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詳しく教えて!浜岡原子力発電所の安全対策(2016年3月)

動画の内容

見学者:
詳しく教えて!浜岡原子力発電所の安全対策。

キャラ:
皆さんの疑問に、私たちが答えます。
今回、学ぶのは、この7つ。
(原子力発電所の安全対策!
福島第一の事故は、なぜ起きた?
津波の浸入は防げる?
津波が入って来たら、どうする?
電源が止まっても、原子炉を冷やせる?
放射性物質は大丈夫?
どんな訓練をしている?)
私は中部電力のなかべまもるです。では、早速はじめましょう!

見学者:
原子力発電所の安全対策について教えてください!

キャラ:
原子力発電所の安全を守る基本は、「原子炉を止める」「原子炉を冷やす」「放射性物質を閉じ込める」の3つです。
原子力発電は、ウランの核分裂による熱を利用しています。
この熱で水を沸かし、その蒸気の力で、タービンを回転させて電気を作ります。
たとえば、大きな地震が発生した場合などは、制御棒が自動挿入され、核分裂が止まり、原子炉は停止します。
しかし原子力発電は、核分裂が止まったあとも燃料から熱が発生し続けます。
そのため、原子炉内の燃料を冷やし続け、格納容器を健全に保ち、放射性物質を閉じ込めることが重要です。

見学者:
じゃあ、東京電力福島第一原子力発電所の事故はなぜ起こったんですか?

キャラ:
福島第一の事故の経緯を説明します。
地震発生後、制御棒が自動挿入され、原子炉は停止しました。
地震の影響により、外部電源を喪失しましたが、非常用ディーゼル発電機が自動起動し、原子炉を冷却する機能は維持されました。
しかし、津波により、敷地内、建屋内に浸水。
海水で原子炉を冷却するためのポンプや非常用ディーゼル発電機といった原子炉を冷やすために重要な機器の機能を失いました。
原子炉を冷やすことができなくなったことで、燃料が溶け、その後、放射性物質を閉じ込める格納容器が破損。
また、燃料が高温になり、水素が発生し、原子炉建屋内で水素爆発が起こりました。
福島第一は、原子炉を止めることには成功しましたが津波により、原子炉を冷やすことができなくなったため重大事故に至りました。
浜岡原子力発電所では、福島第一の事故を踏まえて自主的に取り組んできた津波対策や重大事故対策に加え、2013年に施行された新規制基準を踏まえた対策を実施しています。

見学者:
もし、浜岡原子力発電所に津波が来たらどうなるんですか?

キャラ:
津波の浸入を防ぐのが、この防波壁です。
ここからは詳しくわかるVTRを見てみましょう。
安藤さんが教えてくれますよ!

職員:
はい!土木課で防波壁を担当している安藤です。
この防波壁は高さ海抜22m。総延長約1.6キロメートル。
巨大地震や津波に耐えれるよう基礎の地中壁は、岩盤に埋め込んでいます。
内閣府の想定する最大クラスの津波に対しても、敷地内への浸入を防ぐことができます。
さらに、防波壁の両端には、海抜22m~24mの高さになるようセメントを用いた改良盛土を設置し、津波の回り込みにも備えています。

キャラ:
これは取水槽といいます。
取水槽は海とつながっていて、原子炉を冷やす水を、沖合600mの取水塔から地下トンネルを通して取り込んでいます。
津波により海面が上昇すると、トンネルを流れる海水の量が一時的に増え、取水槽の水位が緩やかに上昇しますが、これによる敷地内への浸水を防ぐため、取水槽の周りに、考えられる水位上昇分を上回る高さ4mの溢水防止壁を建設しています。

見学者:
(それでも)津波が防波壁を越えてしまったらどうするんですか?

キャラ:
津波が防波壁を越え、敷地内へ浸入した場合に対しても、安全対策がとられています。
ここが原子炉建屋です。
この建物内に浸水しないように、扉は二重になっています。
外側には津波の圧力やがれきに耐えるよう強化扉を新設。
内側の扉は、浸水に耐える水密扉です。
水圧が高まるにつれ扉が枠に密着し、浸水を防ぎます。

見学者:
でも、不測の事態で、電源が止まったら、原子炉を冷やせるんですか?

