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今、総力を結集して(2019年9月)

(注)津波評価について詳しくは以下ページをご覧ください。
新規制基準適合性確認審査の津波審査に係るヒアリング資料について

動画の内容

浜岡原子力発電所は、従来から常に最新の知見を反映し、安全性向上に努めてきました。

東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、津波対策や重大事故等対策を自主的に進めるとともに、新規制基準を踏まえた追加対策に取り組むなど、安全対策を積み重ねています。

「福島第一のような事故を起こさない」

浜岡原子力発電所では、この決意のもと、今、全力で取り組んでいます。

原子力発電の安全を守る基本は、「止める」「冷やす」「閉じ込める」です。

原子力発電は、運転を「止めた」あとも、燃料から熱が発生し続けます。そのため、原子炉への注水などによって燃料を「冷やし」続け、放射性物質を 「閉じ込める」ことが重要です。

福島第一の事故を振り返ります。

原子炉は地震による大きな揺れを感知して自動停止しました。送電鉄塔の倒壊などにより、外部からの電源供給が途絶えましたが、非常用の発電機が正常に働き、ポンプなどに電源を供給することができたため、「冷やす機能」を維持しました。

しかし、地震発生からおよそ40分後、敷地高さを上回る津波が押し寄せ、敷地内および建屋内が浸水。海水を使って冷やすためのポンプや非常用の発電機などの重要な設備が使えなくなり、さらに、蓄電池が切れ「冷やす機能」を失いました。

その結果、燃料から発生する熱を冷やすことができずに燃料が溶けるという重大事故に至り、その後、格納容器の破損や水素爆発を起こして、放射性物質を放出しました。

福島第一では、津波の浸入や重大事故に備える対策が不十分でした。

浜岡原子力発電所では、同様の事故を起こさないため、内閣府が想定する南海トラフ巨大地震の検討状況なども踏まえ、
巨大地震に耐える
津波を浸入させない
冷やす機能を確保し重大事故に至らせない
などの対策を実施しています。

さらに、重大事故が発生した場合にも備え、放射性物質の放出を抑制する対策などを実施しています。

巨大地震に耐える

浜岡原子力発電所は、想定東海地震の震源域内に位置することを踏まえ、建設当初から余裕を持たせた耐震設計としています。燃料が納まる原子炉建屋は、地表からおよそ20m掘り下げ、かたい岩盤に直接設置。基礎面積を広く・厚く、厚い壁を多く・規則正しく配置し、ピラミッドのように重心を下げることで、地震の揺れに強い安定した構造としています。

また、建設以降、常に最新の知見を取り入れ、建屋内の配管などへのサポート改造工事や排気筒の改造工事を実施するなど耐震性の向上に取り組んできました。

2013年9月には、内閣府が想定する南海トラフ巨大地震などを踏まえ、3、4号機の地震動を1,200ガルに設定。5号機については、2009年8月の駿河湾の地震時の揺れが他号機に比べ大きかったことも踏まえ、地震動を2,000ガルに設定。これらの地震動を用いて配管への更なるサポート改造工事などを実施することとしました。

津波を浸入させない

浜岡原子力発電所では、津波を敷地内に浸入させないよう、海岸側の敷地前面およそ1.6kmにわたり、高さ海抜22mの防波壁を設置しています。この壁は、深いところで地下30mの堅い岩盤まで基礎を根入れし、津波や地震にも強い構造としています。

また、敷地側面からの津波の浸入を防ぐよう、敷地の東西に、海抜22m~24mの「改良盛土」を設置しています。さらに、海とトンネルでつながる取水槽からも海水を流入させないようその周囲に壁を設置するなどの対策をおこなっています。

これらの対策をおこなうことで、最大クラスとして想定された内閣府モデルによる津波に対しても、敷地内への浸入を防ぎます。(注)

仮に、津波が防波壁を越えた場合にも備えます。

原子炉建屋の防水扉を水密扉に取り替え、強化扉を新設して二重化するなど、建屋外壁の耐圧性・防水性を強化しています。

ここからは、万が一、福島第一と同様に「冷やす機能」を失った場合の対応について、ご説明します。

「冷やす機能」に必要な、電源供給、注水、除熱について、複数の代替手段を講じます。

その柱となるのが、「電源供給」です。

浜岡原子力発電所では、3ルートの送電線から受電ができる対策や、非常用の発電機を浸水から守る対策などを実施していますが、そのうえで、これらがすべて使えない場合にも備えます。

海抜40mの高台にガスタービン発電機を新たに設置し、この電源を用いて大容量のポンプを動かして原子炉へ注水します。また、海水を使って冷やすためのポンプを防水構造の建屋内に新設しており、このポンプにもガスタービン発電機から電源供給することで、原子炉から発生する熱を取り除きます。

さらに、ガスタービン発電機が使えない場合は、蓄電池から電源供給し、原子炉停止後の余熱蒸気の圧力を使ってポンプを回し原子炉へ注水します。また、必要な場所に移動できる電源車の電源でポンプを回し、原子炉へ注水する手段も備えます。

仮に、電源がなくなった場合でも、可搬型の注水ポンプによって、海抜30mの高台に新設した緊急時淡水貯槽や、貯水タンク、敷地の西側を流れる新野川などを水源とし原子炉につながる配管につなぎ注水します。

こうした代替手段を幾重にも講じることで、「冷やす機能」を確保して、重大事故への進展を防ぎます。

それでも、もし、何らかの理由で、「燃料が著しく損傷するような重大事故に至った場合」も仮定して、対策を実施しています。

まず、格納容器の破損を防止するため、容器の上蓋の接合部や容器内の蒸気を冷やす設備の強化、容器内に溶け落ちた高温の燃料を冷やす設備の設置などを実施しています。

次に、フィルタベント設備を設置します。格納容器内の圧力を下げるため、気体を外部へ放出する際は、フィルタを通すことで、セシウムなどの粒子状の放射性物質の放出量を1,000分の1以下に抑えます。

2013年7月、福島第一の事故や海外の知見などを踏まえ、新たな規制基準が施行されました。現在、3、4号機については、原子力規制委員会による新規制基準への適合性の確認審査を受けています。

原子力規制委員会による審査に真摯に対応し、新規制基準に適合しているとの確認をいただけるよう、最善の努力を尽くしてまいります。

どれだけ設備面の対策を講じたとしても、最終的には、「人の対応力」が重要です。

これは発電所の頭脳ともいえる中央制御室を模擬した、シミュレータによる訓練です。福島第一のような事故を想定し、緊急事態に対応できるようにしています。

このほか、「電源を接続する訓練」、「ポンプを用いた注水訓練」や「全対策要員を対象とする訓練」など、繰り返し実施しています。

浜岡原子力発電所では、防災体制の整備や訓練の充実を図り、「現場対応力」を強化しています。

今後とも、さらなる安全性の向上に努め、地域をはじめ、社会の皆さまにご理解を賜るよう取り組んでまいります。

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