空想科学研究所 柳田理科雄の理科くらぶ

空想科学研究所 柳田理科雄の理科くらぶ

2011年10月3日

プロローグ

みなさん、こんにちは。空想科学研究所の柳田理科雄(やなぎたりかお)です。僕(ぼく)はふだん「ウルトラマンが本当に現(あらわ)れたら、地球はどうなるのだろう?」とか「正義(せいぎ)の戦隊はポーズを決めながら自己紹介(じこしょうかい)しているけれど、そんなことをしている間にやられたらどうするのかなあ?」などといったことを真剣(しんけん)に考えて、本を書く仕事をしています。これからしばらく、このページで、理科の面白さについてみなさんにお話したいと思います。
僕は理科が大好きです。理科というのは、小中学生や高校生に、科学について教える教科の名前です。科学とは、宇宙(うちゅう)や生き物など、自然について、調べたり考えたりする人間の営(いとな)みです。なぜ人間が科学を生み出し、続けてきたかというと、科学が面白く、役立つものだからです。

柳田理科雄イラスト

科学は、それまでになかった新しいものを生み出すことができます。たとえば、食べ物をめぐって争いが起きているとき、科学の心を持った人は、食べ物をたくさん手に入れる方法を考えました。それが、弓矢や投げ槍(やり)の発明であり、農業の始まりでした。
それは「みんなが幸せに暮(く)らせればいいなあ」という、人々の夢(ゆめ)を現実(げんじつ)のものにすることでもありました。新しいものを作ることによって、みんなの夢をかなえる。これが、科学の大きな役目です。
そして、科学は、大きな広がりを持っています。たとえば、カブトムシが歩いたり、メダカが泳いだりする姿(すがた)を見ていると「生き物って不思議だなあ」という気がしてきませんか。「なぜ動けるんだろう」「なぜ周りが見えるんだろう」と、謎(なぞ)がいくつも湧(わ)いてくるのではないでしょうか。

柳田理科雄イラスト

生き物が、岩や水や空気と違(ちが)うのは、その体が炭素(たんそ)を中心にできていることです。炭素というのは、皆(みな)さんが持っている鉛筆(えんぴつ)の芯(しん)の材料ですね。炭素は、それだけが集まると鉛筆の芯のように真っ黒な粉になりますが、水素(すいそ)や酸素(さんそ)や窒素(ちっそ)など他の物質(ぶっしつ)と結びつくと、筋肉(きんにく)や皮膚(ひふ)や血液(けつえき)など、生き物の体を作る材料になります。
なぜ、炭素には、そんな力があるのでしょうか。私(わたし)たちの体も山も海も地球も宇宙も、原子という小さな粒(つぶ)でできています。大きさが1千万分の1mmしかない小さな粒です。炭素も原子の1つで、さっき挙げた水素や炭素や窒素、そしてカルシウムや鉄や金や銀や銅(どう)も原子です。この宇宙にあるものは、いろんな原子がおもちゃのブロックのように組み合わさってできているのです。

そのなかで、炭素は他の原子とのつなぎ目を4つ持っています。これは原子のなかで最大です。つなぎ目が4つもあるので、1つのつなぎ目に別の炭素がつながり、それに炭素や酸素がつながり、その先に窒素と水素がつながり、残りの3つのつなぎ目にも炭素や窒素がつながり、というのを繰(く)り返して、何千個(なんぜんこ)もの原子がつながりあった複雑(ふくざつ)な物質が10万種類ほども作られます。そのなかには、光を感じたり、音を感じたり、力を出したり、情報(じょうほう)を伝えたりするものがあります。生き物は、これらの働きの組み合わせで生きているのですね。

では、その炭素はどうやってできたのでしょう。初め宇宙には、水素しかありませんでした。たくさんの水素が、自分たちの重みで集まって、かたまりになりました。その中心は、とても温度が高く、ぎゅうぎゅうに詰(つ)まっているので、水素同士(すいそどうし)が合体して、ヘリウム(これも原子です)になりました。この変化で、エネルギーが生まれ、水素のかたまりは明るく輝(かがや)き出しました。太陽のように燃(も)える星の誕生(たんじょう)です。
これによって、星の中心部はもっと熱くなったので、ヘリウムと水素が合体を繰り返し、炭素や酸素や鉄など、他の原子も生まれました。そして星は、一生の終わりに爆発(ばくはつ)します。そのエネルギーで、金や銀やウランなど、重い原子も生まれました。こうして、いま宇宙にある原子は、星の一生のなかで作られたのです。その原子が組み合わさって、私たちがここにいるわけですね。

柳田理科雄イラスト

カブトムシやメダカを見ていたはずなのに、いつの間にか、目に見えないほど小さな原子や、想像(そうぞう)するのも難(むずか)しいほど大きな宇宙にまで、話が広がる。これも、科学の素晴(すば)らしさの1つです。
科学や理科には、ほかにも面白い点や楽しい面がたくさんあります。これからみなさんに、それをお伝えしていきたいと思います。どうぞ、よろしく!