技術開発ニュース No.169

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研 究 成 果
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開発品の安全性
その他の実績として、二か所の拠点で同日に開催され
た展示会、「Factory Innovation Week 2024 NAGOYA」
(第 6 図参照)と、「中部電力テクノフェア 2024」に同時
このミニチュア生産ラインは、機能面だけではなく、安
に出展した。一方の拠点に現物のミニチュア生産ライン
全面においても充分に配慮した設計をしている。
を置き、もう一方の拠点に、サイバー空間で再現したミニ
第 4 図のように、機械安全のガイドライン ISO/IEC ガイ
チュア生産ラインを置いた。二つの拠点の間でデータを
ド 51 に基づき、機械安全の国際規格 ISO12100 の基本安
相互に交信させて遠隔監視や遠隔操作を行う様子を展示
全規格に準拠して、設計段階からリスクアセスメントを行
した。当日は多くのお客さまからの反響をいただき、そ
い、その結果をもとに 1. 本質的安全設計、2. 安全防護お
の後株式会社 NTTPC コミュニケーションズ様が主催する
よび追加保護、3. 使用上の情報、以上の順序を踏んで保護
「NTTPC Forum 2025」への出展依頼を受け、更に広く活
方策を講じている。さらに個別の具体的な方策として、電
用することとなった。
気的な危険源に対しては IEC60204、制御システムの安全
関連部に対しては ISO13849、安全距離の確保に対しては
ISO13857、インターロックに対しては ISO14119、産業
用ロボットに対しては ISO10218 など他にも様々な安全の
国際規格にも準拠させた設計としている。
第 6 図 展示会へ出展の様子
第 4 図 機械安全に関する国際規格の体系図の一部
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開発品の効果と実績
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今後の展望と拡張性
既に一定の効果を挙げているミニチュア生産ラインで
ミニチュア生産ラインの効果は、これから実績を積んで
は あ る が、 今 後 は 無 人 搬 送 車 AGV(Automatic Guided
評価をしていく予定ではあるが、現時点でもある程度の試
Vehicle) や 自 立 走 行 搬 送 ロ ボ ッ ト AMR(Autonomous
算はできる。
Mobile Robot) なども連動させて検証の高度化を図ってい
これまでデジタルツインの環境構築のために約 3 か月
きたい。
にわたり、お客さまの工場に足を運んで検証を行ってき
また、この装置を開発したことで、別の活用方法も分
たが、その期間のうちの大半が、工場に入るためのスケ
かってきた。それは、当社研究所で開発される様々な技術
ジュールの調整であり、実際に検証が行えたのは数回程度
の実証実験に、このミニチュア生産ラインを活用すること
であった。それに対して、このミニチュア生産ラインで
である。
は、第 5 図のように、社内で集中的に検証が行えるため、
当社は製造業の生産ラインを持っていないため、産業向
その期間は 2 週間程度と大幅に削減できる見込みである。
けに開発した新しい技術の能力を確かめるための場所が無
く、これまでお客さまの工場をお借りして、限られた時間
で実証実験を行ってきた。それをこのミニチュア生産ライ
ンに実装させることで、社内で自由に実証実験が行えるよ
うになり、研究の高度化と検証期間の短縮に期待が持てる。
このように様々な用途と可能性を持つミニチュア生産ラ
インに、今後も更なる機能の拡張をさせていく。
第 5 図 デジタルツインの検証の様子
技術開発ニュース 2025.03/No.169
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