浜岡原子力発電所 安全性のさらなる追求へ 浜岡原子力発電所 安全性のさらなる追求へ(2013年5月)の内容

動画の内容

浜岡原子力発電所は、東海地震の発生が想定されている地域にあります。

当社は、想定東海地震、東南海地震、南海地震の3連動地震を考慮し、従来から常に最新の知見を反映し、安全対策を積み重ねてきました。

2011年7月には、福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、「津波対策」を公表。
2012年12月には「津波対策の強化」や「シビアアクシデント対策」の実施を決定するなど、安全性をより一層向上させる取り組みを進めています。

また、原子力規制委員会の、地震対策、津波対策、重大な事故への対策などについて要求事項を定める「新規制基準」に対しても、速やかに適合することを目指し、必要な対応について順次検討を進めてまいります。

地震対策についてご説明いたします。

燃料が納まる原子炉建屋は、基礎面積を広く・厚く、厚い壁を多く・規則正しく配置。
ピラミッドのように重心を下げることで、地震の揺れに強い安定した構造にしています。

また、原子炉建屋は、地表からおよそ20m掘り下げ、かたい岩盤に直接設置しています。

一般的に、かたい岩盤での揺れは、表層地盤に比べ、2分の1から3分の1程度になるといわれています。

原子炉建屋の基礎岩盤は、今から概ね数百万年前から一千万年前に堆積した地層で、地震に十分耐えられる強度を確認しています。

新規制基準案では、「活断層の真上に重要設備の設置を認めない」との方向性が示されていますが、浜岡原子力発電所の敷地には、活断層や地震によってズレ動く断層はありません。

敷地には、H断層系と呼ぶ断層がありますが、詳しい調査の結果、活断層ではないことを確認し、意見聴取会など国の審査においても確認されています。今後もデータ拡充と知見の収集を継続していきます。

一般的に、地震の大きさは、震度やマグニチュードという単位が使われますが、原子力発電所の地震対策の評価に当たっては、地震の揺れの強さを表す「ガル」という単位を使います。

浜岡原子力発電所では、3連動地震を考慮したうえで、岩盤上での揺れの大きさを800ガルと見込んでおり、それに対して耐震性を確保しています。

そのうえで、岩盤上で1,000ガルという耐震目標を独自に設定。

耐震性をさらに高めるため、建屋内の配管や電線管に対して、およそ5,000箇所におよぶサポートの改造や追加設置を実施するとともに、排気筒の周囲を支持鉄塔で囲む工事などを2008年までに実施しました。

2013年3月に内閣府から「南海トラフ巨大地震の被害想定(第二次報告)」が公表されました。
南海トラフ巨大地震とは、3連動地震よりも広範囲の、駿河湾から日向灘沖までの一帯を震源域とする最大クラスの地震です。

この被害想定に用いられた強震断層モデルに基づいて、内閣府東側ケースおよび「強い揺れが生じる強震動生成域」を、当社がさらに東側に設定した直下ケースで、浜岡原子力発電所の地震動を評価した結果、岩盤上で最大1,000ガル程度となりました。

また、2009年8月の駿河湾の地震において、他の号機に比べて5号機の揺れが大きくなったことを踏まえ実施してきた地下構造調査および地震観測記録の分析の結果、「5号機の揺れの増幅の主な要因は、5号機周辺の地下浅い所にある低速度層である」こと、「この低速度層は5号機周辺以外にはない」こと、「5号機の増幅がみられるのは駿河湾の地震の到来方向に限られ、かつ5号機周辺以外の観測点では増幅がみられないこと」を確認しました。

この調査分析結果を反映して、内閣府の強震断層モデルに、強い揺れが生じる「強震動生成域」を、仮想的に5号機の増幅がみられる地震波の到来方向に集中して配置しなおし、さらにすべての「強震動生成域」に増幅を反映して評価した結果、地震動は岩盤上で最大1,900ガル程度となりました。

これらの地震動に対しても、現状の停止状態において安全性確保に必要な「原子炉建屋などの耐震安全性」を確保しています。
ただし、5号機にみられた増幅を踏まえると、5号機およびその周辺の安全上重要な施設を中心により一層の耐震性の向上が必要と見込まれることから、今後、内閣府の検討状況や新規制基準を踏まえて必要な対策を進めてまいります。

