技術開発ニュース No.168

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研 究 成 果
を同時に収納することで、最大で 800kg/h の処理が可能と
なった。また、アルミインゴットの形状にばらつきがあっ
①従来…バーナーのみで溶解
ても、加熱が可能である。
④ 高い安全性
当社独自技術である「流体制御式」により、アルミ溶解
温度まで急速予熱しても、インゴットが所定の加熱温度を
保持して過昇温することがないため、インゴットが溶解す
ることがなく安全である。
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活用イメージ
第 3 図のとおり、従来は、溶解まで一括してバーナーで
行っていたものを、開発品でアルミインゴットを常温から
②開発品…アルミインゴットを常温から 200~500℃まで予熱した
後、バーナー式溶解炉で溶解
200~500℃まで予熱した後、バーナー式溶解炉で溶解さ
せるものである。
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効果
開発品は、バーナー式に比べ CO2 排出量を 36% 削減
できる(第 4 図)。また、エネルギー消費量を 28% 削減で
きる(第 5 図)。これらの効果試算は、自動車工場のアル
第 3 図 開発品の活用イメージ
ミ溶解工程を想定し、アルミインゴット昇温温度:20℃
→ 400℃、アルミ処理量 400kg/h、年間運転時間:6,200
時間(平日のみ 24h/ 日)、開発品の熱効率:85%、ガス
バーナー式予熱装置の熱効率:25%、電気の CO2 排出係
数:0.377kg-CO2/kWh 、ガスの CO2 排出係数:2.23kg-
CO2/Nm3、 電 気 の 発 熱 量 8,640kJ/kWh ガ ス 発 熱 量:
45.0MJ/Nm3、電気代:25 円 /kWh、ガス単価:110 円 /
N㎥として計算した。
このように、本開発品は、世界トップクラスの熱効率の
達成により、大きな脱炭素が可能とした。
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第 4 図 CO2 排出量のバーナー式との比較
おわりに
開発品は、中部電力ミライズ株式会社・株式会社日本高
熱工業社・株式会社豊電子工業から、2023 年 11 月に「HD
サーモ IG」の商品名で発売された。今後は、自動車関連工
場等に普及を図ることで、工場の脱炭素と生産性向上に貢
献したい。
第 2 表 開発品の加熱性能
アルミインゴット
温度
インゴット 1 個あたり
の昇温時間
熱効率
処理量
20℃→ 200℃
23 秒
86%
800kg/h
20℃→ 300℃
25 秒
85%
720kg/h
20℃→ 400℃
40 秒
84%
450kg/h
20℃→ 500℃
66 秒
65%
273kg/h
第 5 図 エネルギー消費量のバーナー式との比較
※熱風温度 600℃で 5kg のアルミインゴットを加熱した場合
技術開発ニュース 2024.03/No.168
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