技術開発ニュース No.168

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研 究 成 果
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洗浄機
ヒートポンプ本体
開発システムの特長
熱交換器
(1)メンテナンス性の向上
冷媒
従来から使用されているプレート式熱交換器と、開発し
たコイル式熱交換器の構造を比較した(第 2 図)。洗浄機で
は洗浄液に汚れが蓄積されるため、必然的に熱交換器の清
掃メンテナンスが必要となる。
プレート式熱交換器
温水
洗浄液
P
P
ポンプ
ポンプ
60℃
温水を介して冷媒と洗浄液を熱交換
従来のプレート式熱交換器では、熱交換器内に堆積した
(a) 間接加温方式(従来)
汚れを除去するために、専門業者に依頼して複数の伝熱板
を一枚毎に分解洗浄する必要があり、時間と労力を要して
いた。コイル式熱交換器では、カバーを取り外して熱交換
ヒートポンプ本体
器をお客さま自身で簡易に洗浄できるようにしたことで、
洗浄機
コイル式熱交換器
清掃メンテナンス性が格段に向上した。
冷媒
(2)導入に伴う設計作業や導入費用の低減
洗浄液
ヒートポンプに付属する機器(制御盤、ポンプ、熱交換器等)
ポンプ
を一体化するとともに、洗浄機への接続を前提とした仕様とした
ことで、導入に伴う周辺設備の改修作業やコスト等を低減した。
冷媒と洗浄液を直接熱交換
・熱交換ロスが少なく高効率(COP3.14を達成)
・ポンプの台数や配管等が削減されるため、
省スペース化を実現
(3)高効率かつ省スペース化を実現
従来の間接加温方式と開発システムの直接加温方式を比較
した(第 3 図)
。開発システムでは、ヒートポンプの冷媒によっ
て洗浄液を直接加温する方式を採用したことで、従来の間接
(b) 直接加温方式(エコ de ヒート EX)
第 3 図 加温方式比較
加温方式に比べ、熱交換ロスが少なく、ポンプ台数や配管等
が削減されるため、高い運転効率と省スペース化を実現した。
4
第 2 表 年間エネルギー消費量とランニングコスト比較
エネルギー
消費量[GJ/ 年 ]
ランニングコスト
[万円/年]
割合
ガス蒸気ボイラ
359
1,209
基準
電気ヒータ
431
1,489
+20%
エコ de ヒート EX
137
474
-62%
省エネ効果
中部地区の機械工場での部品洗浄工程を想定し,ガス蒸
気ボイラや電気ヒータで加温する方式からエコ de ヒート
EX へ更新する場合の年間エネルギー消費量とランニング
コストを試算・比較した(第 2 表、第 3 表)。その結果、ガ
第 3 表 導入効果の試算条件
ス蒸気ボイラと比較して、開発機を導入した場合、年間エ
ネルギー消費量、年間ランニングコストは 62%削減とな
り,大幅な削減効果が期待できる結果となった。
(a) プレート式熱交換器(従来)
60℃
P
洗浄槽温度
60℃
加熱負荷
13kW
年間稼働時間
3,840h(平日のみ 16h/ 日)
一次エネルギー換算値
電気 :8,640kJ/kWh, ガス 45MJ/Nm3
ランニングコスト
中部電力ミライズのガス料金、電気料金
蒸気加温システム効率
5
50%
まとめ
ヒートポンプを用いた洗浄液加温システム「エコ de
ヒ ー ト EX」 は 2024 年 度 上 期 か ら、 中 部 電 力 ミ ラ イ ズ
(株)、(株)ディグリー、ファインマシーンカタオカ(株)
が販売を開始する予定である。
エコ de ヒート EX は金属部品の洗浄工程だけでなく、樹
脂洗浄工程、脱脂工程、食品加温工程等などの新設・既設
に適用できる。高い省エネルギー性、導入の容易さ、高い
(b) コイル式熱交換器(エコ de ヒート EX)
第 2 図 従来と開発機の熱交換器構造比較
メンテナンス性を持つ本システムの採用によりお客さまが
進める工場の脱炭素化に貢献できる。
技術開発ニュース 2024.03/No.168
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