技術開発ニュース No.168

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- 要がある。過去の検討にて、コンクリートの中性化の進展
後に内部の鉄筋が腐食し始め強度低下に至るまでの期間と
して、コンクリート部の期待寿命を 80 年と算出している
3
作業性検証結果
ことから、接続部の期待寿命も 80 年を満足するよう各部
開発した分割式特殊柱を用いて建柱手順の作業性検証を
材の構造検討を行った。
行った。建柱パターンとしては、上柱・中柱・下柱の接続手
検討の結果、ボルトナットに新たに高耐食塗装を採用す
順および柱上・地上接続の組み合わせを検討する必要があ
ることでコンクリート部との寿命協調を図りつつ、コスト
る。安全性を確保した上で効率的な作業手順を確立し、従
を最小限に抑えることを実現した。
来品より▲ 291分/ 本の施工時間削減を実現した(第 5 表)。
(6)仕様検討結果
第 5 表 分割式特殊柱の建柱手順
(1)~(5)の検討結果を踏まえ、分割式特殊柱の仕様
項目
を決定した(第 4 表、第 1 図)。
第 4 表 分割式特殊柱の主な仕様
20D 分割柱
24D 分割柱
20m
24m
上柱
8m
8m
中柱
6m
8m
下柱
6m
8m
上柱
1/75
1/75
全長
部材長
テーパ
中柱
1/75
1/75
下柱
ノーテーパ
ノーテーパ
手順①
手順②
手順③
下柱建込
上・中柱
地上接続
下・中柱
柱上接続
イメージ
項 目
本体
継手金物
ボルト
研 究 成 果
4
末口径
φ 220
φ 220
地際径
φ 450
φ 450
ひび割れ試験荷重
10kN
10kN
表面処理
亜鉛めっき
亜鉛めっき
上・中柱間
25mm
25mm
中・下柱間
28mm
28mm
M16
M16
14 本
14 本
なった。リユースについては、従来は抜柱時に切断が必要
18 本
20 本
高耐食塗装
高耐食塗装
であったためリユース不可であったが、分割式特殊柱はフ
板厚
ボルト径
本数
上・中柱間
中・下柱間
表面処理
開発効果のまとめ
継台式特殊柱の課題を解消した分割式特殊柱を開発する
ことで様々な効果を得ることができた(第 5 表)。工期につ
いては、モルタル接続に起因する現場打ち作業を不要とす
ることで養生期間がゼロとなり、▲ 13.5 日の工期削減と
ランジのボルトナットを外すことにより解体が可能である
ためリユースが可能となった。
トータルコストでは、製造費・運搬費・工費の削減によ
り、継台式特殊柱と比較して、▲ 48%/ 本のコスト削減を
実現した。
第 5 表 分割式特殊柱の主な仕様
項目
従来品
開発品
開発効果
ラインアップ
11 種類
2 種類
製造費削減
地際径
600mm
450mm
お客さま
ニーズ達成
運搬
大型車両
+誘導車 2 台
一般車両
運搬費削減
工期
14 日
半日
工期短縮
施工時間
440 分
149 分
工費削減
リユース
不可
可能
リユース可能
長期信頼性
80 年
同等
寿命協調
5
※寸法の単位はmm
第 1 図 分割式特殊柱の仕様(20D 分割柱)
今後の予定
分割式特殊柱を新たに開発し、2023 年 4 月から現場導
入を開始している。今後は、送電設備への適用など他部門
への展開を進めていく。
技術開発ニュース 2024.03/No.168
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