技術開発ニュース No.169

- ページ: 26
- 第 1 表 開発品の基本仕様
・水素対応の燃焼安全装置・自動遮断弁・火炎検知器・ガ
使用燃料
水素
ス漏えい検知器や、逆火対策としてフレームアレスタな
ラジアントチューブ
電気容量
加熱運転時 25kW 程度/起動時 48kW
どの安全機器を装備し、水素バーナーの安全基準・規格
バーナー形式
本体寸法
加熱寸法
加熱性能
研 究 成 果
幅1,480mm×奥行1,680mm×高さ2,085mm
長さ 250mm× 奥行 500mm× 高さ 250mm
加熱方式
流体制御式(ラジアントチューブバーナー+熱風)
昇温時間
500 度まで数分
昇温温度
最大 500 度
加熱効率
最大 75%
※お客さまニーズ(温度・処理量等)に合わせた別仕様も可能
をクリアした。
④工業炉としての性能も十分・短時間かつ均一の加温を実現
・熱処理や窒化などの一般的な加熱工程で使用可能である
(ワーク数百 g、品温 500℃まで)。
・装置内の温度・速度・気流を最適化した当社独自の急速
昇温技術により、従来ラジアントチューブ式工業炉に比
べて伝熱性能を 10 倍アップした。
・500℃まで 3 ~ 5 分の急速昇温を達成した。
6
おわりに
開発品は、実際の工場で使用できる実用性の高い工業炉
であり、実用面でもお客さまの脱炭素ニーズを満足して
いる。また、工場で導入する際に課題となる安全性につい
て、水素を密閉するなどの工夫によりクリアした。しかし
ながら、現状は国内の水素供給インフラなどは、未だ未整
備の状況である。
第 3図 複雑形状の金属部品
水素供給インフラや工場のお客さまの水素使用環境が
整った段階で、中部電力グループ・株式会社日本高熱工業
4
ラジアントチューブバーナーについて
社・株式会社豊電子工業を通じて、工場のお客さまに販売
する予定である。将来的には、自動車関連工場等に普及を
図ることで、工場の脱炭素と生産性向上に貢献したい。
ラジアントチューブバーナーとは、セラミックまたは金
属のチューブ内に燃焼ガスを通して表面が高温になるバー
ナーのことである。ラジアントチューブバーナーの基本構
造を第 4 図に示す。また、開発品で採用した同バーナーの
基本仕様を第 2 表に示す。
ラジアントチューブバーナーは、一般的には、装置内の
対象物を間接的に輻射によって加熱するものであるが、開
発品では、ラジアントチューブバーナーによって空気を加熱
し、その加熱された空気である熱風により対象物を加熱する。
5
開発品の特長
開発品の特長は以下のとおりである。開発品は、脱炭素
効果だけでなく、工業炉としての性能も十分である。
①カーボンフリー燃料水素の採用
人体に対する毒性を持たず、着火性・燃焼安定性に優れる
といった特長をもつカーボンフリー燃料である水素を採用した。
②高い熱効率で脱炭素に貢献
熱効率(対象物への入熱量 ÷ 燃料の発熱量)が大きいほ
ど、脱炭素効果が高まるが、開発品は最大 75% を達成した。
③安全性の追求
・ラジアントチューブバーナーの採用で水素を装置内に密
第 4図 ラジアントチューブバーナーの基本構造
第 2 表 ラジアントチューブバーナーの基本仕様
台数
3
バーナ方式
ラジアントチューブ
燃料
水素
形状
I型チューブ・シングルエンド
燃焼量
16.2kw(14,000kcal/h)/ 本・
最小 5.5kW(4,800kcal/h)
バーナ径
φ 116(4 インチ)
取付方向
水平横向
※お客さまニーズ(温度・処理量等)に合わせた別仕様も可能
閉する構造とし、装置内に水素の残留がない。
技術開発ニュース 2025.03/No.169
26
- ▲TOP