プレスリリース

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浜岡原子力発電所3号機 補助建屋地下2階(放射線管理区域内)での放射性廃液の漏えいに対する原因と対策

2010年02月25日
中部電力株式会社

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当社は、平成21年12月1日に浜岡原子力発電所3号機(沸騰水型、定格電気出力110万キロワット)で発生した放射性廃液の漏えい事象(注)1について、これまで原因の調査と対策の検討を実施してまいりました。
このたび、これらの結果をとりまとめましたので、お知らせいたします。
なお、この結果については、本日、原子力安全・保安院に報告しました。
また、本日、本事象に関して、原子力安全・保安院から保安規定(注)2の違反が認められたとして、指示文書を受領しました。
当社は、この指示を真摯に受け止め、適切に対応するとともに再発防止に努めてまいります。

1 点検・調査結果について

(1)設備の点検・調査結果

漏えいが発生した排水升および排水配管、排水先である高電導度廃液サンプタンク(以下、「サンプタンク」という。)(B)と排水元である濃縮廃液貯蔵タンク(以下、「貯蔵タンク」という。)(C)の内部の点検を実施しました。その結果、排水配管内の広範囲にわたり鉄錆等の不溶解物が残留していること、サンプタンク(B)内底部にも同様に不溶解物が堆積し、同サンプタンク内に導かれている排水配管出口が埋没していることを確認しました。また、貯蔵タンク(C)内に残った廃液の不溶解物濃度は排水前に測定した値に比べ高くなっており、サンプタンク(B)へは移送できない濃度であったことを確認しました。(添付資料1)
なお、排水配管内に流路を閉塞させるような異物は確認されませんでした。

(2)排水に関する検討プロセスについての調査結果

当社は、平成17年に発生したプラスチック固化装置(以下、「固化装置」という。)の不具合に伴い、今回と同様な方法による貯蔵タンク廃液の全量排水を、平成18年頃から行ってきました。そのため、当時および今回の排水実施に至るプロセスについて確認しました。その結果、平成18年当時の運用決定に際し、廃液の性状に応じて排水配管に要求される技術基準(注)3への適合性の確認等を実施していなかったこと、また、今回の排水時に、貯蔵タンク(C)廃液に含まれる不溶解物の沈降に関する検討が十分ではなかったことを確認しました。

2 推定原因について

放射性廃液の漏えいに至った原因は以下のとおりと推定しました。(添付資料2)

[1] 貯蔵タンク(C)廃液に含まれる不溶解物が沈降し、不溶解物濃度の高い廃液が同貯蔵タンク底部に残留しました。

[2] 本来、固化装置へ移送するべきであるこの残留廃液を排水配管より排水したため、サンプタンク(B)内に不溶解物が堆積しました。

[3] サンプタンク(B)内に導かれている排水配管の出口が埋没したため、排水配管内で廃液の流速が低下し、廃液中の不溶解物が堆積、続いて排水升から廃液が漏えいしました。

3 再発防止対策について

(1)廃液を漏えいさせないための対策

貯蔵タンク(A)(B)(C)からサンプタンク(B)につながるそれぞれの排水配管は、貯蔵タンク内の洗浄水を排水する目的に限って使用し、今回のような廃液の排水は実施しないこととしました。
そのため、以下の運用面および設備面での対策を実施します。

[1] 貯蔵タンクの点検等に際しては、同貯蔵タンク内の廃液を固化装置へ移送するか、または他の貯蔵タンクへ専用の仮設設備を用いて移送することを社内ルールに定め、移送中の漏えい防止措置等について作業規程類へ反映します。(運用面での対策)
また、当該排水配管を使用して同貯蔵タンク内の洗浄水をサンプタンク(B)へ排水する際は、洗浄水を十分に希釈した上で排水するよう作業規程類へ反映します。(運用面での対策)

[2] さらに、当該排水配管の排水升上流側に設置している排水弁を閉止状態で施錠管理するとともに、排水弁と排水升の間で排水配管を切り離し、通常使用できないようにします。なお、切り離した部分は漏えいを防止するため施栓します。(設備面・運用面での対策)
なお、今回の廃液漏えいを生じた貯蔵タンクと同様に、不溶解物濃度の高い廃液を内包している他のタンクについて調査し、必要に応じて同様の対策を実施します。

(2)検討プロセスに関する対策

廃液の性状に応じて排水配管に要求される技術基準への適合性の確認等を行わず、排水行為を実施してきたことについて、なぜ、行為の決定プロセスにおいて組織的な確認が有効に機能しなかったかという観点で、今後、根本原因分析(以下、「RCA」という。)を実施し、再発防止を図るべき点を抽出した上で対策を実施します。

4 保安規定の違反に関する原子力安全・保安院からの指示文書の受領について

保安規定では、貯蔵タンク内の廃液は固化装置を用いて専用の容器に固型化し、固体廃棄物貯蔵庫に保管することを規定しています。
本来、固化装置へ移送するべきである不溶解物濃度の高い廃液を、排水配管へ排水した今回の行為は、保安規定に定める廃液の処理方法とは異なり、当該排水配管を使用して高電導度廃液処理系へ移送したものであったことから、原子力安全・保安院より、保安規定違反にあたることおよび技術基準への適合性の確認を怠り法律の要求に対して不適切であったことの指摘を受けました。これに関し根本原因の究明と再発防止対策について報告するよう指示を受けました。
なお、保安規定違反は運転情報表2-14(注)4に該当する事象です。
当社は、本件指示を踏まえて、今後、3(2)にて実施するRCAの結果等をもとに必要な再発防止対策を立案し、適切に実施してまいります。


(注)1 平成21年12月1日に発生した放射性廃液の漏えい事象とは、3号機の補助建屋地下2階(放射線管理区域内)に設置している貯蔵タンク(C)の点検作業のため、同貯蔵タンク内の廃液をタンク底部の排水口から排水升を経由してサンプタンク(B)へ排水していたところ、排水が滞り、排水を行っていた排水升と、排水配管でつながる他の3箇所の排水升等から廃液が溢れ、補助建屋地下2階(放射線管理区域内)の床面合計約1.7m2に放射性物質を含んだ廃液が漏えいした事象です。

(注)2 保安規定は、正式には「原子炉施設保安規定」といい、原子炉等規制法第37条第1項に基づき、原子炉設置者が原子力発電所の安全運転を行う上で守るべき事項を定めたもので、国の認可を受けた規定です。

(注)3 技術基準とは、「発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令」です。

(注)4 運転情報表2-14は、「定期検査等において、検査の判定基準に係る不適合があったとき。また、保安検査で指摘を受けたとき。」です。

参考資料

以上

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