技術開発ニュース No.168

- ページ: 5
- 働く仲間の安全と健康を
守れる未来
古田 真二
Shinji Furuta
専務執行役員
秘書室 安全健康推進室統括
マネジメントサービス本部長
Senior Managing Executive Officer
General Manager of Secretarial Services Office,
Safety & Health Promotion Office and Business Service Division
「安全と健康」は、企業経営の最優先事項である。当社
が注目される以前から、過重労働の防止、全従業員へ
グループが地域や社会の持続的な発展に貢献し続けるた
の個別保健指導および特別休暇・傷病休職制度の充実な
めに、従業員の成長や活躍が重要であり、いきいきと働
どにより、従業員が心身の健康を維持できるよう努めて
ける環境整備が不可欠である。当社は 2019 年に「中部
きた。至近では、すべての働く仲間が「生涯にわたって
電力グループ安全健康基本方針」および「安全健康行動
健康であり続ける」という信念のもと、従業員のウェル
原則」を制定し、安全文化の醸成と健康経営の推進に取
ビーイングの実現、さらには企業価値の向上に繋げてい
り組んできた。この推進にあたっては、中部電力社長を
くことなどを目的に、健康経営の取り組みを一層加速さ
議長とする「安全健康推進会議」を年 4 回開催し、安全
せている。
と健康の推進に関する方針および施策の審議、進捗状況
2022 年には、自身の運動習慣や睡眠に関するデータ
のモニタリングを行っている。近年では、従業員の安全
を可視化することで、健康行動変容や運動習慣の定着を
と健康を推進するための投資に一層力を入れており、現
支援するため、従業員のうち希望者全員にウェアラブル
状の取組みと今後の展望について述べる。
端末を配付した。併せて、楽しく自身の健康と向き合う
ため、端末を活用し歩数・睡眠等の健康活動に応じてポ
まず、安全については、2019 年に実施した外部専門
イントを付与する「健康ポイントプログラム」を創設し
機関による安全診断を機に、
「すべてのケガは防ぐことが
た。社内部署対抗のバーチャルウォーキングイベントで
できる」との揺るがない信念のもと、安全文化の醸成に
は、ウェアラブル端末が共通のコミュニケーションツー
向けて、けん引役である経営幹部への安全健康研修をは
ルの役割を果たし、健康行動変容の促進のみならず、職
じめとする様々な取り組みを展開してきた。至近では、
場の一体感醸成にも寄与している。
労働災害件数は減少傾向にあるものの、決して起きては
また、運動・睡眠習慣の改善等好ましい行動変容が起
ならない死亡災害が 4 年連続で発生しており、強い危機
こっているだけでなく、端末活用率が高い群の BMI 数値
感を抱いている。当社従業員はもちろん、請負会社や協
が改善傾向であることもわかってきた。これらの取り組
力会社を含めて安全最優先の文化を醸成していくため、
みの結果、2024 年には 4 年連続 5 回目となる健康経営優
安全に関する行動を日々愚直に実践し続けることに加
良法人「ホワイト 500」に認定されている。
え、貴重な財産である仲間の成功や失敗から得た教訓を
今後の展望として、ウェアラブル端末から得られる
自らの行動に活かすこと(自分事)が大切である。
データを、AI なども活用しながら高度に分析、活用する
2022 年 に 運 用 開 始 し た「 安 全 活 動 支 援 シ ス テ ム
ことで、より効果的な施策につなげていく。また、健康
(AKSiS)」は、災害の未然防止と安全意識の向上を目指
保険組合とも連携しながら国が進めるデータヘルスとし
して開発し、安全情報の水平展開、災害データ蓄積(登
て展開することも念頭に置きつつ取り組みを深化させて
録、閲覧、周知など)システムとして当社グループ内で
いく。
活用されている。
PREFACE
巻頭言
今後は、「AI 技術による AKSiS データを用いた作業の
“働く仲間の安全と健康を守れる未来”は、当社グルー
危険予測」や「ウェアラブル端末との連携による作業者
プの事業を発展させていくうえで、必ず実現しなければ
のバイタル情報活用」等、より現場の安全活動に効果的
ならないものである。当社事業に携わる一人ひとりの命
なツールへのアップデートを検討しており、IoT や DX を
を大切にし、安全と健康を最優先に考えていくことを、
最大限活用し、共に働く仲間が安全にいきいきと働くこ
経営層が先頭に立って示し、安全文化の醸成および健康
とのできる環境の整備を続けていく。
経営の推進に引き続き取り組んでいく。
従業員の健康増進に向けては、当社は世間で健康経営
技術開発ニュース 2024.03/No.168
4
- ▲TOP