原子力発電所の安全対策 年に1度の定期検査

定期検査の実施

原子力発電所では、安全で安定した運転を続けるために約1年に1回、発電を停止して、設備や機器などの定期検査をおこなっています。

原子力発電所の定期検査の目的

定期検査(健全性の確認、機能の維持、信頼性の向上)をすることで、発電所の安全・安定運転に繋がります。

【図解】原子力発電所の定期検査の目的

出典:「原子力・エネルギー」図面集2009

タービンの分解点検の様子

検査制度の見直し

これまで安全上特に重要な設備については国の検査を受け、その他の設備については、電力会社が自主的に点検をおこなってきました。ところが、2002年に発覚した東京電力の自主点検記録に係る不正問題をはじめ、自主点検に関連したいくつかの問題が発生しました。このため、従来規制上の位置づけがなく、電力会社の自主的な判断に委ねられていた自主点検は、新たに「定期事業者検査」として法律で義務づけられることになりました。これにより電力会社は定期的に検査をおこない、その結果を記録・保存することがルールとして明確化されました。さらに、検査の実施体制や検査方法などは、独立行政法人「原子力安全基盤機構」の「定期安全管理審査」を受けることになりました。

定期検査の制度

【図解】定期検査の制度

出典:「原子力・エネルギー」図面集2009

設備の健全性の評価方法

原子力発電所が運転を始めてから全ての運転を終了するまでの間に、設備や機器の性能が維持されていることを確認する方法を定めた「維持基準」(日本機械学会の維持規格を活用)が、2003年10月より導入されました。

定期検査で、炉心シュラウドや原子炉冷却材の圧力を保持する設備にひび割れなどの不具合が見つかった場合は、この「維持基準」に基づいて設備の健全性を評価します。安全水準(許容基準)(注1)を満たしていることが確認できれば、監視を強化するなどしてそのまま使い続けますが、満たすことができなければ補修または設備を取り替えます。また、評価結果は、法令に基づいて国に報告するとともに、記録・保存します。
(注1)設備が壊れずに持ちこたえられる強度に、余裕を持たせた安全の水準。

設備の健全性評価の方法

【図解】設備の健全性評価の方法

出典:「原子力・エネルギー」図面集2009

高経年化に関する技術評価

機械や装置は使用時間の経過とともに、ゆるやかに材料の性質が変化(経年変化)する可能性があり、これに適切に対応していくことが必要です。原子力発電所では、「実用発電用原子炉の設置、運転などに関する規則」(2003年10月1日施行)に基づき、運転開始後30年以内に経年変化に関する技術評価をおこないます。技術評価はこれまでの点検結果や最新の技術的知見などをもとに実施します。その結果を踏まえて、30年以降10年間の長期的な保全計画を立て、必要に応じて補修や機器の交換などを実施し安全性を確保します。また、この評価以後10年以内ごとに再評価をおこないます。

評価手順

【図解】評価手順の流れ

(注1)炉内機器の経年化事象として、応力腐食割れ(SCC)、疲労、磨耗などが挙げられます。
(注2)構造や使用環境、材質によりグループ化して代表機器の評価を実施します。

高経年化対策への取り組みの概要

【図解】高経年化対策への取り組みの概要

出典:(「原子力・エネルギー」図面集2005-2006)