原子力発電所の地震対策 建築基準法の3倍の耐震性

発電所の安全を確保する上での重要度に応じ、耐震性を確保しています。
原子力発電所の安全上重要な機器、建物などは、建築基準法に定められた一般の建築物に求められる耐震基準よりも、大きな地震力に耐えられるように設計しています。

原子力発電所の耐震設計

建築基準法では、一般の建築物の耐震設計基準が定められている。一般の建築物は、水平方向からのある一定の力を加えた場合に、その建築物は耐えることが必要とされるが、原子力発電所の場合には、安全上重要な機器・建物などは、この3倍の水平方向からの力に耐えることが要求されています。

工学的な安全裕度を考慮して、原子力発電所の安全上重要な機器、建物などは、建築基準法の3倍の地震力を考慮して耐震設計しています。

【図解】一般建築物と原子力発電所の違い

原子力発電所の耐震設計では、水平方向の地震力(横揺れ)に加え、鉛直方向の地震力(縦揺れ)も考慮しています。多数の観測記録から、地震による鉛直方向の地震力は水平方向の2分の1程度であることが経験的に知られており、鉛直方向の地震力を水平方向の地震力の2分の1とし、同時に力が加わるものとして評価しています。

設計用最強地震(S1)と設計用限界地震(S2)

原子力発電所の特に重要な部分の設計には、過去の地震記録データや活断層によるものの他に、この周辺の地域ではこれ以上のものは起こり得ないというような大きな地震も想定し、基準地震動を作ります。基準地震動を作成する際の地震動は、設計用最強地震、設計用限界地震の2種類を考慮します。

基準地震動は、その強さの程度に応じ、2種類の地震動S1およびS2を選定します。

将来起こりうる最強の地震による地震動として、過去の地震および過去1万年の間に活動した活断層による地震を対象に、それぞれ揺れの周期および強さを評価し、これら全て上回るような地震動を設定します。これを設計用最強地震による基準振動S1といいます。
およそ現実的ではないと考えられる地震による地震動として、過去5万年の間に活動した活断層による最大の想定地震、地震地体構造から考えられる最大の地震、さらには直下地震を対象にそれぞれ揺れの周期および強さを評価し、これら全てを上回るような地震動を設定します。これを設計用限界地震による基準振動S2といいます。

基準地震動S1をもたらす地震(設計用最強地震)としては、歴史的資料から過去において敷地またはその近くに影響を与えたと考えられる地震が再び起こり、敷地およびその周辺に同様の影響を与えるおそれのある地震や近い将来、敷地に影響を与えるおそれのある活動度の高い活断層による地震のうちから最も影響の大きいものを選びます。

基準地震動S2をもたらす地震(設計用限界地震)は、地質学的見地に立ち、設計用最強地震を上回る地震について、過去の地震の発生状況、敷地周辺の活断層の性質および地震地体構造に基づき工学的見地からの検討を加え、最も影響の大きいものを想定します。

また、基準地震動S2には、直下地震によるものも考慮します。

対象施設(構造物・機器・配管系) 考慮すべき地震力
非常用炉心冷却系
非常用ガス処理系など
設計用最強地震による地震力(S1)
一般建築物の3倍の地震力
原子炉建屋
原子炉圧力容器
原子炉格納容器
制御棒および駆動機構
余熱除去系
原子炉機器冷却系など
上記(S1)に加えて、設計用限界地震による地震力(S2)

原子力発電所にはこれら以外にも多くの設備がありますが、それぞれ、発電所の安全を確保する上での重要度に応じ、耐震性を確保しています。