磁界とガン・生殖・遺伝などについてその関係を明らかにするため、動物(ラット、マウス、ショウジョウバエなど)実験、細胞実験などの生物学的研究がおこなわれています。
生物学的研究とは
動物実験や細胞実験は、一回の実験結果のみで判断するのではなく、一般に数回繰り返しおこない、同様の結果を示すこと(精度の向上)や別の研究者が同様な条件でおこなっても同様な結果を示すこと(再現性)などから、影響の有無が判断されています。
生物学的研究
- 細胞実験:遺伝子発現や細胞増殖などの影響を確認
- 動物実験:複雑な機能を持つ生体への影響を確認
生物学的研究において、これまでに影響があったとする実験は、そのほとんどが日常存在しえない非常に大きな磁界レベルでおこなった結果であったり、再現性に乏しいものです。居住環境における商用周波磁界による影響は認められていません。
国内における研究事例(電力中央研究所)
電界に関する研究
ヒヒによる実験状況
1984年から、米国エネルギー省と共同でヒヒを用いた学習行動や社会行動への電界の影響研究をおこない、電界の及ぼす影響は認められませんでした。
磁界に関する研究
ラットによる実験状況
1993年から、通産省(現 経済産業省)資源エネルギー庁からの受託研究として、生殖への影響実験をおこなった結果、妊娠ラットの健康状態、胎児の発育・奇形に及ぼす影響は認められませんでした。
また、電力中央研究所内の研究として、細胞の情報伝達機構の一つである細胞内カルシウムの濃度に及ぼす影響研究やハムスターを用いた生殖および胎児に及ぼす影響研究をおこない、いずれも磁界の影響は認められませんでした。
国内における研究事例(電力共同研究)
電力共同研究の実験装置:中心部の青色の箱が細胞を培養する培養器(インキュベータ)、白い枠が磁界を発生するコイル。
電力会社10社は共同で、1997年から1998年にかけて、磁界が人のがん細胞増殖に及ぼす影響について、1998年から2001年にかけて、磁界が免疫機能に及ぼす影響について、細胞実験を実施しました。
その結果、5,000mG(500μT)以下の磁界は、(1)人のがん細胞の増殖に対して影響を及ぼさない、(2)人のがん細胞への免疫機能に対して影響を及ぼさない、ことが確認できました。