技術開発ニュース No.168

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研 究 成 果
Results of Research Activities
ドローン Wi-Fi 無線中継システムの開発・実証
Drone Wi-Fi wireless relay system
ドローンで Wi-Fi 通信エリアを拡張し現場支援
執筆者
電波不感地帯などにおける通信カバレッジの一つとして、Wi-Fi 無線中継装置を搭載し
たドローンを上空に停滞させ、Wi-Fi 通信エリアを拡張するドローン Wi-Fi 無線中継シス
テムを試作・開発し、携帯電波が届かない現場において、実証実験を行った。
1
先端技術応用研究所
情報技術グループ
内山 功次
ドローンのフレームは 3D プリンターおよびカーボンの
目的
オーダーメイド加工サービスを利用して低コストで作製し
た。ドローンは軽量であり、アームを折り畳むことで更に
山間部など携帯電波が届かない現場での異常発見時や、
コンパクトにでき、リュックサックなどに入れての運搬が
災害などによる携帯回線の使用不能時に、現場と事務所の
可能である。
伝達手段を早期に確保したいニーズがある。その手段の一
第 1 表 ドローン仕様表
つとして、Wi-Fi 無線中継装置を搭載したドローンを上空
に停滞させ、Wi-Fi 通信エリアを拡張するシステムを開発
した。
Quad 4
(
) W62cm×L53cm×H12cm
(
) W18cm×L53cm×H12cm
1318g
Pixhawk Cube Orenge
1000kv
9inch×4.5inch
第 1 図 ドローン Wi-Fi 無線中継システム概要図
GPS
GNSS Here3
3700mAh
2
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ドローン機体開発
山間部にある現場までドローンを人が徒歩で持って行く
ことを想定し、ドローンは小型・軽量のものにする必要が
3
Wi-Fi 無線中継装置開発
あった。また、2.4GHz の Wi-Fi 電波はドローンの制御用電
市販品でドローンに搭載できるような小型 ・ 軽量の Wi-Fi
波と干渉することから市販のドローンを使用できなかった
無線中継装置はなかったため、ドローンと同じく自社開発
ため自社開発した。
した。シングルボードコンピューターの中でも小型 ・ 軽量
で処理能力の高い Nanopi Neo2 に、Wi-Fi モジュールをプ
ラグインすることで小型ドローンに搭載可能な Wi-Fi 無線
中継装置を開発した。重さはアンテナおよびバッテリーを
含めて 114g と軽量である。
Wi-Fi
NanoPi NEO2
Wi-Fi USB
第 2 図 ドローン外観写真
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技術開発ニュース 2024.03/No.168
第 3 図 Wi-Fi 無線中継装置外観写真
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