技術開発ニュース No.168

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研 究 紹 介
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実証検証
本提案手法を用いた遠隔指導の検証を、名古屋市(中部
電力技術開発本部)と長野県塩尻市(共同研究相手の株式
第 2 図 遠隔間で握手の位置が合わない様子
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解決策の検討
会社プロノハーツ)間で行った。
4 章に示した通り、双方の撮影範囲内に QR キューブを
設け、座標系を統一する。MR 対応デバイスを装着するこ
とで、基準点に相対した地点に相手のホログラムが投影さ
れる。なお、本検証では持ち運び可能な機器を手配できな
3 章の課題に対し QR コードによるキューブを作成し、
かったため、訓練用の機器を模した画像を用いることにした。
これを原点とした相対距離とすることで、簡潔に自身側
第 6 図に検証時における基準点の設置について、第 7 図
(現実空間)と相手側(仮想空間)の位置関係を合わせる
に遠隔指導を行った様子を示す。
手法を考案した。本手法の具体的な流れを以下に示す。ま
た、
QR キューブを第 3 図、本手法の概要図を第 4 図に示す。
① 現実空間において、QR キューブを原点とした人・物
の 3 次元ホログラム(仮想空間)を生成。
② 自身側(現実空間)と相手側(仮想空間)において、
それぞれ QR キューブを原点とした人・物の位置合わせ。
③ 自身側・相手側それぞれの人・物の原点からの位置情
報を相互共有。
第 6 図 検証時における基準点の設置
第 3 図 QR キューブ 第 4 図 本手法の概要図
本手法による空間共有型 3 次元遠隔コミュニケーション
を活用した遠隔指導の概要図を第5図に示す。
第 7 図 遠隔指導の様子(左上 : 訓練側、右上 : 遠隔側、
左下 :MR デバイス上、右下 :2 地点を合成した映像)
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まとめ
今回、名古屋市と塩尻市間において、空間共有型 3 次元
コミュニケーションによる遠隔指導を実現できた。
今後は POC として、中部電力パワーグリッドの訓練場
第 5 図 空間共有型 3 次元遠隔コミュニケーション
や研修設備で実施しているケーブル接続・故障点測定等の
訓練において、事務所から遠隔で現場の訓練状況を確認・
直接指導を行う実施検証を計画している。
技術開発ニュース 2024.03/No.168
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