プレスリリース バックナンバー(2007年)

電力系統制御用SMES(スメス)(超電導電力貯蔵システム)の実証試験開始について ~高品質な電力供給の実現に向けて~

平成19年6月15日
独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
中部電力株式会社

NEDO技術開発機構〔※1〕および中部電力は本日より、「超電導電力ネットワーク制御技術開発」プロジェクト〔※2〕において、電力系統制御用SMESの実用化に向けた実証試験を開始します。



 電気は貯蔵することができないため、常に使用する量と発電する量とが同じでなければなりません。これらのバランスが崩れると、電圧や周波数が不安定(品質の低下)になるため、電力品質を安定化する技術が望まれています。

 今回実証試験を開始する電力系統制御用SMESは、電力貯蔵を行うことが可能な超電導コイルを用いて、電力の充電と放電を高速で効率良く繰り返し行うことができるという特長を持っており、電圧や周波数の変動を抑えることによって、高品質な電気をお客さまのもとへお届けすることができます。

 本日から開始する実証試験では、古河電気工業株式会社殿の協力を得て、古河日光発電株式会社殿の細尾発電所(所在地:栃木県日光市)に出力1万kWのSMESシステムを設置し、SMESの信頼性を確認します。(詳細は別紙参照)

<検証内容>

1)電力の充・放電を繰り返し行うことによる耐久性・系統安定性への影響

2)電力ネットワークの電圧・周波数変動が発生した際の制御応答性、動作特性

3)システムの信頼性


〔※1〕「独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構」の略称。

〔※2〕本プロジェクトは、経済産業省資源エネルギー庁の電力技術プログラムの一環として、NEDO技術開発機構の委託事業を中部電力の他、九州電力株式会社と財団法人国際超電導産業技術研究センターが共同で受託し、実施しているものです。


以上


< 別紙 >

超電導電力ネットワーク制御技術開発の概要

1.電力系統用SMESの構成例

超電導とは

 物質の中に電気を流そうとすると、物質は電気を流すまいとして抵抗します。
 これは、電気抵抗と呼ばれ、銅やアルミニウムなどの金属では抵抗が小さく電気を良く通しますが、プラスチックや紙などでは抵抗が大きく電気は流れません。
 超電導とは、この電気抵抗がない状態のことであり、特定の元素や化合物を冷やしていくと、突然電気抵抗が消え超電導状態になります。


SMESとは

 超電導線のコイルに電気を流しても、電流が減衰することがなく一定の磁場を発生し続けるため、電気エネルギーを磁気エネルギーとして貯蔵することができます。


2.開発目的

 電力自由化の進展による遠隔地電源からの長距離送電や、地球環境対策などに伴う分散型電源の導入により、電力ネットワークの安定度や品質の低下が懸念されています。また、IT化の進展等に伴い、落雷等により瞬時的に発生する電圧変動においても影響を受けない、安定した電力の品質を求める声が高まっています。

 SMESは、大きな容量の電力を瞬時に繰り返し充電・放電することができるなど、これまでの技術には見られない、優れた特長を有しており、電力ネットワーク制御用として極めて有望な機器であることから、今回、電力系統制御用SMESの性能について検証します。


3.SMES性能の検証

 工場における性能検証試験のみでなく、実際のネットワークに接続し、繰り返しの負荷変動に対する耐久性、および系統への影響を検証することにより、総合的な性能検証を行います。

 なお、実証試験は変動負荷を有する古河日光発電株式会社細尾発電所(栃木県日光市細尾町)にて実施します。


図3 SMES試験設備鳥瞰図


表1 電力系統制御用SMES主要諸元
項目 諸元
変換器設備容量 1万kW
超電導コイル蓄積エネルギー 19MJ
超電導コイル導体種別 金属系(NbTi)
運転温度 4.2K
運転電流 1,350A
運転電圧 1.1kV
最大磁界 4.4T

4.実証試験における検証項目

区分 試験項目 検証項目
基本性能試験 SMES本体の基本性能 冷却特性、起動・停止、無負荷通電試験、漏洩磁界、保護性能、通電特性、遮断特性、効率等
制御応答性試験 ステップ応答試験正弦波制御応答試験
故障検出・監視機能 故障検出(コイル、電流リード、変換器ほか)機能を検証
系統影響評価試験 電圧変動、力率、高調波、フリッカ、不平衡、周波数変動
実負荷応答試験 実変動入力信号による2万回以上の実動作
(1,000kW-10秒程度の繰り返し)
冷凍機の基本性能 冷却特性、耐久性能試験

5.実証試験スケジュール


6.実施体制


以上