技術開発ニュース No.168

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研 究 成 果
各クラスの画像のうち、一部にラベル付けを行い訓練お
しと推論時間を合わせて 200 ミリ秒程度で処理が完了して
よび検証データに用いて、残りはラベルなし状態のまま訓
おり、リアルタイムでの処理に十分利用可能な結果であっ
練データとして利用した。ラベル付き枚数、および訓練/
た。Raspberry Pi4 では 1 回の推論処理に 5 秒程度を要し、
検証用の割合をパラメータとし、精度への影響の評価を行
実用は厳しそうである。
うこととした。
第 2 表 エッジデバイス種類による処理能力比較
判別精度 画像切り出し時間
デバイス
GPU ワークステーション
(Core i7 CPU, 32GB RAM,
GTX1080Ti 12GB GPU)
USB
ノート PC
USB
PC
(Core i7 CPU, 16GB RAM)
Jetson Xavier NX
PC
(ARM Camel CPU, 8GB RAM,
Volta GPU)
Raspberry Pi
(ARM Cortex CPU, 4GB RAM)
第 3 図 学習・検証データ画像収集方法
学習の実行には先端技術応用研究所で開発した AI 分析基
盤を用い、クラウド上で FixMatch を用いて煎餅判別 AI モ
4
推論時間
(%)
(msec)
(msec)
100
15.42 ± 0.99
8.67 ± 1.33
100
4.88 ± 0.90
197.9 ± 28.3
100
32.90 ± 2.34
163.22 ± 21.36
100
73.81 ± 3.30
4874.79 ± 189.99
今後の展開
デルを作成した(第 4 図)。TeslaV100-1 インスタンスを
検証結果から FixMatch を用いて AI 学習の手間を低減す
用いた場合の学習時間は 9 時間程度であった。
るとともに、安価に生産ラインのワーク判別が可能な判別
デバイスの実現性が見出せた。OSS の可視化ツールなどと
AI
(
)
(
組み合わせ、第 5 図のようなローカル環境での判別カウン
タの構築や、第 6 図に示すようなクラウド上のサービス連
携による遠隔でのモニタリングといった活用も可能である。
)
AI
PC
AI
AI
(
-
11 (
1,100
825
train
val/test 165
2,000
4
-
(
)
100 )
110
Grafana)
(
)
(
)
FixMatch
PC
Web
第 5 図 ローカル環境での判別モニタリング装置例
第 4 図 AI 分析基盤を用いた半教師あり学習
煎餅判別モデルの判別精度評価には、学習データとは別
に各クラス 100 個をランダムに流した動画を用い正解率を
評価した(第 1 表)。各クラス 25 枚にラベル付けを行った
AWS
(JSON
JSON
AWS-IoT
SDK
)
AWS
IoT
(
InfluxDB
DB)
Internet
場合、訓練割合によらず 100% の正解率となった。10 枚
のみにラベル付けした際にも 90% 以上の高い正解率を維持
Grafana
(
Web
)
LTE
していた。ただし、ラベル枚数と精度は必ずしも連動する
結果とはならず、正解率にばらつきが生じた。
第 1 表 FixMatch 学習モデルの正解率評価結果
ラベル付枚数
25 枚/クラス
20 枚/クラス
15 枚/クラス
10 枚/クラス
正解率
訓練割合:0.4
訓練割合:0.6
訓練割合:0.8
100.0%
91.8%
100.0%
99.1%
100.0%
80.0%
100.0%
98.2%
100.0%
82.7%
99.1%
90.0%
(訓練40% 検証60%) (訓練60% 検証40%) (訓練80% 検証20%)
第 2 表には推論実行のエッジデバイスの種類による処理
能力の比較を示す。GPU ワークステーションが圧倒的な推
論性能を発揮したが、GPU を搭載しないノート PC や GPU
付きエッジデバイスの Jetson Xavier NX でも画像切り出
(Jetson NX
)
Web
第 6 図 クラウド環境との連携例
今後、実際の工場ラインでの性能評価を行うとともに、
様々な AI 活用場面において、半教師あり学習を活用した AI
学習の効率化にも取り組んでいきたい。
参考文献・引用
1. 中部電力プレスリリース「「○ ( まる ) っと」ちゅうでん コンプレッサ IoT 最適
運用サービス」の提供開始について(2018 年 10 月)
2. Kihyuk Sohn et al., “FixMatch: Simplifying Semi-Supervised Learning
with Consistency and Confidence”, arXiv:2001.07685 (2020)
技術開発ニュース 2024.03/No.168
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