プレスリリース バックナンバー(2006年)

世界最高出力!高信頼性極低温冷凍機の開発について

平成18年9月6日
中部電力株式会社

 当社は、アイシン精機株式会社(社長:山内 康仁氏、住所:愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地)と共同で、世界最高出力の極低温パルス管冷凍機の開発に成功しましたのでお知らせします。

 極低温冷凍機とは-100℃以下に冷却する冷凍機で、圧縮したヘリウムガスが膨張する際に熱を奪う性質を利用し冷却するものです。主な用途として磁気共鳴画像診断装置(MRI)やリニアモーターカー等に使われています。昨今、この冷凍機の用途はさらに多様化し、大容量でメンテナンスフリーな冷凍機が必要とされています。

 開発したパルス管冷凍機は従来の冷凍機と異なり、冷凍能力を向上させるため、ヘリウムガスを膨張させる部分を1気筒から世界初の2気筒構造とすることで、出力を2倍に高めると共に、冷凍機効率の面でもクラス最高を達成しました。また、閉じこめたヘリウムガスを圧縮・膨張させる部分に摩擦する部品を持たないため、摩耗による劣化がなく、従来機の課題であった半年毎のメンテナンス間隔を10倍に延ばすことが出来ます。

 今回開発した冷凍機には次の特長があります。


1.世界最高出力の極低温冷凍能力

-196℃においてパルス管型従来機の2倍の300Wを達成

2.世界最高の冷凍機効率

パルス管型従来機に比べ1割向上し、クラス世界最高の6.7%※を達成

3.メンテナンス間隔の延伸化

150W級冷凍機において、従来の10倍となる5万時間を実現

※ 冷凍機の圧縮・膨張する部分での仕事量(容器内圧力×容積)と冷凍能力の割合

 なお、この冷凍機開発は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から受託して進めている経済産業省資源エネルギー庁のプロジェクト「超電導電力ネットワーク制御技術開発」の一環として行っているものです。今後、開発した冷凍機を超電導電力貯蔵装置(SMES)に組み込み、平成19年度まで耐久試験を実施し検証して参ります。
 また、開発した冷凍機は、平成18年10月31日と11月1日の2日間、名古屋国際会議場で開催される第19回国際超電導シンポジウム(ISS2006)に実物展示します。

 研究期間 平成16年6月~平成20年3月

以上

<別紙>

高信頼性極低温冷凍機の開発について

1 開発の背景

 極低温冷凍機は、超電導マグネット、磁気共鳴画像診断装置(MRI)、リニアモーターカー等の冷却に使用され、昨今使用する用途が増えています。当社では超電導電力貯蔵システム(SMES)開発の中で使用する冷凍機として、大出力で、長寿命、低振動、低価格な信頼性の高い冷凍機の開発を進めてきました。



2 極低温冷凍機について

 極低温冷凍機は、-100℃以下に冷却する冷凍機で、圧縮流体(ヘリウム)が膨張する際に熱を奪う性質を利用し冷却するものです。
 極低温冷凍機の種類としては主に、閉じこめた気体を圧縮・膨張させるスターリング冷凍機と、別体の圧縮機にて圧縮した流体を切り替えて、圧縮・膨張させるGM冷凍機があります。これらの冷凍機は窒素(-196℃:77K)や水素(-253℃:20K)、ヘリウム(-269℃:4K)を液化させることができます。冷凍機は大きく2つの部位に分かれており、等温圧縮の仕事をする圧縮部と冷熱を取り出す膨張・蓄冷部があります。今回開発したパルス管冷凍機はスターリング冷凍機の一種で、これらが一体構造となったコンパクトな冷凍機です。



3 開発した装置の概要

 今回開発したパルス管冷凍機は、圧縮部にリニアモータを用い、往復振動部は渦巻き蚊取り線香型バネで把持し、摩擦・磨耗する部分がない構造となっています。また、冷凍部においても流体を溜め、圧力位相を調節する装置(パルス管)を用いており、摩擦する部品がありません。さらに冷熱を作り出す部分に2つの蓄冷器を並べ多気筒型の構造とし、これら2つのバランスを合わせることで、-196℃(77K)の温度において300Wという従来の2倍(アイシン精機社比)に冷凍能力を上げました。
 また、従来のパルス管冷凍機に比べ1割向上し、6.7%※の世界最高の冷凍機効率を達成しました。
 さらに、摩擦する部分がないことから運転中の振動も少なく、音も静かな装置となっており、構造的に劣化する部分はありません。これにより、メンテナンス期間も大幅に延伸化することが出来ます(点検間隔50,000時間)。

※冷凍機の圧縮・膨張する部分での仕事量(容器内圧力×容積)と冷凍出力の割合


図1 パルス管冷凍機の外観


表1 冷凍機の仕様

項目 諸元
型式 スターリングパルス管冷凍機
冷凍能力 77K 300W以上
消費電力 9kW以下
使用電圧 AC200V±10%
使用電流 65A以下
電源周波数 50/60Hz
所要水量 1.0m3/h以上
入口温度 30℃以下
寸法
(単位:mm)
H800×W1,037×D700
製品重量 約300kg


4 今後の進め方

 今後は、超電導電力ネットワーク制御技術開発プロジェクトの超電導貯蔵システム実系統連系試験において、超電導コイル冷却用途として耐久試験を実施します。この試験の中で、実用上の問題点を再点検し改善するとともに、リニア駆動部の低損失化を行い、更なる冷凍効率向上をめざして開発を進めます。



以上



(参考)


図1 低温発生方法の比較


図2 パルス管冷凍機の動作サイクル