原子力発電のしくみ

動画の内容

原子力発電のしくみについて説明します
火力発電では蒸気の力を使ってタービンを回して電気を起こしますが、これは原子力発電も同じで、違ってくるのは蒸気のつくり方です。
火力発電はボイラーで石油、石炭、LNGなどを燃やして蒸気をつくるのに対し、原子力発電は水の入った原子炉の中でウランの核分裂を起こし、その時に発生する熱で蒸気をつくります。
核分裂とは、ウラン原子の原子核が分裂することをいいます。

ウランの原子核に外から中性子がぶつかると、原子核は2つに分裂し、新たに2~3個の中性子が飛び出し、このときに大きな熱エネルギーが出ます。
飛び出した中性子は、また他のウランの原子核にあたり、このように次々と核分裂から出る熱を使って、原子力発電は蒸気をつくっています。

左は原料となる自然界にあるウラン鉱石、右はウラン鉱石を安全で発電しやすくするために加工した「ペレット」というものです。大きさは直径、高さとも約1㎝、重さは約10gで、このペレット1つで一般のご家庭で使われる電気の約8か月分をつくることができます。

熱や腐食に強い合金でつくられたこの燃料棒の中には約350個のペレットが入っています。
この燃料棒を束ねたものがこちらの燃料集合体です。ウランはこのような燃料集合体の形となってはじめて燃料として使用することができます。

これは、浜岡原子力館の中にある3号機原子炉の実物大模型です。
原子炉圧力容器という高さ約22m、内径約6.4m、厚さ約16cmの鋼鉄製の容器に、3分の2くらいの高さまで水をいれ、その中に燃料集合体をおさめます。燃料集合体の間に入っている制御棒を引き抜くとウランの核分裂がはじまります。
一度原子炉圧力容器の中にいれたウラン燃料は、4年から5年の間、使用することができます。
発電を止める際は、ウランの核分裂反応を抑える制御棒を燃料集合体の間に挿入します。これによりウランの核分裂反応が止まり、原子炉が停止した状態となります。緊急時には、2,3秒で自動的に制御棒が挿入され、原子炉を緊急停止させます。

原子力発電の安全を守る基本は、「止める」「冷やす」「閉じ込める」です。
原子力発電は、運転を「止めた」あとも、燃料から熱が発生し続けます。そのため、原子炉への注水などによって燃料を「冷やし」続け、放射性物質を 「閉じ込める」ことが重要です。原子力発電所では、この基本を守るためのさまざまな安全対策を講じています。