定例記者会見

定例記者会見

2017年7月度 定例記者会見 勝野社長挨拶

2017年07月28日
中部電力株式会社

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  • 本日、私からは、
    • 2017年度(平成29年度)第1四半期決算
    • 水力発電所の発電電力量増加の取り組み
    • 原子力規制委員会 更田委員長代理の浜岡視察

    について、お話しいたします。

2017年度(平成29年度)第1四半期決算

  • 最初に、「2017年度第1四半期決算」について、お話しいたします。
  • まずは連結決算でございます。2017年度第1四半期の連結売上高は、6,554億円となりました。
  • 燃料費調整額の減少はありましたが、再エネにかかる賦課金や交付金の増加などから、前年同期に比べ242億円の「増収」となりました。
  • 連結経常利益につきましては、284億円となりました。燃料費と燃料費調整額の期ずれ差益が期ずれ差損に転じたことなどから、前年同期に比べ、642億円の「減益」となりました。
  • 次に、中部電力の個別決算でございます。
  • 売上高は、6,045億円となりました。前年同期に比べ、164億円の「増収」でございます。
  • 経常利益は、259億円となりました。前年同期に比べ、661億円の「減益」でございます。
  • 次に、2017年度の業績見通しでございます。
  • 今回の業績見通しにつきましては、前回4月28日の公表値と同程度と見込まれることから、変更しておりません。
  • 連結売上高につきましては、燃料費調整額の増加に伴う電灯電力料の増加などから、2兆7,600億円と増収を見込んでおります。
  • 連結経常利益につきましては、燃料費および燃料費調整額の期ずれ差益が期ずれ差損に転じることなどから、1,000億円と減益を見込んでおります。
  • 4月28日に申しあげましたとおり、期ずれ影響を除いた利益の実力値は前年度並みとしておりますが、私から更に経営効率化を推し進めるよう指示を出しており、グループ一丸となって取り組んでいるところでございます。
  • 引き続き、お客さまや株主、社会の信頼と期待にお応えできるよう全力を挙げて取り組んでまいります。

資料1

水力発電所の発電電力量増加の取り組み

  • 次に、当社の水力発電所の開発について、お話しします。
  • 水力発電は、貴重な純国産エネルギーであると同時に、再生可能エネルギーの中でも安定的な発電電力量を期待できる電源であり、当社は積極的に開発を進めております。
  • 一方で、水力発電所の新たな開発地点は小規模化、奥地化してきており、経済性を有する新規開発は限定的になっているという課題があります。
  • 新規開発が難しくなる中、当社はさまざまなコストダウンを積み重ね、現在、新規開発地点として
    • 清内路(せいないじ)水力発電所(出力5,600kW)と
    • 安倍川(あべかわ)水力発電所(出力7,100kW)の

    2件名を、いずれも2022年度(平成34年度)に営業運転を開始する予定で準備を進めております。

  • 多目的ダム開発計画の中で建設した徳山水力発電所を除き、当社単独での新規の水力発電所の建設は、平谷(ひらや)発電所以来、実に20年振りの開発となります。

(注)徳山2号機は2014年度(平成26年度)、1号機は2016年度(平成28年度)営業運転開始

  • 当社は新規地点の開発の他、既設ダムからの放流水の利用など、未利用エネルギーを活用した水力発電所の開発も進めてきており、これまでに6箇所、合計出力で1,430kWを開発しております。
  • 最近の開発件名としましては、
    • 2015年度(平成27年度)に営業運転を開始した新串原(しんくしはら)水力発電所(出力230kW)および阿多岐(あたぎ)水力発電所(出力190kW)
    • 2016年度(平成28年度)に営業運転を開始した丹生川(にゅうかわ)水力発電所(出力350kW)
    • そして2017年度(平成29年度)に営業運転開始予定の新奥泉(しんおくいずみ)水力発電所(出力290kW)

    などがあります。

  • 続いて、「既設水力発電所の発電電力量増加の取り組み」について、お話しいたします。
  • 水力発電所は、適切に維持管理することにより、他の電源と比較して、長い期間、活用できるといった利点を有する電源でもあります。
  • 先月、国が公表した「ダム再生ビジョン」でも、既設ダムを「「より永く」「より賢く」使う」ことで、既設水力発電所の利用拡大を目指す方針が打ち出されました。
  • 当社におきましても、既設水力発電所の発電電力量を増加させる取り組みを、従来から積極的に取り組んでいます。
  • 既設水力発電所の発電電力量の増加に向けた2つの柱である
    • 「設計の最適化および新技術の適用」
    • 「運用変更による発電電力量増加」

