プレスリリース バックナンバー(2006年)

「バイオマス利用スターリングエンジン」の試験運転開始 ~バイオマス直噴燃焼式小型発電システム55kWの開発~

平成18年6月21日
中部電力株式会社

 当社は、NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 所在地:川崎市幸区大宮町1310)および(株)シーテック(社長:清水 眞男 所在地:名古屋市瑞穂区洲雲町4-45)と共同で「バイオマス直噴燃焼式小型発電システムの研究開発」(研究期間:平成16年度~18年度)に取り組んでいます。
 これまでスターリングエンジンの評価試験などを行ってきましたが、このたび、当社技術開発本部内(所在地:名古屋市緑区)にある試験設備にて、バイオマス※直噴燃焼による55kWの発電に成功しました。
 今後は、本システムにより、安定した発電が継続できるよう試験設備の一部を改良し、本年9月から本格的な試験運転を開始します。

※バイオマス:間伐材などの生物資源。RPS法(電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法における再生可能エネルギーと認定されており、CO2対策としても期待されているもの。

 「バイオマス直噴燃焼式小型発電システムの研究開発」では、バイオマス直噴燃焼バーナとスターリングエンジンとを組み合わせることにより、高効率で低コストな小規模バイオマス発電システムの開発を目的としています。
 本システムでは、細かく粉砕したバイオマスをバーナで直接燃焼し、その燃焼ガスをスターリングエンジンに供給します。このため、バイオマスをガス化させて燃焼させる必要がなく、設備の簡素化が可能であり、設備コストと運転コストの低減が実現できます。
 また、本システムの実用化により、バイオマスを利用した小規模分散電源として、地球温暖化の原因であるCO2発生の抑制に貢献することも期待できます。

 なお、この試験で採用しているスターリングエンジン(米国STMパワー社製 http://www.stmpower.com/)の主な特徴は以下のとおりです。


・バイオマスを燃料として利用可能

 間伐材や農業廃棄物などのバイオマスを燃料とする小規模分散電源の可能性を拓きます。外燃機関であるため燃料のガス化の必要がなく、木質バイオマスなどの燃焼排熱を直接利用するため、設備コストが低減できます。

・コンパクトで優れた環境性

 外燃機関のため、低騒音、低振動、低NOxなど環境性に優れています。さらに、エンジンを駆動させる気体に高圧水素を用いることで、コンパクトで高効率を達成できます。

・出力は50kW級

 熱源や燃料を選ばないため、様々なニーズに対応できます。また、複数台を並列利用することにより数百kWまで対応可能です。

以上

<別紙1>

バイオマス直噴燃焼式小型発電システムの研究開発

研究開発の背景

 バイオマスガス化による小規模高効率発電システムの開発が行われていますが、いずれも複雑で高コストなため市場導入が思うように進んでいません。小規模でも比較的熱効率が高く、簡素なシステムが求められています。

研究開発の内容と目標

 バイオマス直噴燃焼バーナとスターリングエンジン発電システムを組合せ、高性能で低コストな小規模発電システムを開発します。


  1. (1) バイオマス燃焼効率 : 99%以上
  2. (2) NOxエミッション : 350ppm(6%O2)以下
  3. (3) 発電端効率 : 20%(LHV)以上(商用システムベース)
  4. (4) 設備コスト、運転コスト : 既存のバイオマスガス化発電システム以下

研究開発スケジュール

研究開発の実施体制

<別紙2>

バイオマス直噴燃焼式スターリングエンジン試験設備の概要

試験設備システム構成



バイオマス直噴燃焼式スターリングエンジン試験設備全景写真

<参考資料1>

<スターリングエンジンとは>

 スターリングエンジンは外燃機関であり、駆動部はディーゼルエンジンなどのような往復式の内燃機関と同様にピストンとシリンダとで構成されていますが、シリンダ中に封入された作動ガスを外部から加熱・冷却することによりピストン運動させる点が往復式の内燃機関と異なります。
 歴史は古く1816年にイギリスのスターリング(R. Stirling)により考案され、理論上最高の熱効率をもつカルノーサイクル※と同等の熱効率が達成可能とされています。
 しかし、開発上は高出力化や密閉技術などに課題があり、実用化に成功した事例はほとんどありませんでした。

※熱機関の効率の限界を探り出すために、カルノーによって考案された仮想的なサイクル

スターリングサイクルの概念図(外燃機関)



内燃機関(ディーゼルエンジン)の概念図

<参考資料2>

<バイオマスを燃料とした小規模分散電源について>

 バイオマスは生物資源とも言われ、太陽エネルギーにより大気中の二酸化炭素(CO2)が固定されたものであり、燃焼等で利用しても大気中のCO2が増加しないため、究極のCO2対策として注目されています。また、再生可能であり、日本国内でも調達可能な新エネルギーとしても注目を集めているものです。
 バイオマスとしては、間伐材などの木質系バイオマスやもみ殻などの農業廃棄物を考えています。しかし、これらは山間部や田畑などに広く分布しており、経済的に収集・輸送する手段が無いため、大規模発電は困難とされています。このようなバイオマスを有効に利用するには、小規模に収集して高効率に電力に変換する技術が不可欠です。
 スターリングエンジンは、ガス化装置などの複雑な装置を用いることなく、固体バイオマスの燃焼排熱を直接利用した高効率の発電が可能なため、木質系バイオマスや農業廃棄物などを用いた小規模分散電源の可能性を拓く技術です。

バイオマスを用いた再生可能エネルギーの概念図