南インドの山岳少数民族の村で植林「ソムニード」

森と人々の生活は密接につながっています

「記念日植樹券」の寄付は、2001年から始まり、ソムニードが現地の村の人たちと共に植えた木は、マンゴーやカシューナッツなど10種類以上、24,300本を越えました。初年度はオリッサ州にあるプットシル村の荒廃した山の復元に活かさせていただきました。

ほんの60年ほど前には、「ジャングル」だったこの地域も、今では、鉱山開発や都市部の建物や道路建設のための伐採が進み、草とわずかな灌木と、岩肌がむきだしの「はげ山」ばかりになっています。このような状況では、村の人たちの暮らしに不可欠な命の水も貯えられません。山に木がないと、雨季の集中的な雨で土砂崩れも招き、田畑の崩壊や村に住む人々の命をも脅かします。

森林の荒廃の激しい同地区の中で、植林をおこなったプットシル村の山は、インドの森を復活させる兆しを見せております。森の再生とともに、木の実が収穫でき、川には確実に水が増えました。また、その水を利用した小さな水力発電所がつくられ、今では各家に60Wの電気が灯るようになり、少しずつ生活も豊かになっています。ここでは、環境保護と人々の生活が密接につながっています。

2006年からは、プットシル村よりさらに10キロほど奥にあるボダマンジャリ村での植樹に、植樹券を使わせていただく予定です。ボダマンジャリ村の人々は、プットシル村で大きく育っていく苗木を見て、自分たちもかつての森を取り戻したいと名乗り出ました。この植樹プロジェクトが隣り村へと広がっていることは、大きな喜びです。

インド共和国 プットシル村・ボダマンジャリ村の地図
カシューナッツの木とスパさんの写真
左:苗作りから4年後のカシューナッツ
右:カシューナッツはスバさんの背を越えました(2年2ヶ月後)
苗が育ち始めたポットの写真
ポットの中で種から苗を作る
プットシル村の人々の写真
植林したプットシル村
水やりの写真
植林後の水やり
ポットをつくっている写真
ポットをつくって1本ずつ丁寧に育てます
プットシル村の森林の写真
プットシル村の再生しつつある森 村の生活を守る「命の水」を貯えます

プットシル村で再生しつつある森以外の周りの森は、殆どが岩肌むきだしの状態。2006年からは、ここボダマンジャリ村の山の復元に努めます。

ボダマンジャリ村の山の写真

スタッフがプットシル村を訪れた際に、歓迎の踊りをしてくださいました。

歓迎の踊りの写真

メッセージ

特定非営利活動法人ソムニード代表理事からのメッセージ

皆さんからの植樹券が村人に希望と勇気を与えます

ソムニードは、この活動がスタートした2001年からずっと、記念日植樹券プレゼントに寄せられた皆さんの善意を、地球環境の保護と、村人たちの植林を通した生活向上に使わせていただきました。記念日植樹券を通して、これまで3,100人以上の日本の皆さんが、地球緑化の取り組みに参加してくださったことになります。このカは、お金には換算できないものであり、このプログラムを通して実際に植林してくれたインドの村人たちに多大な勇気を与えてくれました。

最初の年、人ロ300人のプットシル村で始まった植林は、山奥から低地へと広がっていきました。今では4ヵ所以上の村に広がっています。各村の人々は、森林保護委員会を作り、苗床作りから植林後の保護、維持管理まで責任を持って取り組んでいます。植樹された木の種類は、植林地の適性を考慮して住民たちによって選ばれました。10種類以上の木を植えて多様性も考慮し、また、果樹、飼い葉用など、生活面での利便性も考慮されています。果樹にはマンゴー、カシューナッツなどがありますが、植樹後4年ほどたつとそろそろ果実が実り始め、住民たちの収入向上にもつながります。植林と一言でいいますが、環境は人間次第です。具体的に木を植え、育て、守る地元の人々がいて、初めて実質的な効果をもたらす植林ができます。また、植林と共に、森林地域を保護することで自然再生もできます。この植林は、人々に将来への希望を与え、村作りの大きな活力となりました。

和田信明氏の写真
特定非営利活動法人ソムニード
代表理事
和田信明氏

ソムニードの現地インドにおけるパートナー NGO「WIDA」からのメッセージ

私たち(WIDA)とプットシル村の人々とのお付き合いは、もう20年以上になります。私たちが彼らと出会った頃、この山奥の村も外からの大規模開発の波に影響を受け、森林の荒廃などさまざまな問題を抱えていました。それから20年、村人たちは自分たちの生活を守り、環境を回復する試みを営々と続けてきました。そのような試みの一つが、記念日植樹券プレゼントによる植林です。この植林の大きな特徴は、苗床作りから村人がおこなったことです。10エーカー(4ヘクタール強)ずつの比較的小規模でしたが、プランから実施、管理まですべて村人が責任を持ち、村の将来計画の中に大きく位置づけられた大切な植林でした。しかも、その場所は、数年前に建設したミニ水力発電所に水を供給する渓流の水源地の一部です。植林が単に環境を回復するだけではなく、人々の暮らしを良くする試みにも結びついているのです。電力は文字通りパワーを村人に与えましたが、この植林も別の意味で村人に大いにパワーを与えました。

日本の人々が、地球全体の問題を自分たちの問題として考え、このような形(記念日植樹券プレゼント)で参加してくれることはとてもうれしいことです。

WIDA代表 ウィリアム・スタンリーの写真
WIDA代表
ウィリアム・スタンリー

団体紹介

特定非営利活動法人ソムニード

岐阜県高山市に本部事務局を置くNGO。現在インドとネパールで、農村部の貧困層と都市スラムの住民を対象とした自立支援事業をおこなっている。住民参加による地域づくりが基本。それをもとに、人間社会の3つの構成要素、環境と経済、地域コミュニティーがバランスのとれた開発を目指す。植林、エコ・エネルギー、女性の自助グルーブ育成、などの事業をおこなうとともに、現場で働く方々を対象とした研修もおこなう。また、日本では小学校・中学校を主な対象とした国際理解教育、まちづくり、地域おこしの支援をおこなっている。

苗木の写真
カシューナッツの苗木

インド現地プロジェクトスタッフ

現地プロジェクトスタッフ の写真
左:原 康子氏
右:前川 香子氏

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