プレスリリース バックナンバー(2006年)

大井川ダム維持流量放流設備からの異常放流の原因と再発防止対策について

平成18年4月14日
中部電力株式会社

 当社は、平成18年3月16日に発生した大井川ダム維持流量放流設備からの異常放流事象について調査を進めてきましたが、その原因と再発防止対策を以下のとおりとりまとめましたのでお知らせします。

 下流地域をはじめとする地元の皆さまに、ご心配をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます。また今後、再発防止策を徹底します。


1 原因


  • ○ゲート周囲に取り付けた水漏れ防止ゴムが劣化により変形し、ゲートが閉じない故障が発生した。
  • ○ゲートが閉じない場合、ゲートを再開閉する自動制御に移行するが、自動制御のプログラムに誤りがあり、ゲートが閉じない状態が続いた。
  • ○ゲートが閉じない状態が継続すると制御プログラムが「自動異常」(ゲートが自動制御できない状態)と判定し、ゲート全開となった。

2 再発防止対策

(1) 当該設備の対策


  • ○水漏れ防止ゴムを取り替える。
  • ○ゲートを再開閉する自動制御のプログラムを修正する。
  • ○異常発生時には、その時点のゲート開度で固定する制御方式に変更する。

 以上3つの対策を4月25日までに実施する。


  • ○ゲートを全閉状態にして、水漏れ防止ゴムの健全性確認等の機器点検を行う。

(2) 類似施設の対策


  • ○類似の5施設(寸又川ダム、境川ダム、塩郷えん堤、笹間川ダム、久々野ダム)についても必要な対策を4月28日までに実施する。

(3) ダム放流設備全般の対策


  • ○ダム放流設備全般の信頼性を向上するため、システムの設計と検査の改善、教育・訓練の充実を図る。

以上

資料

大井川ダム維持流量放流設備からの異常放流について

1 事象の概要

 平成18年3月16日17時30分頃、静岡県榛原郡川根本町にある当社大井川ダムにおいて、維持流量放流設備の放流ゲートが自動制御により開き、最大約12m3/秒、総量にして約6万m3の水が放流されました。

(平成18年3月16日お知らせ済み)

 これまでの調査により原因を特定し、再発防止対策を決定いたしました。



2 ダム設備の概要



3 維持放流設備の概要(断面図)



4 放流事象の経過

(1) 発生時の状況

 大井川ダムからの放流量:1.93m3/s(維持流量のみ)が最大で12m3/sにまで増水。

(2) 発生経緯(平成18年3月16日)


発生時間 状況
17:29 水系表示盤に「その他故障」表示、警報音確認
17:40 ダム管理所員2名現地出向
17:58 ダム管理所員現地到着(維持放流設備自動制御装置で「自動異常」「上限」維持放流ゲート開度「198」cmを確認、ダム管理所へ連絡)
18:00 維持放流ゲート機側盤操作にて放流ゲートを「閉」操作開始
18:18 大井川ダム下流の河川パトロール開始
18:22 大井川ダム下流~寸又川合流点まで 一斉サイレン吹鳴開始
19:16 ゲート開度を異常放流前の20cmに戻し、以後一定開度を保持
19:20 ゲート巻上機のモーター電源「断」(ゲートは動かない状態に)
23:28 大井川ダム~塩郷えん堤の河川パトロール結果「入川者なし」を確認

(3) 現在の状況

 当放流ゲートは、具体的な対策を講じるまで使用を停止し、取水庭排砂ゲートから所定の流量を放流しております。



5 放流の経緯・原因

 放流ゲートの開閉は、所定の維持流量を放流するため、ダム水位に応じ設定されたゲート開き幅になるよう、自動制御を行っています。これが今回、次の順序により全開となりました。


