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プレスリリース バックナンバー(2008年)

イットリウム系超電導線材用に“銅を使用した基板”を開発(低コスト化により超電導応用機器の実用化を促進)

2008年10月29日

中部電力株式会社
田中貴金属工業株式会社
国立大学法人鹿児島大学

中部電力株式会社(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:三田 敏雄)と田中貴金属工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:岡本 英彌)、国立大学法人鹿児島大学(所在地:鹿児島県鹿児島市、学長:吉田 浩己)は、このたび、実用化が待ち望まれていたイットリウム系(以下Y系)超電導線材※1の低コスト化を可能とする「銅系配向金属クラッド基板」の開発に世界で初めて成功しました。

この「銅系配向金属クラッド基板」は、Y系超電導線材の材料であり、田中貴金属工業株式会社が平成20年12月から製造および販売を開始いたします。

超電導線材は、電気抵抗を発生させることがなく、損失無しで大容量の電流を取り扱うことが出来るため、電力分野にとって、大変魅力的な材料で、発電、送変電、貯蔵まで、幅広い分野での利用が期待されています。数ある超電導線材の中で、特にY系超電導線材は、取り扱いが容易な-196℃の液体窒素(従来は-269℃の液体ヘリウムが必要だった)で超電導状態を作り出すことができ、通電性能が良く、その実用化が待ち望まれていましたが、コスト面で問題がありました。

Y系超電導線材が、その特性を発揮するためには、結晶の向きの揃った特殊な基板(配向金属基板)が必要となります。今回の開発は、これまでの配向金属基板の主材料であるNi合金(ニッケルとタングステンの合金)に代わり、安価で配向性※2が高い“銅”を使用することにより、大幅な低コスト化と高性能化を実現いたしました。

これまで、銅を用いた配向金属基板は、銅の酸化による表面の膜の剥がれが発生することや強度が低いことから、実用化は難しいと考えられていましたが、今回、酸化を抑制する特殊なニッケルをコーティングするとともに、銅とステンレス等の補強材料を張り合わせる技術(クラッド化)を確立することにより、これらの問題を解決しました。

本開発により、今後、Y系超電導応用機器の実用化が更に促進されることが期待されます。

 

「銅系配向金属クラッド基板」の主な特長は、以下のとおりです。

 1 低コスト化を実現!

高価なNi合金に代わり、安価な銅を使用する事により50%以上の低コスト化を実現。

資源が豊富な銅を使うことにより、希少金属問題もクリア。

2 高性能・高強度化を実現!

Ni合金より高い配向性を達成し、また、酸化を抑制する特殊なニッケルをコーティングすることで、優れた超電導特性を実現。

銅とステンレス等の補強材料を張り合わせる技術(クラッド化)を確立することにより、強度の向上を実現。

写真 銅系配向金属クラッド基板(厚さは0.13mm 幅は50mm)

 

なお、超電導線材を用いた電力機器は、日米を中心に世界各地でその開発が行われ、日本では、国家プロジェクト「イットリウム系超電導電力機器技術開発」として、平成20年度から5カ年の計画で行われています。

 

1 開発者

中部電力株式会社

住所:名古屋市東区東新町1番地

代表取締役社長:三田 敏雄

 

田中貴金属工業株式会社

住所:東京都千代田区丸の内2丁目7番3号

代表取締役社長:岡本 英彌

 

国立大学法人鹿児島大学

住所:鹿児島市郡元一丁目21番24号

学長:吉田 浩己

 

2 製品に関する問い合わせ先

田中貴金属工業株式会社 経営企画部  (03) 6311-5590

 

3 発表内容に関する問い合わせ先

中部電力株式会社 広報部 報道グループ  (052) 961-3582

田中貴金属工業株式会社 経営企画部  (03) 6311-5590

国立大学法人鹿児島大学 総務課広報室  (099) 285-7035

 

※1 イットリウム系超電導線材

イットリウム(Y)・バリウム(Ba)・銅(Cu)・酸素(O)からなる超電導線材。

超電導状態で流せる電流値が大きく、磁場中での特性低下が少ない等、取り扱いが容易な-196℃の液体窒素で超電導状態を作り出すことが可能な超電導線材の中で、最も性能の高いもの。

 

※2 配向性

結晶の向きが揃っている程度を表す指標。結晶の向きを揃える程、高い通電特性を現す。

 

 

以上