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防波壁をつくる(2013年3月)

動画の内容

「ここの現場は多分、一生涯忘れることができない現場だと思います。」

「これだけのプロジェクトなら普通1年とか1年半の準備期間があって臨むがそれがなかった。」

「一般の方が防波壁を見ると、大きい機械が来て組み立てているイメージかも知れませんが、ほとんど人間がつくっているんです。」

「(工事が遅れると)取り返す期間がない。休日がなくて昼夜もない。」

ナレーション:
2012年12月、国からの全面停止要請から700日。浜岡原子力発電所敷地海側およそ1.6キロメートルに海抜18mの防波壁が完成しました。

この類を見ない土木工事を東工区と西工区に分けて進めました。

防波壁には、津波の浸入による敷地内への浸水を防ぎ、万が一防波壁を越える津波が押し寄せたとしても、敷地内への浸水量を抑制する役割があります。

防波壁の高さは東京電力福島第一原子力発電所を襲った海抜15mの巨大津波をも踏まえ、海抜18mに設定しました。

防波壁は、単に高さの確保だけではなく、地震や津波の力に十分耐えうる強度を確保するとともに、万が一、津波が防波壁を越えた場合にも耐えられる粘り強い構造物にする必要があります。
そのため、防波壁は、岩盤の中に、鉄筋コンクリートの基礎を埋め込みました。この基礎を「地中壁」と云います。

工事は地中壁、床版、たて壁の順におこないました。

基礎の掘削は深いところでは地下30mに及びました。

これが、地中壁を構成する「鉄筋かご」です。かごをつくる主要な鉄筋は直径5センチメートルという、通常のビル建設で使用される鉄筋の倍ほどの太さ。地盤を基礎の形に掘削し、この鉄筋かごを建て込んだあとコンクリートを流し込んで、地中壁を構築しました。

地中壁をつくるコンクリートの検査です。

人の拳さえ通さないほどに隙間なく組み上げられた鉄筋の間にまんべんなく、均等に流し込まなければならないため、流動性の高いコンクリートが要求されました。

基礎ができあがったところから「床版」の施工です。

床版は地中壁とたて壁をつなぐ構造上重要な部分です。地中壁頂部の鉄筋を取り囲むように鋼材や鉄筋を配置した後、コンクリートを流し込み、一体構造とします。

たて壁は、工場で製作した鋼製のブロックを現地で平行・直角など角度を合わせながら、精度よく組み立てます。

作業は海からの強風と闘いながら慎重におこないました。

構造上特に重要なたて壁の下部は強度を上げるため、内部をコンクリートで充填しました。

これらの他、地下を放水路が通る場所や地盤標高が高く岩盤が深い場所については、それぞれの条件に合った構造とし、工事を進めました。
着工から数えて、13ヶ月という短い工期を補うため、作業は、連日24時間体制。
最盛期には1日の作業員は500人を大きく超えました。

「(中部電力は)国の決まりもないなかで、新しく自分たちの判断でつくっていく。それは凄いんですね。われわれの常識でつくる構造物のはるかに強力なものをつくって。壊そうと思っても壊れないだろうというぐらいのものをつくっているから、自分たちのつくったものが(地震や津波に)やられない自信がある。」

「大震災などのテレビ映像を見たなかで、大震災、津波というものの、すさまじさを実感した上で、それを防ぐ防波壁をつくるんだと。ここに来たみんな、あの映像は頭から離れなかったと思います。安全、安心な発電所を、自分たちがつくるという思いはあったと思います。」

ナレーション:
現在進めている嵩上げ工事が終わると海抜22mの防波壁が姿を現す予定です。

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