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プレスリリース バックナンバー(2008年)

高温過熱水蒸気発生システムの開発について~IH方式ヒーターを採用し高温・クリーンな水蒸気を発生!~

2008年10月21日

中部電力株式会社

当社は、このたび、財団法人ファインセラミックスセンターおよび株式会社大同と共同で、「高温過熱水蒸気発生システム」を開発いたしました。

本システムはカーボン製のIH方式ヒーターを採用し、600℃の高温かつクリーンな過熱水蒸気を製造できることが特長であり、平成21年1月から株式会社大同より販売を開始する予定です。

 

*過熱水蒸気:沸点より高い温度の乾いた水蒸気であり、加熱性能が良く高速均一な加熱が可能なこと
            等から、近年注目を集めており、食品調理や機械部品の洗浄等に活用されています。
            一方、500℃以上の高温の過熱水蒸気は金属やカーボン等を酸化させるという特性が
            あります。

 

このたび開発した技術では、カーボン製のIH方式ヒーターを採用しガラスのコーティングを施すことで、500℃以上の高温の過熱水蒸気を製造する場合でもヒーターの腐食を抑止することに成功しました。これにより、ヒーターの耐久性が向上するとともに、金属ヒーターのように過熱水蒸気中に金属成分などの不純物が混入することがなくなり、クリーンな水蒸気の製造が可能となりました。また、IH方式であるため、きめ細かな温度設定が可能であり、起動停止等の操作が簡単に行えます。

 

過熱水蒸気は、浸透性に優れるという特性をもっています。このため、過熱水蒸気を製品に吹きつけた場合には、内部に素早く浸透し、そこに含まれる不純物を蒸発させて除去することにより、製品の性能を向上させることができます。さらに、過熱水蒸気を600℃まで高温化することにより、パソコン等の電子部品を冷却するための放熱シートの性能向上等への適用も可能となり、高付加価値の製品を製造できるようになりました。

なお、本システムは、10月29日および30日に技術開発本部(名古屋市緑区大高町北関山20番地の1)で開催される「テクノフェア2008」で、展示いたします。

 

「高温過熱水蒸気発生システム」の主な特長

○高温でクリーン

ヒーターの腐食の抑止により、不純物の混入がない600℃の過熱水蒸気の製造が可能です。

○高精度の温度制御

IH方式のため、過熱水蒸気の設定温度に対して、±5℃以内の温度幅に制御可能です。

○高付加価値製品を製造可能

電子部品冷却用放熱シートの性能向上等に役立ちます。

添付資料

以上

添付資料1

高温過熱水蒸気発生システムの詳細

 1 過熱水蒸気

(1)過熱水蒸気とは

   過熱水蒸気とは、沸点より高い温度の乾いた水蒸気のことです(第1図)。100℃を超えると過熱
   水蒸気となります。

(2)過熱水蒸気の特長

   過熱水蒸気には、下記のような特長があります。

   ◆伝熱性能がよく、高速均一な加熱が可能である。

   ◆製品内部への浸透性が優れるため、内部の加熱が早い。

   ◆洗浄効果がある。

   ◆爆発の危険性が少ない。

(3)過熱水蒸気発生システムの仕組み

   第2図に示すように、まず汎用ボイラで約100℃の水蒸気を製造し、本システムに供給して加熱・昇
   温することにより、過熱水蒸気を製造します。本システムの内部には、円板状のカーボン製IH方式ヒ
   ーターが水蒸気の流れる方向に積層して設置されています。ヒーターの周囲に設置されたIHコイル
   に交流電流を流すことにより、ヒーターに電流が流れ、発熱します。


2 ヒーターの構造

ヒーターの構造を第3図に示します。ヒーターは、中心部のカーボン製の発熱体基板に二層のコーティングを施してあります。中心部の発熱体基板はカーボン粉末を焼き固めたもので、IHにより発熱します。500℃以上の高温の過熱水蒸気は金属やカーボン等を酸化させるという特性があるため、600℃の過熱水蒸気を製造する際に、この発熱体基板が過熱水蒸気と接触すると、腐食により短期間で損耗します。

このため本システムにおいては、発熱体基板にガラスのコーティングを施すことにより、発熱体基板が過熱水蒸気と接触するのを防ぎ、高い耐久性の確保に成功しました。コーティングは、酸化防止層と熱衝撃緩和層の二層からなっています。酸化防止層は緻密なガラス層であり、過熱水蒸気の浸入をブロックします。熱衝撃緩和層は柔軟なガラス層であり、急激な温度変化によって生じる発熱体基板とガラス層の収縮・膨張を吸収します。

 
3 金属ヒーターとの比較

(1)金属ヒーターとの比較(第1表)

◆耐久性…ヒーターの寿命は、金属ヒーターの数週間に対して、1年と大幅に向上しました。

◆汚染性…金属ヒーターは腐食した金属成分が過熱水蒸気に混入しますが、本システムはクリーンな
         水蒸気を発生できます。

◆温度制御性…従来の金属ヒーター式の温度制御幅が±10℃に対し、本システムは±5℃で制御で
            きます。

(2)ガス式との比較(第2表)

◆過熱性能…ガス式は温度の限界が400℃ですが、本システムは600℃まで温度を上げることがで
           き、様々な分野での適用が可能となりました。

◆温度制御性…ガス式の温度制御幅が±15℃に対し、本システムは±5℃で制御できます。

◆設置性…電気配線と水配管のみで済むため、生産ラインの近傍に手軽に設置できます。

 
 4 適用分野

高温化により過熱水蒸気の適用用途が広がり、従来の食品調理や機械部品の洗浄等だけでなく、製品加工にも適用できるようになり、高付加価値の製品を製造できるようになりました。ただし、500℃以上では、金属やカーボン等の酸化しやすい製品には使用できません。

(1)電子機器用冷却放熱材

   パソコンや携帯電話等の電子機器は内部の電子部品が発熱するため、その熱を外部に逃がすた
   めに、機器を収める箱の裏側に放熱シートが張られています。この放熱シートに高温の過熱水蒸気
   を照射したところ、熱伝導率が大幅に向上しました。これにより、熱が効率的に伝わることになり、電子
   機器の冷却効率が向上することになります。

(2)セラミックス製品の脱脂・乾燥

   セラミックス製品は、無機質の粉末を液体の粘着成分と混合して固めた後に、加熱して粘着成分を
   揮発させ乾燥・脱脂し、焼成して製品となります。従来使用されている自然乾燥や熱風の代わりに過
   熱水蒸気で加熱すれば、乾燥時間を大幅に短縮することができます。製造時間の短縮によって、セラ
   ミックス製品の生産性が向上します。

 

5 製品の仕様

製品の外観写真および仕様は、第4図および第3表のとおりです。