サステナブル事例
Sustainable Case study

SUSTAINABLE

Vol 04
デジタルで電力保安をスマート化
【事例】
状態保全監視システム/ドローンによる
送電設備自動点検

安定した電力供給を支える、
高度な保守・保全技術。

いつも安定した電力を供給するために、電力設備の保守・保全業務は欠かせないものです。保守・保全の品質を維持することはもちろん、絶えず手段のアップデートを続けることも中部電力グループの使命です。
社会においてテクノロジーが急速に進化したように、電力設備の保守・保全技術も常に進化しています。電力設備の開発や更新、より優れた機器・システムの導入、さらに近年は再生可能エネルギーの発電量の増加への対応など、未来に目を向けたエネルギー改革も進んでいます。電力供給において目を配る範囲が増えた今、保守・保全を合理化・高度化し、ひいては省力化させることは、電力の品質維持を縁の下で支えるために大切な工程です。デジタルを活用した保守・保全技術を確立することは、適時適切な点検の実施や不測の停電などの発生を減らせ、コストの削減にも繋がります。
今に留まらず、未来の電力インフラまで考える。中部電力グループの保守・保全は、日々進化を続けています。

蓄積したデータが、
新たな保安技術を作り出す。

電力がお客さまの元に届くまでには、さまざまな設備を通過します。当然、保守・保全の範囲も広く、街中から山間部まで、日々どこかで点検・整備がおこなわれています。中部電力グループでは、その点検・整備のサポートをDX化しています。
高い電圧を家庭用や工業用に変換する変電所では、開閉器に対して<状態保全監視システム>を導入。機器動作時に流れる電流波形をその都度自動分析することで、機器状態を常時監視することができるようになりました。
従来は設備の健全性を保つための点検を3~6年に1回の頻度で実施してきましたが、劣化の兆候や故障の予兆をキャッチできるようになり、故障前の適切なタイミングで点検・手入れをおこなうことで、故障防止と保全コスト削減の両立が可能となりました。2021年の試行運用開始以来、約40件の故障兆候を把握し、手入れや部品交換をおこなうことで安定した電力供給を維持しています。
今後は、さらにデータを蓄積し、異常・劣化予知の精度向上を図るほか、開閉器以外の機器への展開も実現しようとしています。

電力事業の枠を越えて、
空飛ぶドローン。

中部電力グループでは、日常的な昇塔点検や送電線故障時の点検にドローンを活用し、送電線や鉄塔を撮影、状態の確認をおこなっています。
これまで、ドローンの手動飛行による送電線や鉄塔への接近撮影では、設備の損傷リスクに加え、操縦者のスキルによって撮影画像の品質に差が生じていました。また、ドローンで取得した膨大な量の画像を鉄塔や設備部位ごとに仕分け・整理するのに多くの時間を要していました。
そこで、ドローンの自動点検飛行技術を開発。モバイル通信を利用し、現場で「自動飛行ルート作成~自動点検飛行~点検画像データの自動仕分け・管理」という送電設備点検業務のサイクル全体を一貫して実行できる専用クラウドアプリケーションを用いて、実用化しました。これによって、安全かつ簡単に高品質な画像の収集・管理が可能となりました。加えて、本技術は、ドローンの種別を問わず連携が可能なため、導入のハードルが低いこともポイントです。
また、静岡鉄道株式会社の日本平ロープウェイにおける通信線の設備点検に本技術を活用するなど、電力事業の枠を越え、地域社会への貢献など将来性も期待されます。
中部電力グループ内においては、さらなる点検品質の向上と保全業務の高度化を目指し、機能の拡張も進めています。将来的にはAI異常検出システムとの連携や、完全目視外飛行を実現し、さらなる巡視・点検業務の省力化を実現していく予定です。

膨大なデータを収集・分析し、有効的に活用することで、さらに広がりを見せる中部電力グループの保守・保全DX。今後はさらにデータを蓄積し、経年傾向の把握から余寿命推定をおこない、より円滑かつ効率的な電力運用を拡大していきます。データから広がる新しい世界は、まだまだ可能性を秘めています。

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