも室温から0度以下まで温度を下げることを実現しています。
永久磁石を用いることで、利用できる磁界はせいぜい0.6T~0.8T(テスラ)程度となります。磁気熱量効果は磁界の大きさに依存するため、磁界の変化幅が小さくなると温度変化幅も小さくなります。このため、より効率的に熱交換する必要があります。
今回開発した装置は、回転する永久磁石の周りに4組の磁気作業物質を充填した容器を配置し、磁気作業物質に磁界変化を繰り返し与えています。一度の磁界変化による温度変化が小さい分、熱交換する流路を4組並列に接続し、それぞれの容器には磁気熱量効果が生じる最適温度の異なる3種類のガドリニウム系合金を直列に充填することで、永久磁石による磁場変化でも室温から0度以下まで温度を下げることを実現しています。
4.今後の進め方
今後は、磁気回路や熱交換部の最適化などにより、さらにコンパクトで高効率な装置の開発と、高い磁気熱量効果を持つ材料の開発を進めてまいります。
以上
<別紙2>
新型磁気冷凍システムの概要


永久磁石磁気冷凍システムの緒元比較
| 往復駆動方式 | 回転駆動方式 | |
|---|---|---|
| 磁界発生源 | ネオジウム系永久磁石 | ネオジウム系永久磁石 |
| 磁界の強さ | 0.6 テスラ | 0.76 テスラ |
| 磁気作業物質 | ガドリニウム系合金 | ガドリニウム系合金 |
| 熱交換媒体 | 水+アルコール | 水+アルコール |
| 運転周期 | 4秒 | 4秒 |
| 冷凍能力 | 40 W | 60 W |
| 寸法 | H416mm x W1040mm x D310mm | H360mm x W360mm x D761mm |