耐震安全性評価・耐震チェック 新耐震指針に照らした耐震安全性の評価

浜岡原子力発電所は、十分な余裕を持って設計をおこなっており、従来から耐震安全性を確保していますが、原子力発電施設の耐震設計を審査する国の指針が改訂されたことに伴い、浜岡原子力発電所の各号機について、新耐震指針に照らした耐震安全性の評価を実施しております。
2007年1月には4号機、2月には3号機の評価が終了し、新耐震指針に照らしても耐震安全性を確保していることを確認し、国に報告いたしました。

評価の背景

国からの求め(2006年9月)に基づき、原子力発電所の耐震安全性についての信頼性をより一層向上させることを目的に、新耐震指針に照らした耐震安全性の評価をおこないました。

新耐震指針とは

原子力発電施設の耐震安全性は、原子力安全委員会で決定された「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針(耐震指針)」に基づいて確認されています。新耐震指針は、最新の知見を取り入れ、原子力発電所の耐震安全性についての信頼性をより一層向上させることを目的に、2006年9月に改訂されたものです。
(これまでの耐震指針の妥当性が否定されたものではありません。)

評価の内容

断層の位置・長さなどの各種調査をおこなった後、基準地震動Ssを策定し、施設などの耐震安全性を評価しました。

(1)各種調査(断層の位置・長さなど)、(2)基準地震動Ssの策定、(3)施設などの耐震安全性評価

各種調査(断層の位置・長さなど)について

新耐震指針に従い、後期更新世以降の活動が否定できない断層(注1)の考慮や、地球物理学的調査(反射法地震探査)などの精度の高い調査(注2)を実施しました。

【図解】反射法地震探査(2006年7月18日~10月6日実施)

(注1)後期更新世以降の活動が否定できない断層:耐震設計上考慮する活断層としては、後期更新世以降の活動が否定できないものとし、その認定に際しては、最終間氷期(約8~13万年前)およびそれ以前の地層または地形面を用いる。また、後期更新世とは、地質時代の区分の一つで、約13万年前から1万年前までの期間。

(注2)精度の高い調査:変動地形(活断層による地殻変動に起因する特徴的な地形)学的視点に基づいた地形調査や、敷地近傍についての地球物理学的調査(反射法地震探査)などの新たな調査。

基準地震動Ssの策定について

基準地震動Ssとは、新耐震指針において、原子力発電施設の耐震安全性を確保するための耐震設計の前提となる地震動のことです。
新耐震指針に従い、各種調査の結果を踏まえ、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動(注3)」および「震源を特定せず策定する地震動(注4)」を考慮し、新たに4種類の基準地震動Ssを策定しました。
このうち、最も大きな基準地震動Ssは、敷地の岩盤上で800ガル(注5)となります。なお、この基準地震動Ssは浜岡原子力発電所1~5号機に共通です。

耐震安全性評価に用いる基準地震動Ssの策定の流れ

耐震安全性評価に用いる基準地震動Ssの策定の流れの図

(注3)敷地ごとに震源を特定して策定する地震動:過去の地震や活断層調査などの詳細な調査により、震源の位置や規模を特定して策定する地震動。

(注4)震源を特定せず策定する地震動:敷地周辺の詳細な調査を実施しても、内陸地殻内地震の全てを事前に評価しうるとは言い切れないことから、全ての敷地において共通的に考慮すべき地震動。

(注5)加速度(ガル):地震の揺れの強さを表す数値で、単位はcm/s2

(注6)応答スペクトルに基づく手法による地震動評価:地震のマグニチュードと震源からの距離の関係をもとに地震動を評価する方法。

(注7)断層モデルを用いた手法による地震動評価:地震の原因である断層運動を表現したモデルをもとに地震動を評価する方法。

施設などの耐震安全性評価について

基準地震動Ssを用い、浜岡3、4号機の耐震安全性を評価しました。
その結果、下記の点を確認しました。

  • 耐震設計上重要な施設(原子炉建屋など)は、すべての基準地震動Ssに対し安全機能が保持される
  • 原子炉建屋基礎地盤が建物、施設を十分支えられる
  • 地震に伴い発生する事象(津波など)についても、原子炉施設の安全性に問題とならない

今後の予定

東海地震が想定されている地域で浜岡原子力発電所を運営している当社といたしましては、今後も発電所の安全・安定運転に努めるとともに、耐震安全性につきましても、最新知見の反映に努めるなどより一層の安全確保に取り組んでまいります。

  • 浜岡3、4号機に関する当社の評価結果について、国による確認がおこなわれています。
  • 引き続き、他号機の評価を進めてまいります。

解説1:浜岡原子力発電所の耐震安全性について

原子力発電所では、従来から、大きな地震に遭遇したとしても、周辺に放射性物質の影響を及ぼさないことを設計の原則としており、主に次のような地震対策をおこなっています。

  1. 1.敷地内には、活断層がないことを確認しています。
  2. 2.敷地に最大の影響を及ぼす地震を考慮した設計としています。(過去の地震の調査など)
  • 浜岡原子力発電所は、岩盤上における最大加速度600ガルの基準地震動S2(注8)に対して耐震安全性を確保しています。
  • 国の中央防災会議による想定東海地震の地震動(395ガル)に対しても十分な耐震安全性を確保しています。

南海トラフ沿いの三つの震源域(概念)図

  1. 3.建物の基礎を岩盤に直接設置するとともに、厚い壁を多く、規則正しく配置するなど地震に強い構造としています。
  2. 4.大きな地震が発生した場合(150ガルの揺れを感知した場合)には、原子炉が自動的に停止するしくみとなっています。

(注8)浜岡原子力発電所の基準地震動S2:旧指針において、過去に敷地に最大の影響を与えた安政東海地震の震源域に、これを上回る地震を想定し、この地震による敷地での地震動に余裕を考慮した地震動。

解説2:旧指針の基準地震動S2と新指針の基準地震動Ssについて

今回の新耐震指針に照らした評価において4種類の基準地震動Ssを新たに策定しました。最も大きな最大加速度を与える基準地震動Ss(赤線(1))は、これまでの基準地震動S2(点線(7))に比べると、原子炉施設の固有周期(揺れやすい周期)が集中する周期帯では、ほぼ同等となっているものの、極短周期側および長周期側は上回っており、岩盤上の最大加速度は800ガルです。

基準地震動Ssの応答スペクトル(水平動)

基準地震動Ssの応答スペクトル(水平動)のグラフ

解説3:基準地震動Ssの策定にあたっては、「不確かさ」を考慮しました

新耐震指針では、基準地震動Ssの策定に伴う不確かさも考慮することとされました。そこで当社は、下図(2)のとおり、大きな揺れを発生させるアスペリティを発電所敷地の直下に置くなどして、基準地震動Ssを策定しました。なお、国の中央防災会議が想定東海地震の地震動の計算に用いた設定は、基本モデル(下図(1))のとおりで、最新のデータ、科学的知見を反映した現時点で最適なモデルと評価されています。

基本モデル(国の中央防災会議モデル)からさらに、アスペリティ(震源域のうち特に大きな地震動を発生させる部分)が、発電所の直下にあると仮定しより厳しく考慮した、不確かさを考慮したモデル(Ss策定のために当社が考慮したモデル)になっています。