  1. ①大雨・洪水・雷注意報発令によりダム管理所の体制が予備警戒体制に入り、この時に行う設備等の予備点検を実施。
    【ゲート開度19cm】
  2. ②予備点検の1項目である予備発電装置点検のための電源切り替えに伴って、当初の設定通りにゲートが「開」作動。
    【ゲート開度20cm】
  3. ③作動後の開度(20cm)は、この時のダム水位に対する目標開度(19cm)より大きかったため、プログラムに従ってゲートが「閉」作動をしようとするが、放流ゲート「止水ゴム」が劣化し、これが変形したことにより、ゲート巻上機に負荷が生じてゲートが閉じない故障が発生。
  4. ④③において現在開度(20cm)が目標開度(19cm)と相違するため、本来はゲートを再開閉する制御へ移行し、その制御でも目標開度にいたらなかった時は、再開閉失敗となりゲートを設定上限開度まで開けつづける制御に移行するはずであった。しかし、ゲートを再開閉制御に移行する判定条件に誤りがあり、この制御に移行しないままゲートが閉じない状態が続いた。
    【ゲート開度20cm】
  5. ⑤設定された時間内に目標開度とすることができず、プログラムが「自動異常」(ゲートが自動制御できない状態)と判定し、ゲートの「全開」(198cm)作動に移ると同時に監視盤の警報が発報し、増加放流となった。

 本ゲートは、河川環境の保全に必要な流量を放流するという設備の目的から、ゲート故障等の異常時は、放流量を減少させないようにゲートが全開となる制御としていたことから、今回の事象が発生いたしました。
 なお、このゲートが全開となる場合でも、下流河川の急激な水位上昇を抑えるよう開速度が10cm/分と低く設定されています。



6 再発防止対策

(1)当該設備の対策(①~③の対策は4月25日までに終了予定)


  1. ①放流ゲート故障の原因であるゲート周囲の止水ゴムの取り替え。
  2. ②ゲートを再開閉させる制御に移行するプログラムの判定条件を修正する。
  3. ③異常発生時には、その時点のゲート開度で固定する制御方式に変更する。
  4. ④ゲートの機器点検をより適切に行うため、これまで、放流を続けたまま行っていた点検を、今後は維持流量の放流を取水庭側に切り替え、ゲートを全閉状態にして止水ゴムの健全性確認等を行う。

(2)類似施設の対策

 大井川ダムと同様にゲートあるいはバルブが全開制御となる類似施設の5施設(寸又川ダム、境川ダム、塩郷えん堤、笹間川ダム(以上は静岡支店管内)および久々野ダム(岐阜支店管内))についても、対策を4月28日までに実施する。

(3)ダム放流設備全般の対策


①システム設計の改善

 放流機能を有するすべてのゲート制御設備について、フェイル・セーフ機能の追加をはじめとする高信頼度の設計思想に基づいて設備構築を行う。一方、このような高信頼度のシステム設計をめざすものの、万一、異常が発生した場合には、影響を最小限にとどめる観点から、設備規模に応じ、遠隔機能の追加、異常時におけるゲート全開制御モードへの移行停止、えん堤サイレン・立札の設置を行う。


②システム検査の改善

 現状、システム検査の手引きはシステムの新設・取替および改造時に適用しているが、今後は、システムの定数変更等においてもこの手引きが適用できるよう、平成18年上期末までに改正する。


③教育・訓練の充実

 各放流設備が放流に至る制御モード、制御移行条件の整理を行い、制御員への教育を平成18年5月末までに実施する。また、各ダム管理所においても異常時の対応訓練を定期的に継続実施する。


以上


(参考)

大井川ダムと類似施設の概要

施設名 現在総貯水容量(千m3) 所在地
寸又川ダム 166 静岡県榛原郡川根本町
境川ダム 434 静岡県榛原郡川根本町
塩郷えん堤 274 静岡県榛原郡川根本町
笹間川ダム 2,599 静岡県榛原郡川根町
久々野ダム 1,064 岐阜県高山市朝日町