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浜岡原子力発電所における津波対策の強化について(2012年12月)

動画の内容

CHAPTER 1

内閣府の津波断層モデルを用いておこなった津波のシミュレーション結果と浜岡原子力発電所への影響評価について

CHAPTER 2

当社の津波対策の考え方と浜岡原子力発電所の津波対策の強化について

1.内閣府の津波断層モデルを用いておこなった津波のシミュレーション結果と浜岡原子力発電所の津波対策の影響評価について

浜岡原子力発電所では、東北地方太平洋沖地震において、福島第一原子力発電所に襲来したおよそ15mの津波高を踏まえ、海抜18mの防波壁を、発電所の敷地前面およそ1.6kmにわたって設置する工事を進めてきました。

2012年8月、内閣府「南海トラフの巨大地震モデル検討会」の第二次報告において、浜岡原子力発電所の海岸付近における津波高は最大で海抜19mになるとの推計結果が示されました。
当社は、内閣府より、津波高などの推計に関するデータ提供を受け、内閣府の津波断層モデルを用いた津波のシミュレーションにより、津波が浜岡原子力発電所に与える影響を評価しました。
このシミュレーションで得られた津波の水位は、海抜18mの防波壁前面で、海抜14.7m~20.7mとなりました。

これが津波のシミュレーションです。
マグニチュード9.1の南海トラフの巨大地震が発生します。
およそ20分で防波壁前面に津波が襲来します。
津波は、発電所敷地東側でおよそ1分間、防波壁を越えて敷地内に浸入します。
防波壁を越流した津波と取水槽などから溢れた海水により、敷地内の浸水深さは、5号機周辺で最大6m程度になります。
浸水をはじめて、およそ30分後には、取水槽からの排水などにより、敷地内の浸水は概ね20cm以下となります。
これ以降の津波は、発電所の敷地高さと同程度以下であり、防波壁を上回りません。

このシミュレーション結果をもとに、浜岡原子力発電所への影響について見てまいりましょう。
シミュレーションでは、津波は、海抜18mの防波壁を越流しますが、防波壁の働きにより、浸水量は抑制されます。
敷地内は、津波が防波壁を越流することと、トンネルで海とつながっている取水槽などから溢れた海水で浸水します。
屋外にある海水取水ポンプは、高さ1.5mの防水壁を越えて浸水します。
海水取水ポンプが浸水することで、海水を用いた冷却機能の喪失が想定されます。
しかしながら、浜岡原子力発電所では、建屋外壁扉などの耐圧性、防水性を強化して「建屋内の浸水を防止」するとともに、緊急時海水取水設備を防水構造にして、「海水を用いて冷却する機能を確保」します。
この結果、3号機から5号機が運転している状態においても、「原子炉を速やかに冷温停止できる」ことを確認しました。

2.当社の津波対策の考え方と浜岡原子力発電所の津波対策の強化について

当社は、福島第一原子力発電所の事故を受けて、2011年7月、津波対策を策定し、以降、海抜18mの防波壁を発電所敷地前面およそ1.6kmにわたって設置するなど、工事を着実に実施してまいりました。
当社の津波対策の考え方には、大きな3つの柱があります。
巨大津波に対して、防波壁などにより「津波の浸入による敷地内の浸水を防ぎ、また、取水槽などから溢れる海水による敷地内の浸水に対して、防水壁により原子炉機器の冷却に必要な海水取水ポンプを守る」とともに、「建屋内の安全上重要な設備の浸水を防ぐ」ことで、すべての安全上重要な設備の機能を維持することを目指します。
さらに巨大津波が、敷地内に浸入し、屋外の海水取水ポンプの機能を失ったとしても、防波壁などにより敷地内の浸水量の抑制効果を可能な限り高めたうえで、防水構造の建屋内に設置した緊急時海水取水設備により冷却機能を確保し、建屋内の安全上重要な設備の浸水を防ぐ」ことで、速やかに且つ確実に原子炉を冷温停止に導きます。
福島第一と同様に、全交流電源や海水冷却機能を喪失した場合においても、「電源供給手段と注水手段の多重化・多様化」、「除熱手段の多様化」など、複数の代替手段を講ずることで、冷やす機能を確保します。

当社は、このような考え方のもと、 津波対策を実施してきておりますが、最大クラスの巨大津波である内閣府の津波断層モデルによる津波に対しても、その考え方をさらに徹底するため、「浸水防止対策1」および「浸水防止対策2」を強化することとしました。
今回、最大クラスの巨大津波に対して、「敷地内への浸水防止効果を可能な限り高める」観点から、防波壁を4m嵩上げし、現在の海抜18mから海抜22mにします。
防波壁は、一般的な防波堤や防潮堤とは異なり、岩盤の中から立上げた鉄筋コンクリート製の基礎の上に、鋼構造と鉄骨・鉄筋コンクリートの複合構造からなるL型の壁を結合するなど、地震や津波に強い構造としています。
津波の波圧は深さに応じて大きくなります。
防波壁上部に設置する嵩上げ部の波力は比較的小さくなりますが、嵩上げ部は波力に対して余裕をもたせた構造とします。
併せて、 嵩上げによるたて壁の面積増加に伴って壁面全体が受ける波力も増すため、たて壁の下部を補強します。
嵩上げ後の防波壁のイメージは、ご覧のとおりです。
また防波壁と同じように、敷地の東西の盛土についても海抜18m~20mを海抜22m~24mまで嵩上げします。
さらに、原子炉機器の冷却に必要な海水取水ポンプエリアの防水壁については、現在の1.5mから3mに高くして浸水を防ぎます。
防波壁を越える津波と取水槽などから溢れる海水により、敷地内の浸水が増える場合に備えて、建屋内への浸水防止対策をより確実なものとする対策を講じることとしました。
今回の津波のシミュレーションにおいて、津波が防波壁を越えて敷地内に浸入した場合、5号機の建屋周辺の最大浸水水位は3号機、4号機に比べて5m程高い結果となったことから、5号機の高所にある建屋開口部に、実用化の検討を進めてきた自動閉止装置を新たに設置します。
それでは、対策の効果を確認した津波のシミュレーションをご覧ください。
南海トラフの巨大地震発生後、およそ20分で、防波壁前面に津波が襲来します。
発電所敷地内では、取水槽などから海水が溢れます。
このとき、防波壁前面における津波の高さは最も高いところでも嵩上げした海抜22mの防波壁を越えることはないため、3号機~5号機周辺の浸水の深さは、概ね1m以下で最大でも2m以下に留まることが確認できました。

当社は、浜岡原子力発電所の津波対策の取り組みを着実に進め、安全性をより一層向上させ、地元をはじめ社会の皆さまの安心につながるよう、全力で取り組んでまいります。

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