技術開発ニュース No.168

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研 究 成 果
また、給電系共通 PF は、他のネットワークにアクセス
するため、ルータ機能とセキュリティ機能を具備すること
で情報系システムとも接続できるようネットワークを構成
3
給電系共通 PF の開発効果
した。加えて、給電系共通 PF 内のネットワークを冗長化
2023 年 4 月に給電系共通 PF を運用開始した。これによ
することで業務継続性を担保している。
り、以下の結果を得た。
(2)共通ストレージ機能
給電系共通 PF に加入するシステムがストレージ領域を
共有可能とするため、以下の特徴を持つスケールアウト型
ストレージを採用した。
①アクセス性の向上
(1)費用削減効果
独自のデータ連係機能、ストレージ機能、WEB 表示機
能を有していた各システムは、今回の対応により設置費用
(1 システム当たり数千万円規模)と保守費用の削減が可能
となった。現在、給電系共通 PF には給電情報提供システ
多数のシステムが同時接続可能。加入システムは、
ム、系統運用計画システム、Ry 整定支援システムの 3 つの
ネットワーク設定および保存領域の設定のみで利用
システムが加入しており、それぞれで費用削減を実現でき
可能。
た。今後のシステム加入により更なる費用削減効果が期待
②冗長化構成
複数のストレージで構築することで障害発生時の業務
継続性および回復性を確保。
③拡張性の確保
ストレージ追加により容易に保存容量を拡張可能。
できる。
(2)データ連係の整理
給電系共通 PF を介して連係するデータを一元管理する
ことにより、データ連係の見える化を実現した。これによ
り、保守性の向上および障害対応の早期化も期待できる。
(3)WEB 表示機能
加入システムに対し、WEB 表示サービスを提供する機
能。各システムは独自の WEB サーバを持たなくても WEB
表示サービスの利用が可能となる。これには、OS 標準機
能のコンテナ技術を採用しており、仮想環境を加入システ
ムへ提供することで実現している。
(4)大規模災害対応力の強化
名古屋と岐阜の 2 拠点構成とし、大規模災害対応力の強
化を図った。常時は、名古屋拠点で運用し、災害等により
名古屋拠点が使用できなくなった場合は、岐阜拠点を稼働
第 5 図 給電系共通 PF の筐体
させることで業務継続が可能となる。
2 拠点の給電系共通 PF の稼働状況は、第 4 図で示すシ
ステム監視画面にて運用者やシステム担当者に共有してお
り、障害発生時や大規模災害時の迅速な状況把握を可能と
している。
4
まとめ
今回、給電系共通 PF を開発することで、新規システム
開発費用の削減や大規模災害対応力の強化を実現できた。
また、各システムの保守業務に係る工数・費用の縮小に寄
与できた。今後は、給電系共通 PF への加入システムを増
やし、更なる費用削減を実施していく。
給電系共通 PF の更なる活用として、共通ストレージ機
能を拡張させ、系統運用情報のデータ収集 HUB として機
能させることを検討している。給電制御所システムが持つ
中部エリアの系統情報を集約し、各ユーザが容易にデータ
利活用できる環境を構築し、効率的な業務運行を推進する
第 4 図 給電系共通 PF のシステム監視画面
システムとしていく。
技術開発ニュース 2024.03/No.168
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