技術開発ニュース No.168

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- Results of Research Activities
給電系共通プラットフォームの開発
Deployment of universal platform for systems to support power system operations
給電系システム向け共通インフラ開発による新たなシステム開発・保守環境の整備
執筆者
既存の給電系システムは、システム毎での構築が起因して設備の肥大化、開発・保守費
用の増大化が課題であった。そこで、これらの課題解決を目的にデータ連係機能、スト
レージ機能、WEB 表示機能を共通インフラ化した給電系共通プラットフォームを開発し
た。また、大規模災害対応力の強化を目的に 2 拠点化を実現した。
1
系統運用部
系統システム開発グループ
北原 遼・長瀬 友彦
給電系共通PF
背 景
共通ストレージ機能
給電制御所システムのような指令制御業務を扱うシステ
NAS1
ム以外の系統運用業務を支援する多くのシステム(以下、
NAS2
給電系システム)は、従来、支援ニーズ毎に個別のシステ
NAS3
ム開発を指向してきた。本開発方法は、入力から出力まで
…
研 究 成 果
一貫した機能開発をするため、品質管理が容易、開発ベン
Cシス
テム
WEB表示機能
新規
システム
・・・
データ連係機能
配信
サーバ
UTM
拠点FW
給制FW
連係
サーバ
NASn
第 2 図 給電系共通 PF の構成概念
ようなデメリットも存在する。
増大
Bシス
テム
ネットワーク集約装置
ダの責任区分が明確というメリットがあるものの、以下の
・各システムで重複する機能を開発することによる費用
Aシス
テム
(1)データ連係機能
データ連係機能には、データセンターなどで用いられる
・重畳する機器の導入と保守に係る費用の増大
・各システムが個々に情報を保有することによるデータ連
ネットワーク構成法のひとつであるスパインリーフ型ネッ
トワーク(spine-leaf architecture)を採用した。本方式
係の複雑化
今回、従前の給電系システム開発で必要としていたイン
は、末端機器が接続するリーフスイッチとその間を接続す
フラストラクチャを共通にして外出しし、給電系システム
るスパインスイッチの 2 階層でネットワークを構成する方
に各機能の提供を可能とした給電系共通プラットフォーム
式で以下の特徴がある。
(以下、給電系共通 PF)を開発した。これにより、システ
ムの新規開発時の設備導入費用や保守に係る費用の削減お
よびシステム間データ連係の整理を図ったため紹介する。
①データ連係の高速化
システムを個別に構成する場合と比べ、連係経路上の
機器が少なく、システム間接続に係る通信時間を短縮
可能。
②拡張性の確保
Aシステムが必要とするデータ連係
Bシステムが
〃
Cシステムが
〃
Dシステムが
〃
Aシステム
スイッチの追加によりネットワーク規模を容易に拡張
Aシステム
Bシステム
ストレージ機能
Cシステム
Bシステム
Dシステム
可能。
ストレージ機能
WEB表示機能
WEB表示機能
重複機能の開発に
よる費用増大
データ連係の
複雑化
ストレージ機能
従来システム
L3
スイッチ
データ連係機能
WEB表示機能
Cシステム
通信ネットワーク
給電系共通PF
ストレージ機能
共通ストレージ機能
WEB表示機能
WEB表示機能
Dシステム
給電系共通PF
L2
スイッチ
スパイン
スイッチ
スパイン
スイッチ
スパイン
スイッチ
給電系共通 PF について
能、WEB 表示機能を具備している。
技術開発ニュース 2024.03/No.168
リーフ
スイッチ
・・・
②スイッチ追加により
容易にネットワーク規模の
拡大が可能
①連係経路が短く
高速通信が可能
給電系共通 PF は、データ連係機能、共通ストレージ機
19
L2
スイッチ
既存ネットワーク
第 1 図 給電系システムの現状と課題・解決策
2
L2
スイッチ
L2
スイッチ
各機能の共通化
L3
スイッチ
リーフ
スイッチ
リーフ
スイッチ
リーフ
スイッチ
リーフ
スイッチ
リーフ
スイッチ
・・・
スパインリーフ型ネットワーク
第 3 図 スパインリーフ型ネットワークの特徴
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