疫学研究とは
「疫学研究」とは、人を対象に原因となる因子による影響の仮説(例えば喫煙と肺がんの関係など)を立てて、その関連性を統計的に解析する研究です。疫学研究には、症例対照研究(case-control study)とコホート研究(cohort study)などがありますが、電磁界の健康影響に関する疫学研究は、症例対照研究がほとんどです。
疫学研究の結果において、統計的に有意な関連性が確認されても、その結果から直ちにその因子と影響との間に因果関係があると結論づけることはできません。疫学研究で用いられる「関連性(association)」という用語について、「疫学辞典(John M. Last編、日本疫学会訳)」では以下のとおり解説しています。
「関連(association)は、偶然による場合や、さまざまな別の状況によってみられる場合があり、関連があることは、必ずしも因果関係があることを意味しているわけではない。」
従って、疫学研究の結果のみで因果関係の有無を判断することはできません。関連性に因果関係が存在すると判断されるためには、因果関係の判断基準を満たしている必要があります。
疫学研究結果の評価
現在までに磁界とガンの発生を対象にさまざまな疫学研究がおこなわれていますが、多くの疫学研究では以下のような問題点があることが指摘されています。
- 調査対象者の偏り(選択バイアス)の問題がある
- 他の研究との結果に一貫性がない
- 症例数が少なく、統計的精度が低い
- 磁界以外の因子(交絡因子)の影響が十分排除されていない
- 磁界曝露量の把握が正確でない
したがって、居住環境における電磁界の人への健康影響について、疫学研究のみでその関連性を明確にすることは困難であるとされています。