聞こえない音も見える!低周波音の映像化装置を開発~ 低周波音用“音カメラ”の開発 ~
平成17年5月24日
中部電力株式会社
当社は、株式会社熊谷組殿(取締役社長:大田弘 本社:東京都新宿区)、信州大学工学部 山下恭弘教授と共同で、低周波音※の発生方向を特定し、視覚的に表示する装置の開発に成功いたしました。
※低周波音とは、音の高さを表す周波数がおおよそ100Hz以下のものを言う。
音の映像化装置としては、既に、平成13年に世界初の“音カメラ”を開発し発表しています。“音カメラ”とは、音の発生方向、音の大きさ(音圧レベル:dB)、音の高さ(周波数:Hz)を特定し、デジタルカメラから取り込んだ画像上にそれらを表示するものです。
今回開発した装置では、従来の音カメラでは不可能であった100Hz以下の低周波音の映像化を実現しました。低周波音は日常空間に多く存在し、個人差はありますが、人に頭痛やめまい、圧迫感を与えたり、建具類を振動させることがあります。また、音の広がる角度が大きく、遠くまで伝搬する性質があるため、その発生源を特定することが非常に困難です。中でも20Hz以下の超低周波音は、人の耳では聞くことができないという特徴があります。
このように、人の耳では聞くことができない音までを可視化する実用レベルの音源探査装置は世界でも例がありません。
本装置には、以下のような特長があります。
- (1) 低周波音源が複数ある場合でも、それぞれの音の発生方向、音の大きさ(音圧レベル)、音の高さ(周波数)を表示します。
- (2) 適用可能な周波数範囲は、10~550Hzであり、100Hz以下の低周波音、さらに耳に聞こえない10~20Hzの超低周波音までカバーします。
(従来の音カメラの適用可能範囲は100~4,500Hzです。) - (3) AC電源駆動およびバッテリ駆動が選べるため、室内外を問わず使用できます。また、装置本体も小型・軽量のため屋外での移動・設置が容易にできます。
本装置の利用により、従来の装置では特定が困難であった低周波音の発生方向を特定し、その特性を判別することが可能となり、工場騒音や交通騒音、工事騒音等に対する防音対策への活用が期待できます。
今後は、様々な音環境に本装置を適用して、その有効性を検証していく予定です。
以上
別 紙
1. 低周波音の特徴
2. 開発の背景
3. 本装置の概要

図1 低周波音用音カメラ システム系統図
4.開発期間 平成15年6月~平成17年3月

写真1 低周波音用音カメラ 全景

写真2 低周波音用音カメラ センサ部
5. 測定例と測定画面の説明

図2 低周波音用音カメラの測定画面(空調室外機)
- 1: カメラの画像上に音の発生方向を円で表示します。円の大きさは音の大きさ(音圧レベル)を示し、円の色は音の高さ(周波数)を示します。
- 2: どの周波数がどの色に対応しているかが分かるようになっています。
6. 開発のポイント
- (1)マイクロホン間の音の到達時間差は、マイクロホン間の音の波のずれにより求めます(図4)。低周波音は、高周波音にくらべ波がゆるやかなため(図5)、マイクロホン間隔が短いと波のずれがとらえにくくなります。低周波音用音カメラでは、マイクロホンの間隔を広げて波のずれをとらえやすくしました。
- (2)低周波音では、マイクロホンそれぞれが異なる測定誤差を有します。各マイクロホンの測定誤差を補正した上で、マイクロホン間の音の到達時間差を求めることとしました。
以上により、低周波音用音カメラの開発が可能になりました。

図3 音の到達時間差の概念

図4 音の波のずれと到達時間差

図5 高周波音の波と低周波音の波
以上