技術開発ニュース No.168

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研 究 成 果
(2)無線のため設置が容易
る。中部電力ミライズ(株)では、本開発品を活用し、工
親機と子機の間の通信には障害物に強いマルチホップ対応
場内環境の問題箇所の特定、改善策の検討および改善効果
920MHz 無線を利用している。ワイヤレスで構築できるため、
の確認までを、一括してサポートするエネルギーソリュー
設置に関する制約が少なく、大きな工事不要で利用できる。
ションサービスも行っている。
壁、柱、機器等の障害物がある状況で、200m×200m
工場作業員の作業環境改善、生産性向上の一助のツール
の範囲で通信できることを確認しており、障害物が少なけ
として、本技術が活用されることが期待される。
れば、さらに広い範囲での計測が可能である。
(3)クラウド接続とローカル接続対応
得られたデータは親機に保存され、クラウドに上げるこ
ともできる。その場合、データはクラウドにインストール
920MHz
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された専用の見える化ソフトウェアにより現状確認や分析
ができる。(第 2 図 (a))
一方、親機内にシングルボードコンピュータを組み込
(a) クラウド接続
み、データ保存と見える化ソフトウェアをインストールす
るオンプレミス方式とすることができる。この場合、工場
内の社内 LAN を介して社内 PC のみでデータ共有させるこ
とができる。(第 2 図 (b))
さらに、親機に接続した USB メモリに csv データを保存
Web
Web
920MHz
UNISONet
し、お客さま自身でデータ解析するシンプルな構成にする
こともできる。
(第 2 図 (c))
。 このように、「遠隔監視の
実施」や「クラウドを介さない見える化」等、お客さまの
(b) ローカル接続(オンプレミス方式)
要望に応じて、システム構築できる。
(4)お客さまのニーズに合わせてカスタマイズ
ミスト濃度センサ、温湿度センサだけでなく、CO2 濃度
センサも設置可能であり、お客さまの要望に合わせてセン
920MHz
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サを選択できる。
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適用事例
(c) ローカル接続(USB メモリ保存)
第 2 図 様々な接続方式
親機 1 台、子機 10 台からなる「MieruTIME OILMIST」
システムを某切削加工工場に適用した際の PM1.0 のミスト
濃度分布を第 3 図に示す。
図よりオイルミスト濃度の高い領域(赤色)が、工場の
中で偏っていることが可視化できている。専用ソフトウェ
アでは、ミスト濃度、温度、湿度をボタンで切り替えする
機能や時間、カラーバーの領域を変更する機能を持ち、各
種データの時間変化をアニメーション再生させることがで
(a) 換気量が少ない状態(換気回数 0.5 回)
きる。このケースでは、時間経過とともに換気量を増加さ
せた結果、工場内のミスト濃度は均一化する傾向が見られ
た。このように、工場内のミスト分布と換気量の関係が明
確になることで、給排気量の変更や局所排気装置の設置な
ど、工場内環境改善の対策が立てやすくなる。
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まとめ
ワイヤレス型オイルミスト濃度・温湿度計測システム
(b) 換気量が多い状態(換気回数 1.5 回)
第 3 図 オイルミスト濃度分布
「MieruTIME OILMIST」は九州計測器(株)および中部電
力ミライズ(株)から 2023 年 7 月より発売を開始してい
技術開発ニュース 2024.03/No.168
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