技術開発ニュース No.168

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研 究 成 果
4
フィールド実証実験
実験の結果は、Wi-Fi 無線中継のリンク接続に時間がか
かり、接続後も切断されるといった不安定な状態が続い
た。また、スループットも期待していた数十 Mbit/sec 以
岐阜県郡上市の内ケ谷山林にてドローン Wi-Fi 無線中継
上が得られなかった。原因の一つとして、地上通信機付近
システムの実証実験を行った。Wi-Fi 無線中継装置を搭載
にある多数の大きな樹木の影響が考えられる。この樹木に
したドローンを C 地点高度 100m ~ 130m の中継ポイン
より通信路が乱され見通しを確保できなかったと想定す
トへ飛行させ、B 地点および D 地点の地上通信機とドロー
る。また、低温下ではバッテリーの放電能力が著しく低下
ン(上空通信機)を経由した通信試験を実施した。なお、
することが分かった。これにより、ドローンの飛行時間も
ドローンとの通信路は見通しを確保する必要があることか
目標時間の 10 分に達しなかった。
ら、 事 前 に GIS(Geographic Information System) に
第 2 表 スループット測定結果
より中継ポイントを決めている。また、地上通信機のアン
テナの方向は GPS 受信機の機能を使用して方向の調整を
(Mbps)
行った。
(Mbps)
(
B
D
0.742
0.322
0.549
0.663
)
第 4 図 山間部での実証実験概要図
B
Wi-Fi
D
5
まとめ
山間部においてドローン Wi-Fi 無線中継システムの実証
実験を行い、現場適用に向けた課題の抽出および知見を獲
得できた。自社開発したドローンではドローンの制御用電
波と干渉を起すことなく Wi-Fi 電波を中継できることが分
かった。一方で、山間部で地上通信機を設置する場合、周
囲の樹木が障害物となり通信スループットが低下すること
から、実用化のためには使用する周波数帯の変更などさら
第 5 図 実験で使用したドローンと地上通信機
なる検討が必要である。
技術開発ニュース 2024.03/No.168
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