津波対策についてご説明いたします。

福島第一の事故の直接的な要因は、津波によって「海水取水ポンプ」や「非常用ディーゼル発電機」が浸水し、原子炉を冷やす機能を失ったことにあるとされています。

この事故を踏まえ、浜岡原子力発電所では、現在、3つの柱からなる津波対策工事を進めています。

「津波の浸入による発電所敷地内への浸水を防ぐ(浸水防止対策1)」。
「仮に敷地内が浸水したとしても、建屋内への浸水を防ぐ(浸水防止対策2)」。

また、福島第一と同様に、すべての交流電源や海水を用いて冷やす機能を失った場合においても、「冷やす機能」を確保する(緊急時対策の強化)です。

津波の浸入による敷地内への浸水を防ぐため、発電所敷地前面およそ1.6kmに「防波壁」を設置しています。

防波壁の高さは、南海トラフ巨大地震を踏まえた、海抜22m。岩盤の中から立ち上げた鉄筋コンクリート製の基礎をもち、地震や津波に対して粘り強い構造としています。

また、発電所の敷地側面から津波の浸入を防ぐため、敷地の東西に、海抜22m~24mの「改良盛土」を設置しています。

さらに、トンネルで海とつながっている取水路などの経路から海水を流入させないため、取水槽の周囲に「溢水防止壁」を設置します。

原子炉建屋内への浸水を防ぐため、外壁扉などの耐圧性、防水性を強化しています。外壁扉は2重化し、外側に耐波圧構造の「強化扉」を、内側に「水密扉」を設置しています。

安全上重要な設備が納まる機器室の水密扉の補強やその追加設置などをおこない、防水性能をさらに強化しています。

また、屋外にある「海水取水ポンプ」が浸水により使えなくなった場合に備え、同じ機能を持つポンプを、防水構造の建屋の中に設置しています。

ポンプの下は地表から25m~28mまで掘り下げた「地下水槽」となっており、原子炉を冷やすための海水を貯めるとともに、各号機の取水槽をつなぐことで、取水ルートを多重化しています。

福島第一では、津波によってすべての交流電源を失った後、原子炉の蒸気の力で注水していましたが、この制御に必要な「蓄電池」が切れ、最終的に「冷やす機能」を失いました。

こうした事態に陥ったとしても、確実に原子炉を冷温停止に導くために、電源供給、注水、除熱など、複数の代替手段で、冷やす機能を確保する対策を進めています。

まず、新たな電源として、海抜40mの高台に、「ガスタービン発電機」を設置し、原子炉を冷やす設備に、速やかに電源供給できるようにします。

また、蓄電池の容量を24時間電源供給が可能な容量に増やすとともに、予備の「蓄電池」を配備します。

それでも電源がなくなった場合に備え、原子炉建屋の屋上に「災害対策用発電機」を設置しています。

これらの電源対策により、原子炉内へ注水するためのポンプを動かすことができます。
なお、高圧注水系については、ポンプのモータ運転時に発生する熱を冷却する必要があります。このため、海水を用いて冷やす機能を失った場合に備え、空気で冷却する設備を追加設置します。

また、原子炉内の圧力が低い場合の注水手段についても、耐震性を強化します。

万が一、電気が使えない場合は、新たに配備した緊急用移動式大容量送水ポンプや可搬式動力ポンプなどで直接注水します。

注水に必要な水は、各号機の近くにある貯水タンクのほか、海抜30mの高台に地下水槽を新設するなどして、計14日分の水を確保します。

それでも足りない場合は、発電所の西側を流れる「新野川」や「取水槽」から取水します。

これらの対策により、原子炉内への注水を続けますが、水は燃料から発生する熱により蒸気となり、時間とともに格納容器の温度および圧力が上昇します。

こうした際に原子炉の熱を取り除く「ベント操作」を速やかにおこなえるよう、「中央制御室からの遠隔操作」ができるようにします。

また、電源がなくても「ベント操作」できるよう、現場で窒素ボンベを接続し、窒素の圧力でベント弁を開けるようにします。

これらの電源供給、注水、ベントによる除熱により原子炉を冷やし続け、海水取水ポンプの取替作業を実施。
その間に外部電源を復旧させ、1週間程度で冷温停止に導きます。

このほか、海抜25mの高台へ変圧器を新たに設置するとともに、送電設備や配電設備を整備するなど、外部からの受電設備も強化しています。

シビアアクシデント対策についてご説明いたします。

シビアアクシデントとは、燃料の著しい損傷を伴う重大事故のことをいいます。

福島第一では、燃料が溶け、放射性物質を環境中に大量に放出しました。

浜岡原子力発電所では、このような重大事故が起きたとしても放射性物質の大規模な放出を防ぐため、シビアアクシデント対策を進めています。

その主な対策が、フィルタ付きのベント設備の設置です。格納容器の圧力が高まった際に、圧力を下げて容器の破損を防ぐとともに、放射性物質を低減するフィルターを通して排気します。
これにより、セシウムなどの粒子状の放射性物質の環境中への放出量を1000分の1以下に低減し、長期にわたる土壌汚染を防ぎます。

浜岡原子力発電所では、地震対策、津波対策、など、設備面の対策だけでなく、全社防災訓練などの「総合訓練」と、対策工事が完了した設備を使って、その有効性を確認するための「個別訓練」を順次おこなっています。

当社は、引き続き浜岡原子力発電所の安全性をより一層向上させる取り組みを着実に進め、地元をはじめ皆さまの安心につながるよう、全力で取り組んでまいります。