技術開発ニュース No.168

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研 究 成 果
Results of Research Activities
自然エネルギーを利用した小型独立電源装置の
開発・実証
A small independent power supply that uses natural energy
風と太陽によるハイブリッドエネルギーで山間部でも
IoT 機器へ電力安定供給
執筆者
山間部における IoT ネットワークの構築では、LPWA 無線機などの IoT 機器への安定
的な電源供給が課題であり、それを解決するため、エコ ・ テクノロジー社と共同で、自然
エネルギーを利用した小型独立電源装置を試作開発し、現場での実証検証を行った。
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先端技術応用研究所
情報技術グループ
内山 功次
目的
中部電力パワーグリッドにおいて、山間部で LPWA ネッ
トワークを構築し、IoT サービスに向けた実証実験が行わ
れた。実用化の課題の一つに送電鉄塔上に設置する LPWA
無線機など IoT 機器への安定的な電源供給がある。
そこで、先端技術応用研究所とエコ ・ テクノロジーは、
風力と太陽光の自然エネルギーを利用した小型独立電源装
置(以下、ハイブリッド電源装置)を開発した。
2
ハイブリッド電源装置の開発
ハイブリッド電源装置は、風力羽根に太陽光パネルを張
り付けた世界初のソーラーブレード方式という特徴を持
つ。山間部において、太陽光発電だけでは山影や積雪など
第 2 図 鉄塔に設置したハイブリッド電源装置写真
3
まとめ
で発電効率が低いため、昼夜問わず発電できる風力発電を
太陽光発電は日中、晴れた日でないと発電できないた
組み合わせたハイブリッド発電方式を採用した。この風力
め、安定性に欠けるが、風力発電は風さえ吹けば一日中発
羽根は特許技術の形状により、台風や突風でもカットアウ
電が可能である。これら二つを組み合わせたハイブリッド
トがなく、騒音や振動も少ない。悪天候(無日照無風)が
電源装置は、電源の確保が困難な場所に設置する IoT 機器
3 日間続いても、1 ワット級の IoT 機器への電源供給が可
へ、安定して電力を供給することが可能である。一方で、
能である。また、小型 ・ 軽量(重さ 12.6kg、高さ 50cm)
送電鉄塔への設置には大きさなどの制約があるため、実用
で、パーツ分割できることから、送電鉄塔などの高所への
化には発電効率や施工性などに関して検討しなければなら
取付作業も容易である。静岡県大井川の山間部にある送電
ないことも多いことが分かった。
鉄塔に実際に取り付け、越冬実証実験を行い、安定稼働を
確認した。
LPWA
第 1 図 ハイブリッド電源装置概要図
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技術開発ニュース 2024.03/No.168
第 3 図 ハイブリッド電源装置の適用イメージ図
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