技術開発ニュース No.168

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研 究 紹 介
研 究 紹 介
Introductions of Research Activities
道の駅における PV・空調・蓄電池を用いた
実証試験
Introduction of demonstration using PV, air conditioning, and storage batteries at roadside stations
執筆者
当社は、中日本ハイウェイエンジニアリング名古屋 ( 株 ) さまのご協力により、道の駅
「越前おおの荒島の郷」(福井県)にて、( 株 ) トーエネックとの共同で、空調機器、太陽
光発電と蓄電池を組み合わせたエネマネ実証を行っている。この実証のねらいは道の駅・
サービスエリアのエネマネ、および寒冷地空調制御技術の高度化である。
1
3
背景と目的
道の駅は、地域の重要な振興施設であると同時に、商業
施設と⾔える。そのため、多くの空調機器が設置されてお
先端技術応用研究所
EaaS グループ
村川 敬祥
開発システムの特長
(1) 空調 EMS による省エネ実証
空調 EMS は稼働率が 50% 未満の場合、空調機の停止と
り、施設全体の消費電力量に対する空調消費電力量は約半
稼働を交互に行う間欠運転制御を行い、50% 以上の場合
数を占める。また、広域的な災害発生時の拠点となる「防
は、稼働率に閾値を設ける能力抑制制御を行った。その結
災道の駅」としての役割を担っており、レジリエンスの強
果、実証日においても冬場の快適温度 (18 ~ 22℃ ) の範
化が求められている。一方、当社は、ビルや工場等の様々
囲内で制御ができており、快適性への影響はなく空調機の
なフィールドにて、空調機器や蓄電池、太陽光発電等をエ
消費電力量の 3 割程度 (211.3kWh) 削減することが出来
ネルギーリソースとする EMS を試作している。本紹介で
た。冬季実証を行った日の空調消費電力量 ( 右図 ) と外気
は、考案した EMS を活用して、道の駅における空調省エ
温等が同じ条件となる比較日 ( 左図 ) を第 4 図に示す。
ネ制御や、PV・蓄電池制御の実証試験について紹介する。
180
6.0
5.0
160
5.0
3.0
100
調定格消費電力は 87kW、商業エリアが 58kW である。ま
た、太陽光発電設備 4kW、家庭用蓄電池 8 台 (16kW) を設
置し、空調 EMS と連携させ実証を行った。「道の駅」上空
写真と PV・蓄電池設備外観を第 2 図、第 3 図に示す。
家庭用蓄電池8台
太陽光発電:4kW 16kW 32.8kWh
GW
GW
W
G
GW
商業エリア
0.0
40
20
-1.0
0
-2.0
9:00
11:00
振興(FC)
フードコート
13:00
15:00
物販2
商業エリア
17:00
外気
2.0
80
1.0
60
0.0
40
-1.0
20
0
9:00
11:00
13:00
振興(北側)
フードコート
15:00
物販2
商業エリア
17:00
-2.0
外気
(a) 比較日 (2023/12/1) (b)実証日(2023/12/2)
第 4 図 冬期空調機器の省エネ結果
を計算し、需要予測と合わせ蓄電池の充放電を行った。
ク ウド
クラウド
G
1.0
60
3.0
100
太陽光発電実績と天気予報のデータから翌日の発電予想
G
GW
80
10:00-16:00 省エネ運用
(2) 蓄電池充放電によるピークカット実証
監視制御
サーバ
屋外
2.0
4.0
120
温度[℃]
120
道の駅平面図を第 1 図に示す。フードコートエリアの空
140
4.0
温度[℃]
140
電力[kW(30分平均)]
実証概要
6.0
160
電力[kW(30分平均)]
2
180
(3) レジリエンスを考慮した PV・蓄電池容量検討
実証データを用いた各種シミュレーションを実施した。
フードコート
4
カ フ
第 1 図 道の駅 平面図
今後の予定
今回の実証では、太陽光パネルの傾斜をつけることで積
雪影響を小さくでき、冬期発電量を確保できることが分かっ
PV
蓄電池
PV と家庭用
蓄電池
PV
蓄電池
た。この発電実測値や負荷実測データを活用し、レジリエン
スや環境負荷低減のために、本施設が保有する遊休地を有
効活用した太陽光発電や蓄電池設備の増強を提案していく。
合わせて、本実証施設と同様な設備構成となり、広域災
害拠点となる、道の駅やサービスエリアに対しても提案し
第 2 図 道の駅上空写真 第 3 図 PV・蓄電池外観
ていく。
技術開発ニュース 2024.03/No.168
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