技術開発ニュース No.168

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研 究 成 果
(2) 3D モデリング
本シミュレータでは、作業員、電柱、高所作業車等の
(1)VR 体験者の行動再現
リプレイソフトでは、第 6 図に示す簡易なアバターモデ
モデルについても、写真や仕様書から 3D モデルを作成し
ルが、安全教育支援シミュレータ内の受講者の行動を再現
た。再現性の低さによる必要な設備・道具類の不足によ
している。アバターモデルは、リプレイソフト上で受講者
り、受講者に安全上の不備と捉えられないよう、設備・道
の位置および頭の向きの時間変化を再現し、任意時間にお
具類の細部までこだわり、実態と違和感がないようにモデ
ける受講者の行動を振り返ることが可能となる。
ルの修正を行った。3D モデリング例を第 4 図に示す。
第 4 図 3D モデリング例
第 6 図 受講者のアバターデザイン
3
リプレイソフトの概要
(2)行動軌跡の再現
リプレイソフトには、受講者がいつ、どの位置で監督し
リプレイソフトは、監督者安全教育の指導員向けのソフ
ていたのか、どこを見ていたのかを CSV 形式のログで保存
トであり、安全教育支援シミュレータ内の受講者の行動を
する機能を付けた。これにより、受講者毎の行動軌跡など
パソコン上で振り返り可能な Windows アプリケーション
をデータ化し、分析する事を可能とした。受講者の行動軌
である。シークバーを操作することで、作業の任意時間に
跡例を第 7 図に示す。
受講者がどこに居たかの確認を可能とする。また、マウス
操作によりマルチアングルで VR 空間内の事象を確認する
新任監督者
ベテラン監督者
ことができるため、受講者が何に注目して監督していたか
の確認も可能である。リプレイソフトの画面例を第 5 図に
示す。
第 7 図 受講者の行動軌跡例
受講者
4
研究成果と今後の展開
本 VR 技術を活用した安全教育支援アプリケーションを
シークバー
経験豊富な監督者 9 名に体験してもらい、評価と課題の抽
再生・停止ボタン
出を行った。同アプリケーションは、作業員の挙動や設
備・道具類のリアリティを追求したことで、安全意識の醸
成や教育に効果的であると評価された。一部の体験者に
VR 酔いが見られたが、移動先に視点を固定する等、視点
の位置に気を付けることにより軽減された。
今回開発したアプリケーションは、2023 年度から中部
電力パワーグリッド(株)配電研修所の監督者安全教育に
導入済みである。本アプリケーションの導入により、災害
状況の体験が可能となっただけでなく、実地訓練では再現
困難な複数の災害状況シナリオを用意しており、実地訓練
第 5 図 リプレイソフト画面例
に比べて、より効率的な教育が可能となっている。今後は
得られた知見を活用し、他部門や関連会社への展開を考え
ている。
技術開発ニュース 2024.03/No.168
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