    についてお話しさせていただきます。

  • まず、「設計の最適化および新技術の適用」について、お話しします。
  • 水力発電は、河川などの水のエネルギーを利用し、水車を回転させることにより発電しますが、従来は国から許可をいただいた最大流量時に最大の発電効率となる設計をしておりました。
  • 当社は設備更新のタイミングで、年間を通じて取水できる頻度が高い流量時に、最大の発電効率を出せる設計に見直すことにより、発電電力量の増加を図ることとしました。
  • 加えて、水車に流れる水の動きを解析技術によって可視化し、設計に反映することで、水車の羽根の形状を、水のエネルギーが最も効率よく伝わる形状に変更しました。
  • 当社は、この策の実機への適用を2007年度(平成19年度)から開始し、これまでに9箇所の水力発電所で実施し、発電電力量が3~28%増加しました。
  • 9箇所の発電所で増加した発電電力量の合計は年間で約1,760万kWh、一般のご家庭の約5,600世帯分に相当します。
  • 続いて、「運用変更による発電電力量増加」の取り組みについてですが、これは発電所の運用方法を見直しすることで、発電能力を高める策であり、コストは殆ど掛かりません。
  • 当社では、
    • 「最大出力の変更」
    • 「河川増水時の発電停止期間の削減」
    • 「ダムの高水位運用への変更」

    などを実施することにより、発電電力量の増加を図っております。

  • 先ずは、「最大出力の変更」ですが、水力発電所では河川法上で認められた最大流量をもとに、机上で算出した出力を国に届け出しており、届け出の出力を超える発電は認められておりません。
  • 実際の発電設備の能力に計画値以上の裕度があった場合、認められた最大流量を活用することなく、最大出力に到達することになる点に着目しました。
  • 発電設備の性能をあらためて詳細に確認し、その能力にあわせた最大出力に届け出を変更することで、発電電力量の増加を図ることとしました。
  • 次に、「河川増水時の発電停止期間削減」について説明します。
  • 水力発電所では、降雨などにより水の流量が多くなると増水によって川底から巻き上げられた土砂によって、水路・水車などの設備を損壊する可能性があるため、運転を停止することがあります。
  • 当社は、
    • ダム管理で培ってきた、河川増水時に水路に流入する濁水に含まれる土砂の量の推定や、
    • 土砂による水路・水車などの設備への影響の、より精緻な評価

    などにより、河川増水時の発電運転の可能な条件の見直しや、降った雨量と流量増加・濁度増加にいたるタイムラグをきめ細やかに判断することで、なるべく遅く運転を停止して、なるべく早く再開することで、発電電力量の増加を図っています。

  • 最後は「ダムの高水位運用による水の落差の増加」です。
  • 当社は、これまで、突然の降雨によるダムに流入する水の急激な増加に備え、ダムの水位について余裕を持って管理していました。
  • 高度化された雨量予測の活用と、ダムへの流入予測といったきめ細かい水位運用を実施することにより、高い水位での運用を可能としました。
  • これによって、水の落差が大きくなり、発電電力量の増加を図っています。
  • 運用変更による改善策を3つご紹介しましたが、1つ目の策は、新しい技術の活用によるもの、2つ目、3つ目の策は「貴重な水を無駄にせず、少しでも有効に活用すること」に長年にわたり取り組んできた現場の経験によって成果を挙げたものであります。
  • 当社はこれらの改善策により、2016年度(平成28年度)までに、年間で約1億7,400万kWh、一般のご家庭に換算して約55,800世帯分の発電電力量の増加を図りました。
  • 水力発電をはじめとする再生可能エネルギーは、純国産エネルギーであり、エネルギーセキュリティの向上に資するとともに、地球環境にも優しいエネルギーであります。
  • 当社をはじめ中部電力グループは、今後も引き続き、水力発電をはじめ、風力発電、太陽光発電などの再生可能エネルギーについて、積極的に開発を進めてまいります。

資料

浜岡原子力発電所について

  • 最後に、今月18日に原子力規制委員会の更田委員長代理に浜岡原子力発電所をご視察いただいたことについて、お話しいたします。
  • 更田委員長代理の浜岡へのご訪問は、平成27年6月の現地調査以来となりますが、今回は、防波壁や、緊急時ガスタービン発電機など、浜岡原子力発電所の安全性向上対策をあらためてご覧いただくことができ、大変有り難いことと感謝しております。
  • 限られた時間の中ではありましたが、副社長の倉田や、浜岡総合事務所長の増田を中心に、当社の安全性向上に向けた取り組みについて、丁寧にご説明させていただけたと考えております。
  • ご視察後、更田委員長代理からは「安全性向上に向け、積極的な姿勢を感じる」と当社の取り組みをご評価いただいた一方、「安全対策に向け工夫できる余地はまだある」とのご意見もいただきました。
  • いただいたご意見を真摯に受け止め、引き続き、原子力規制委員会の審査にしっかりと対応するとともに、新規制基準の枠組みにとどまることなく、浜岡原子力発電所の安全性を一層高める対策をこれまでと同様に継続的におこなってまいります。
  • 当社は安全性向上に向けたハード面の対策に加え、防災体制の整備や、訓練の充実といったソフト面の対策を進めることで、原子力災害対策の更なる充実に努めてまいります。
  • そして、当社の取り組みを、地域の皆さま、関係者の皆さまに丁寧に説明し、ご理解を賜った上で、浜岡原子力発電所を引き続き重要な電源として活用していけるよう、鋭意準備を進めてまいります。
  • 私からは以上です。


以上

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