プレスリリース バックナンバー(2004年)

日本初!廃木材をアルコール燃料に転換するパイロットプラントの運転開始~バイオマスエネルギーの実用化へ向けて~

平成16年5月13日
中部電力株式会社

 当社は、三菱重工業株式会社および独立行政法人 産業技術総合研究所と共同で、廃木材等の木質系バイオマス※1から液体のアルコール燃料(メタノール※2)を製造する日本初のパイロットプラントの運転を今月17日より開始します。  このプロジェクトは、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から「バイオマスエネルギー高効率転換技術開発」として受託したもので、当社の川越火力発電所(三重県三重郡川越町内)構内に建設したパイロットプラントを用いて、技術の実証を行います。

  1. ※1 製材時の端材・バーク(樹皮)・伐採木・ダム流木等。
    バイオマスは生物資源の意味。木質系以外では、もみ殻、わら、動物の糞尿、生ゴミ等がある。
  2. ※2 メチルアルコール。工業用アルコールとも呼ばれる。現在は、工業用の各種薬品(酢酸、ホルマリン、エーテルなど)の原料として広く使用されている。市販品では塗料、洗浄液、不凍液などに含まれる。安価に製造できれば、硫黄分を含まないクリーンな燃料として、軽油やLNGの代替利用が可能。

 木質系バイオマスは、国内に豊富に存在するため、自給自足が可能な資源として近年注目されており、また、エネルギーとして利用してもCO2を増加させない※3ことから、究極のCO2対策としても期待されています。しかし、他の燃料と比べて輸送時の体積が大きく、固体燃料であるため、これまでの利用方法は、当該地域での小規模な直接燃焼に限定されていました。

  1. ※3 バイオマス燃料から排出されるCO2は、再び植物に吸収され循環することからCO2を増加させない。
    別紙2参照

 今回の技術は、伐採木やダム流木等の廃棄物を、輸送・貯蔵・取扱いが容易な液体燃料に転換して有効利用できるという点で画期的な技術です。具体的には、微粉化した木質系バイオマスに酸素と水蒸気を加え、ガス化炉で一酸化炭素と水素にし、これを高温高圧下で反応させることによりクリーンな燃料であるメタノールを製造します。これにより、従来の液体燃料(軽油やLNG)の代替として、小型ボイラやコージェネレーション(熱電併給)システム、さらには燃料電池の燃料として利用可能となります。

 バイオマスからアルコール燃料を製造する他の方法としては、糖・でんぷんからエタノール※4を製造する発酵法がありますが、これと比較して本技術は、バイオマスのあらゆる部分(茎、葉、実など)を利用でき、燃料への転換効率が高い(重量比で40~50%)という特長があります。

  1. ※4 エチルアルコール。酒(飲料用アルコール)の主要な成分。メタノールより高コスト。燃料利用としては、ブラジルで砂糖キビを発酵させて作ったエタノールを自動車用燃料として使用している例がある。(効率は重量比で約30%)

 パイロット試験において、バイオマス原料の前処理から、ガス化、メタノールの製造までを一貫したシステムとして検証し、実用化を目指していきます。

以上


<別紙1>

パイロット試験の概要

1 実施体制


○試験項目
  1. ?ガス化炉関係 ・・・ ガス化特性、バイオマスの樹種変更によるプラントの応答性など
  2. ?メタノール関係 ・・・ 化学成分分析など
  3. ?その他 ・・・ バイオマスの収集・運搬・乾燥方法、実用化の可能性評価
○期  間
平成16年5月 ~ 平成16年11月(予定)

2 設備概要図

3 プラントの概要


寸法 約50m×約50m
バイオマス原料 伐採木、バーク(樹皮)、ダム流木 等
バイオマス処理量 2トン/日
メタノール発生量 20リットル/日
運転計画 毎月1回(5~11月)、1週間程度の昼夜連続運転
※ ガスからメタノールを製造する技術は、ほぼ確立されていることから製造設備は スケールダウンしている。

パイロットプラント全景

4 研究スケジュール

以上


<別紙2>

<バイオマスエネルギーについて>

 バイオマスは生物資源とも言われ、太陽エネルギーにより大気中の二酸化炭素(CO2)が固定されたものであり、燃焼等で利用しても大気中のCO2が増加しないため、究極のCO2対策として注目されています。
 また、再生可能であり、日本国内でも調達可能な新エネルギーとしても注目を集めているものです。  バイオマスとしては、伐採木などの木質系バイオマスやもみ殻などの農業廃棄物がありますが、これらは山間部や田畑などに広く分布しており、輸送や利用の面で課題があります。
 このようなバイオマスを利用するには、輸送・貯蔵・取扱いが容易な液体燃料に高効率で転換する技術が有効です。

バイオマスを用いた再生可能エネルギーの概念図

以上