サステナブル事例
Sustainable Case study

SUSTAINABLE

Vol 02
再生可能エネルギーを
活用し、
地域の防災力を
高める

【事例】
地域マイクログリッド

災害時にこそ、
電気が届く安心を、いち早く。

長野県飯田市。標高差2,700mを超える我が国最大級の谷地形であり、豊かな自然と優れた景観が魅力のこの街は、これまでに幾度となく豪雨による災害に見舞われてきました。山間部での土石流、「暴れ川」とも呼ばれる天竜川の氾濫、洪水、土砂崩れ…。こうした災害を契機として、災害への備えに対する住民の方々の意識も高く、また指定避難施設などの重要な拠点が集まる川路地区において、中部電力グループと飯田市は、災害による長期間の停電発生時においても自立的な電力供給が可能となる仕組み「地域マイクログリッド」を構築。災害時には、平常時の電力系統から切り離し、同市川路地区で共同運営する「メガソーラーいいだ」を核とした小さな電力ネットワークをつくり、避難施設などへ電力を送り届けます。飯田市だけでなく、局地的な甚大災害は、近年、増加傾向にあります。そのため、停電時の電力供給のいち早い再開は大きな課題となっており、地域単位での電力ネットワークの構築は、社会的貢献度の高い事業でもあります。中部電力グループは、飯田市や地域の皆さまとともに、地域マイクログリッドを通じて、災害時のレジリエンス(回復力)の向上に取り組んでいます。

地域で創ったエネルギーが、
地域の課題を解決する。

地域マイクログリッドを構築すると、災害により系統からの電力供給が途絶えても、復旧を待たずに供給再開が可能となります。その仕組みは、中部電力グループが所有する「メガソーラーいいだ」(1,000kW)を中心に、自立運転時の調整電源に系統用蓄電池を導入。クラウド上に構築したEMS(エネルギーマネジメントシステム)から、各種の設備に取り付けたIoTゲートウェイを通じて設備の監視・制御をおこないます。EMSは発電予測や需要予測をおこない、リソースを制御。配電ネットワークは既存のものを活用することで、インフラへの投資も最小限に。一方、蓄電池を非常災害時のためだけに設置することは、経済的に成り立ちません。このため、平常時はVPP(バーチャルパワープラント)リソースとして活用し、収益を得ることが基本となります。

今後、再生可能エネルギー電源や蓄電池の価格低下が進めば、さらなる普及拡大が見込まれます。また2032年以降には再生可能エネルギーの固定価格買取期間が終わり、発電事業者自らが売電先を見つけ、運用をおこなっていくことが必要な電源が増えていきます。地域マイクログリッドは、再生可能エネルギーの地産地消やVPP運用を通じたリソースの有効活用・収益向上を図る手段の一つでもあるのです。この他、飯田市では中部電力ミライズが提供する家庭向けデマンドレスポンスサービス「NACHARGE(ネイチャージ)」を活用し、地域の省エネ活動の推進を予定。将来的な展望として、取り組みに応じて付与されるポイントを、地域通貨と連携させることなどにより、地域経済を循環させ、地域の活性化へと繋げていきたいと考えています。中部電力グループは、地域と脱炭素化に取り組むとともに、安全で安心できる強靱な社会の実現を目指しています。

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