プレスリリース バックナンバー(2007年)

浜岡原子力発電所4号機 起動中の原子炉手動停止について(原因と対策)

平成19年11月30日
中部電力株式会社

 平成19年11月15日、調整運転中の浜岡原子力発電所4号機(沸騰水型、定格電気出力113.7万キロワット)で発生した、原子炉冷却材浄化系(以下、「CUW系」という。)(※1)の停止について、これまで原因の調査と対策の検討を実施してまいりました。その結果をとりまとめましたので、お知らせいたします。なお、この結果については、本日、原子力安全・保安院に報告しました。


1 点検・調査結果について

 CUW系の機器・配管等の外観目視点検、熱交換器の伝熱管漏えい確認、関連パラメータの確認等を実施した結果、損傷や漏えい等の異状は認められませんでした。また、差流量計測回路(CUW系入口流量計、CUW系出口流量計、ブローダウン(※2)流量計の各流量計と差流量演算器で構成)を調査した結果、各流量計や演算器は計器精度内にあり、異状は認められませんでした。

 しかし、ブローダウン流量計のローカット(※3)値が、「CUW差流量大」警報の設定値より大きいことを確認しました。


2 原因について

 差流量は、入口流量に対する出口およびブローダウンの合計流量との差であり、差流量計測回路で求めています。ブローダウン流量計は、流量値が27.2m3/h以下の場合はローカットが働き、差流量演算器に対して0m3/hを出力するようになっていました。

 一方、差流量演算器が「CUW差流量大」の警報を点灯させる(と同時にCUW系は停止する)設定値は、ブローダウン流量計での流量値で24.7m3/h(温度差による密度の補正(※4)をした値)としています。

 今回の事象が発生した原因は、本来ブローダウン流量計のローカット値が警報設定値を下回っているべきところ、ローカット値(27.2m3/h)が警報設定値(24.7m3/h)を超えていたことです。これにより、ブローダウン流量計から差流量演算器への出力がローカットされ、この流量信号に基づく演算結果がそのまま差流量として計上され、かつ、ブローダウン流量が一定の流量範囲(24.7m3/h以上27.2m3/h以下の範囲)で一定時間(15秒間)(※5)推移したことにより、実際には差流量がないにもかかわらず、「CUW差流量大」の警報点灯に至ったものと推定しました。


3 再生熱交換器室前で確認した異音について

 「CUW差流量大」の警報点灯に伴って、CUW入口側隔離弁は「閉」状態になりましたが、ブローダウン流量調整弁が「開」状態であったため、系統内の水は復水器に流れることになりました。その際、再生熱交換器の胴側の水(約230℃の原子炉水)は、復水器に流れることで減圧され、沸騰し、蒸気を含んだ高温水となりました。この蒸気を含んだ高温水と、フィルタ脱塩塔出口側から排出される比較的低温の水(約50℃の原子炉水)が混合したことにより、ウォーターハンマ(※6)が発生し異音が生じたものと推定しました。

 フィルタ脱塩塔から再生熱交換器までの配管、およびこの配管から分岐し復水器までの配管(ブローダウン配管)については、ウォーターハンマの発生や設計温度を超える高温水の流入があったと考えられることから、設備の健全性について評価しました。その結果、これらの配管等への影響はなかったことを確認しました。


4 再発防止対策について

 ブローダウン流量計のローカット値を、「CUW差流量大」の警報設定に対し十分小さい値とするため、当該流量計を、現在のアナログ方式から、ローカットをゼロにできるデジタル方式に変更します。

 対策実施後、準備が整い次第、今晩にも原子炉を起動し、調整運転を再開する予定です。


(※1)
原子炉冷却材浄化系は、原子炉水中の不純物を除去し、水質を維持させるための系統です。CUWとは、Clean Up Water Systemの頭文字をとったもので原子炉冷却材浄化系を指します。
(※2)
ブローダウンは、排出を意味しますが、この場合、圧力上昇中の原子炉水位を調整するため、CUW系から復水器に原子炉水を排水することをいいます。なお、原子炉起動・停止過程以外の運転中には、CUW系のブローダウンは使用しません。
(※3)
計器のローカットは、入力信号が小さい領域で、入力信号の変動が出力信号に大きな変動を与える場合に、入力信号のしきい値以下では出力信号を出さないようにする機能です。
(※4)
水は温度により密度が異なります。CUW系は入口(約280℃)、出口(約230℃)、ブローダウン(約 50℃)で温度条件が異なり密度差があるため、差流量算出にあたっては、入口密度を基準として出口流量、ブローダウン流量を補正して計算しています。「CUW差流量大」の警報設定値32.1m3/hも入口の温度条件を基準としているため、これをブローダウンの温度条件で補正すると、24.7m3/hとなります。
(※5)
「CUW差流量大」の警報設定値に達してから、実際に警報が点灯するまでに15秒間の時間遅れ(タイマー)が設定されています。15秒間という時間は、CUW系の誤停止や誤警報の防止と、漏えい検出を早期に行うなどの役割バランスを考慮して決めた時間です。
(※6)
ウォーターハンマは、配管内で冷たい水と高温蒸気が合流すると、蒸気が冷却により凝縮し、そこへ向けて水が移動し配管を叩く現象です。管内の水流を急に締め切ったときに、水流の慣性で管内に衝撃・振動水圧が発生するといった現象もあります。

PDF添付資料:浜岡4号機 起動中における原子炉手動停止に係る原因と対策について[PDF:35KB]


(これまでお知らせした内容)

 平成19年11月15日午後8時8分に、調整運転中(出力上昇中)の浜岡原子力発電所4号機において、原子炉冷却材浄化系の異状を示す警報が点灯し、同系統が停止しました。その後、運転員が再生熱交換器室の入口で異音を確認しました。このため、原子炉を停止して調査することとし、同日、午後9時57分に原子炉を手動停止しました。

 同日、午後10時現在、同系統からの漏えいは確認されておらず、本事象による外部への放射能の影響はありません。

平成19年11月15日 公表済み)

 同系統上の機器や配管などの設備全体にわたって、外観目視点検を実施しました。その結果、設備全体にわたって漏えい箇所がないことを確認するとともに、変形や破損などの損傷箇所がないことも確認しました。

平成19年11月16日 公表済み)

 運転員が再生熱交換器室の入口で異音を確認したことから、再生熱交換器(3段全て)について漏えい確認検査を実施し、伝熱管の損傷がないことを確認しました。

平成19年11月22日 公表済み)

以上