地震対策について 耐震設計の基本的な考え方

日本は、世界でも有数の地震国であるため、地震に対しても原子力発電所の安全性を確保する必要があります。
そのため、原子力発電所では、大きな地震に遭遇しても、放射線による被害を周囲に及ぼさないように、安全上重要な施設は、「敷地に影響を与える最大の地震を考慮する」「重要な建物・構築物は岩盤に直接設置する」「建物・構築物は原則として剛構造にする」という基本方針により耐震設計をおこなっています。

敷地に影響を与える最大の地震を考慮する

原子力発電所の重要な施設は、過去に起こった地震の記録や活断層の調査結果などから想定される最大の地震に加えて、その地域の限界的な地震も考慮して設計をおこなっています。
浜岡原子力発電所では、近い将来起こるといわれている想定東海地震や過去に繰り返し起こっている南海トラフ沿いの巨大地震も、考慮して設計をおこなっています。

これまでに起こった南海トラフ沿いの地震と東海地震

南海トラフ沿いの海域では、マグニチュード(M)8クラスのプレート境界地震が、100年から150年程度の間隔で繰り返し起こったことが、古文書の記録などから確かめられています。近年では、1944年に東南海地震、1946年に南海地震が起こっています。

これまでに起こった南海トラフ沿いの地震

【図解】これまでに起こった南海トラフ沿いの地震

想定東海地震とは、1944年の東南海地震と1946年の南海地震のときに歪みが解放されなかった、下図の青色の領域(駿河湾の奥から遠州灘の東部)で、近い将来起こるといわれている地震です。

想定東海地震の震源域

想定東海地震の震源域の地図

浜岡原子力発電所の敷地周辺は、過去に安政東海地震(M8.4)などのプレート境界型の巨大地震による揺れを経験しており、下図のaおよびbの領域にM8.4の地震を想定して設計をおこなっています。更に余裕を持たせ、これと同じaおよびbの領域に、これを上回るM8.5の地震を考慮して設計をおこなっているため、安政東海地震よりも規模の小さいM8.0の想定東海地震(図のaの領域)に対して十分安全性は確保されています。

解析上の震源域のモデル化

【図解】解析上の震源域のモデル化

重要な建物・構築物は岩盤に直接設置する

原子力発電所の重要な建物・構築物は、地震による揺れが相対的に小さくなる岩盤の上に直接設置しています。近年に起こった兵庫県南部地震や、過去に浜岡原子力発電所の敷地周辺に大きな影響を及ぼした1854年の安政東海地震などの際にも、岩盤などの地盤の良いところでは、揺れが小さく被害が比較的少なかったことが報告されています。

兵庫県南部地震時の地盤の違いによる揺れの大きさ

兵庫県南部地震の際に、特に被害の大きかった「震災の帯」といわれる震度VIIのゾーンは、沖積層と呼ばれる柔らかい地盤にひろがっており、一方、六甲山麓の岩盤上に建つ建物には被害が少なかったことが報告されています。

神戸市周辺の地盤と被害分布図

震源からほぼ同じ距離(100km程度)にある舞鶴海洋気象台と関西電力(株)高浜発電所で、共に地震観測記録が得られましたが、最大加速度は地表にある舞鶴海洋気象台では67ガルであったのに比べ、岩盤上の高浜発電所では22ガルと小さかったことからも、岩盤上では揺れが小さくなることがわかります。

地盤による揺れの違い

【図解】地盤による揺れの違い

安政東海地震時の地盤の違いによる揺れの大きさ

過去に、浜岡原子力発電所の敷地周辺に最も影響を及ぼしたと考えられる1854年の安政東海地震の際に、どの程度の震度や被害があったかは、古文書などから調べられています。

安政東海地震時の地盤と揺れの関係

【図解】安政東海地震時の地盤と揺れの関係

その結果、佐倉や御前崎などの新第三紀層(上図濃緑色部)の地盤の良い所では、震度V程度と比較的揺れが小さく、一方、川沿いの沖積層(上図白色部)などの柔らかい地盤上では震度VI~VIIとなっており、地盤の良し悪しで震度に差が生じています。
浜岡原子力発電所は地盤の良い佐倉にあり、発電所の安全上重要な施設は敷地(上図の斜線部)の中でも新第三紀層の岩盤の上に設置されています。

建物・構築物は原則として剛構造にする

原子炉建屋は、地震力を受け持つ鉄筋コンクリートの厚い壁を多く規則正しく配置した壁式の構造とすることによって、地震に強い堅くてしっかりした剛構造にしています。過去の地震においても、壁式構造の建物には、被害が少なかったことが報告されています。

原子炉建屋(壁式構造)

(1)厚い壁を多く規則正しく配置、(2)ピラミッドの様な安定した構造、(3)岩盤に直接設置

兵庫県南部地震の際の壁式建物の被害状況

兵庫県南部地震の被害調査結果でも、壁式の鉄筋コンクリート造の建物における被害は、少なかったことが報告されています。

被害が少なかった壁式の鉄筋コンクリート造の建物

鉄筋コンクリート造の建物の写真

日本建築学会などが実施した調査結果では、調査した1,000棟以上の壁式鉄筋コンクリート造の建物のうち被害が生じたものはわずか40数棟であり、倒壊したものはありませんでした。また、被害のあった建物を調査した結果、ほとんどの場合が、地盤が変形したことによる被害であったことがわかっています。このように、壁式の建物については、兵庫県南部地震のような大きな被害をもたらした地震においても、被害が少なかったことがわかっています。

壁式鉄筋コンクリート造の建物の地区別調査棟数と被害棟数

【図解】壁式鉄筋コンクリート造の建物の地区別調査棟数と被害棟数