キャラ:
その対策もおこなっています。
原子炉を冷やすために必要なのが、水と電源です。
福島第一の事故を踏まえて、浜岡原子力発電所では、複数のルートから外部電源を受電できるようにする対策や、原子炉建屋内に設置している非常用ディーゼル発電機を浸水から守る対策などをしています。
そのうえで、これらの電源がすべて使えない場合にも備えています。
そして、新たに設置した設備もあるんです。
藤吉さんに教えてもらいましょう!

職員:
はい!改良工事グループでガスタービンを担当している藤吉です。
これが新たに設置したガスタービン発電機です。
海抜40mの高台にある免震構造の建屋内に設置してあり、6台の発電機の合計出力は、19,200kW。
中規模水力発電所の出力に相当します。
この電源を使い、原子炉を冷やす場合に注水するためのポンプを動かします。
燃料タンクも高台に設置してあります。
最低でも7日間、ガスタービン発電機を動かすことができます。
さらに、ガスタービン発電機が使えない場合は、電源車を必要な場所に移動し、その電源でポンプを回し、原子炉へ注水する手段も備えます。

キャラ:
仮に、すべての電源がなくなった場合でも、電源がなくても動く可搬型の注水ポンプで注水します。
電源とともに必要な、原子炉へ注水するための水源も、貯水タンクと海抜30mの高台に新設する地下水槽には、最低でも7日分の水を確保しています。
また、取水槽や敷地の西側を流れる新野川などを水源とし、原子炉へ注水することもできます。

見学者:
でも、やっぱり心配なのは、事故が起きた時の放射性物質の問題です。

キャラ:
もし、何らかの理由で燃料が著しく損傷する重大な事故に至った場合も想定し、対策を実施しています。
万が一、炉心が損傷し、格納容器の温度が上昇する場合に備え、格納容器を冷やす設備を配備します。
また、格納容器内の圧力が上昇しその圧力を下げるために気体を外部へ放出する際は、放射性物質を吸着するフィルタを通し、排気します。
これにより、セシウムなどの粒子状の放射性物質の放出量を1,000分の1以下に抑えます。

見学者:
設備が万全でも、動かすのは人だけど。
万が一の場合に備えて、どんな訓練をしているんですか?

キャラ:
浜岡原子力発電所では、設備面での強化はもちろんそれを扱うのは、人であるという考え方のもと、さまざまな事態を想定した訓練を繰り返しています。
詳しくは古谷さんに聞いてみましょう。

職員:
はい!防災課の古谷です。
ここは、緊急時対策所です。事故が起きた場合、ここに対策本部が置かれます。
訓練では、福島第一のような過酷な事故を想定し、緊急事態に対応できるよう、中部電力の本店と浜岡原子力発電所に、対策本部を設置。
連携をとり、情報収集や判断能力の向上、対応手順の確認をおこない、災害対応に当たる訓練をおこなっています。
さらに、交流電源をすべて失った場合も想定し、中央制御室を模擬したシミュレーター室では、運転員の対応能力向上のための訓練を実施。
照明が消えた中での操作を確認します。
そして、配備された設備を使い、その手順や効果を確認する訓練もおこなっています。
電源を接続する訓練。ポンプを用いた注水訓練。必要な機器を操作する訓練もおこなっています。

キャラ:
自治体が主催する原子力防災訓練にも参加しています。
南海トラフ巨大地震と津波により、原子力災害が発生したという想定のもと、避難経路に設置されたスクリーニングポイントで放射線を測るスクリーニングを実施。
除染所までの案内をおこなう、一連の流れを確認し関係機関との連携強化をはかっています。

見学者:
浜岡原子力発電所ではもしものことを考えてさまざまな安全対策をおこなっていることがよく分かりました!

キャラ:
安全に絶対はない。
これは、対策を徹底的におこなう上での私たちの考えです。
浜岡原子力発電所では、「福島第一のような事故を起こさない」という強い決意のもと、これからも総力を結集して安全性の向上に全力で取り組んでいきます。

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